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大久保嘉人が語る日本代表への思いと後輩柿谷へのアドバイス「あいつならやれるはず」

2013.10.15

サムライサッカーキング014号掲載分より一部抜粋]
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インタビュー・文 = 田中亮平
写真 = 鷹羽康博
 
──好調な大久保選手を日本代表に推す声も多いです。日本代表復帰というのは、明確に目標として捉えていますか?

大久保 入りたいですね。今までは特にそういう気持ちが強くなかったというか、南アフリカ・ワールドカップの後なんかは、「正直もういいかな」って思っていた時期もあります。もう疲れたというか、あんまりあちこち行くのも好きじゃないので。でも、今年お父さんが亡くなって、そこから「もう一度入りたい」という気持ちが強くなりました。
 
──「もう一度代表に入れ」という遺言があったそうですね。

大久保 そうですね。亡くなる前から、電話でもよく言われていました。それはやっぱり、大きいですよ。入りたいという思いがかなり強くなりました。
 
──現在の日本代表は、それまで見えていなかった問題点も噴出しています。現在の代表チームについて、どういう印象を持たれていますか?
 
大久保 《怖さ》がないと思いますね。強豪国と対戦した時に、凄く簡単にやられてしまうというか、粘り強さがない。軽く崩されてしまう。失点して悔しがるような素振りも見えないですし、喝を入れるような選手もいない。泥臭さというか、勝利への執念みたいなものが、見ていてあまり感じられないです。
  
──自分たちのストロングポイントを出せていない原因はどこにあると思いますか?
 
大久保 みんなが足元でやっていて、球際でがっつりいく選手もいないですし、来られたら負けてしまう。見ていてそれが凄く多いですね。あのブラジルでさえ、人数をかけてディフェンスをし、カウンターのチャンスではものすごい運動量で攻める。それに対して、日本はカウンター時に3人ぐらいしかいない。それでは勝てないですよね。ボランチなり他のポジションの選手が、追い越していく動きも必要なのかなと。ディフェンスが2枚に対して一人では勝てるわけがないので、そこは厚みを持ってやらないとだめかなと思います。
  
──DFを外す動きや、相手の逆を取る動きというのは、相手の力が関係なくなる、という側面もありますよね。大久保選手の今のその技術を持って、強豪国と対峙するチームの一員になったとしたら、かなりやれる自信があるんじゃないですか?
 
大久保 今はありますね。このタイミングでやってみたいという気持ちが強くあります。攻撃的なポジションならどこでもやれる自信があります。(アルベルト)ザッケローニ監督のやり方があると思うのでやってみないことには分かりませんが、身体自体は良い状態にあるので。
 
──トップ下の本田(圭佑)選手とも南アフリカW杯で一緒にプレーしましたが、そこでも合わせられるイメージはありますか?
 
大久保 圭佑もプレースタイルは変わっていないですし、分かっていますから大丈夫だと思います。
 
──現在の代表の1トップは柿谷曜一朗選手です。柿谷選手とは非常に親しくされているそうですが、今の柿谷選手の日本代表でのプレーは先輩から見てどうですか?
 
大久保 良いですよね。何試合かしか欧州組と一緒にやっていないですが、すんなりと入っていましたし。でも、点は取りたいでしょうね。あいつ、全然シュート打ってないですよね。
 
──ちょっと遠慮しているのかな、というふうにも見えますね。
 
大久保 パスを出しますもんね。それが見ていて歯がゆいです。誰かをおとりに使っていくことも、あいつのテクニックなら絶対にできるのに、行かない。ボールを落として、ディフェンスに取られて悔しい感じで戻っている表情しか映っていないので、もったいないなと。コンビネーションを意識してやっているのは分かるんですけど、行けるところはもっと行ってほしいですね。
 
──らしくない、という感じですか?
 
大久保 らしくないですよ。行けよ、と思います。セレッソ(大阪)の時は行けると思ったら行ってますから、それが僕らも凄く怖い。だから代表でもそれをしてほしいですね。そうしないと怖さがないです。あいつのテクニックなら、絶対行けるはずです。
 
──柿谷選手とはなぜ仲が良いんでしょう?
 
大久保 あいつとはセレッソで一緒にプレーしていますからね。スペインから帰ってきた時にいろいろしゃべりかけてきて、そこからですね。
 
──一緒にプレーした時間はそれほど多くないですよね?
 
大久保 半年ぐらいしかやっていないですよ。でも、他の人がビビって僕にあまり話しかけてこない中で、あいつは自分からガンガン話しかけてきて(笑)。それで仲良くなりましたね。
 
──ブラジルW杯まで、決して時間は多くないですね。
 
大久保 とにかくここ(川崎)で結果を出し続けるしかないですね。正直、海外に行けば、誰でも選ばれるのかな、なんて思うこともあります。だけどこちらからすれば、海外もJリーグも一緒です。どこのリーグであろうと、試合に出なければ試合勘はなくなります。調子の良い選手ではなくてそういう選手が出場したりするのは、まだ日本の甘さなのかなとも感じます。というのは、Jリーグで結果を出している選手みんなが思っていることじゃないでしょうか。公平じゃないな、というか。その時その時で調子の良い選手が選ばれるのが代表チームだと思いますから。それがなくなると、Jリーグに夢がなくなりますし、「オレたちはどこまでやればいいんだよ」とも思いますしね。

──それでも、やれることはとにかく結果を出し続けることだけですね。

大久保 そうです。これからも結果を出し続ける、ひたすらやるだけです。とにかく今は、最高の自信を持ってプレーできているので。

※このインタビューはサムライサッカーキング vol.014掲載分から一部抜粋しております。

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