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『サカつくプロサッカークラブをつくろう!』開発スタッフインタビュー

2013.08.15

『7』以来シリーズ2年ぶり、シリーズの据え置き機版としては実に6年ぶり。新たに生まれ変わって今年10月10日に登場する新『サカつく』について、現時点での開発秘話をプロデューサーの島野光弘氏とディレクターの鈴木信宏氏が明かしてくれた。

インタビュー・文=千葉正樹(サッカーゲームキング編集部) 写真=足立雅史

声を大にして言いたいのが遊びやすさを重視した点

――制作も大詰めだと思いますが、10月10日発売の『サカつく』はどう変わりそうでしょうか?

島野光弘 今回の『サカつく』は3つの大きな要素がゲームを大きく前進させることになると思っています。まず1つはHD画質できれいになったという点ですね。2つ目は据え置き機で久しぶりに出るということ。3つ目はネットワークを介した新要素ですね。

――HD画質に変わることで、作り直しが大変だったのでは?

鈴木信宏 ええ。ゲーム内のモーションなどはほぼ全部作り変えましたね(笑)。実際に試合シーンを見てもらえれば一目瞭然だと思います。システムまわりや育成なども強化しています。リアルタイムエンジンになったからこそ分かる、選手の個性や特徴をより反映できるように育成システムを強化したり、より遊びやすいように各種調整をしたりと、ユーザーの皆さんからいただいた声を可能な限り反映しています。

――では、2つ目の据え置き機で久々に出るという点で、どういう点に気を付けて開発されていますか?

島野光弘 据え置き機では久しぶりのリリース(2007年発売の『サカつく5』以来)ということもあって意識したのが、『サカつく』をプレイされるであろうユーザーの皆さんの年齢層ですね。シリーズのファンは30代~40代の方が比較的多いので、メニュー画面1つとっても、落ちついた方向性のデザインを意識しました。あとは、技術の進歩もあって、昔できなかったことが最新の『サカつく』ではできるようになっているので、そのあたりのブラッシュアップは意識しましたね。

――初めて『サカつく』をプレイされる方でも問題なく入っていける分かりやすさはキープされていますよね?

島野光弘 ええ。今までプレイされてきた方にとってはお馴染みかもしれませんが、久しぶりに『サカつく』をプレイする方、初めてプレイする方も多くいらっしゃると思うので、シンプルかつ分かりやすい点は意識しています。

鈴木信宏 ゲームをスタートしてからの何ターンかは分かりやすく説明のチュートリアルを入れたりしていますよ。


上:PS3とVitaでのリリースに伴い、スタジアムやモデルも完全に作り直したという。HD画質ならではの高精細なディテールで没入感も絶大! 左下:これが通常のホーム画面。プレイするであろう年齢層を意識して、落ちついたデザインになるように仕上げたという 右下:ネットワーク機能も充実。選手の追加ダウンロードはもちろんのこと、ネットワーク対戦で他のプレイヤーと戦い、頂点を目指すことも可能に。遊び方の幅も大きく広がった

――3つ目のネットワークについてはいかがでしょうか?

島野光弘 クロスセーブやクロスプレイなどのネットワークを介した新しい要素を盛り込んでいます。これができるようになったこともあり、「自分の育てているクラブが全国の『サカつく』ユーザーの中でどのくらい強いのか?」という点もプレイしていて分かるようになっています。今までよりさらにやり込み要素も増していると思いますよ。

――ネットワーク対戦の話が出ましたが、対戦はデータをアップロードして戦うデータ対戦ですか? それとも、リアルタイム対戦になるのでしょうか?

鈴木信宏 どちらもできます。リアルタイム対戦の場合は、試合中に実際に指示を送ってせめぎ合う展開になると思います。もう一つはデータをアップロードして、それを自動でリーグ戦を行うという形式ですね。こちらは複数の大会を定期的に開催する予定です。


今作のパッケージは中山雅史が飾る。据え置き機でのリリースとともにPS3とVitaのクロスプラットホーム採用で話題になった

――ハードが「PlayStation 3」(以下PS3)と「PlayStation Vita」(以下Vita)ですが、この2つのハードでユーザー側が選ぶポイントはどういうところでしょうか?

島野光弘 それぞれのプラットフォームでセーブデータが共有できるので、外でも家でもプレイ可能です。ご自身のライフスタイルに合ったハードを選んでいただければと思います。もちろん、両方お買い上げいただいた方だけのメリットもあるのですが、それは後々明らかにしていきたいと思います。

――HD機に変わったことで操作性はどう変わりますか?

島野光弘 今回、とにかく声を大にして言いたいのが、遊びやすさを重視した点ですね。なので据え置き機から間が空いている方はビックリされるんじゃないでしょうか? 昔の『サカつく』はロードの時間が気になっていた方も多いかもしれません。PS3についてはHDDインストール対応なので大幅に改善されていますよ。サクサク進められるところは「マジかよ!」と、驚かれるのではないかと思います。

――テンポの良さは大事なところですよね。

島野光弘 ええ。ロードの時間については、(長過ぎて)そこで離れていったお客様もいると思うので、スムーズにプレイできるよう意識しています。進行のテンポもストレスを感じない流れを目指しました。例えば、メニューを選ぶ度に時間が掛かることもありましたが、そこはサクサク進められるようにしています。

――PS3とVitaでレスポンスの違いはあったりしますか?

鈴木信宏 ハードの性能上によるところ以外は、基本的には変わりませんよ。

選手のシュートを打つ志向は高く設定している

――リアルタイム形式になったことでAIの調整などが大変だと思いますが、そのあたりのゲームバランスはどうですか?

鈴木信宏 選手の個性や強弱をしっかり出せるよう意識しています。育成ゲームなので、ユーザーが育てた分だけ強くなる、という点が重要ですから。

――一人だけとてつもなく強い選手がいたとして、そこで試合中のゲームバランスなどは変わってくるものなのでしょうか?

鈴木信宏 その選手のドリブル能力がすごく高かったとしても、その選手がパスを出す志向か、それとも持ち過ぎる傾向の選手かどうかでまた変わってきます。たとえば、視野が広くてパスがうまい選手だったら、相手を引きつけてフリーの味方に出すというシーンも増えるでしょうし。そこは監督がどういう選手を集めて、どういう形に育てたいかというところを突き詰めていただけると、理想形のサッカーを実現しやすいと思います。

――ゲームバランスの調整で他に気を付けているところはどこでしょうか?

鈴木信宏 シュートの部分ですね。全体的に選手のシュートを打つ志向は高く設定しています。試合時間はリアルなサッカーに比べて短いので、パスを回す志向に偏り過ぎると、試合終了のホイッスルまでひたすらパスを回し続けるチームになりかねませんから(笑)。


左:試合がリアルタイム進行になり、選手同士の駆け引きも迫力十分。選手AIの調整には苦労を重ねて開発しているようだ 右:選手はAIに基づいてプレーを選択する。試合時間の長さを意識し、選手は積極的にシュートを打つ志向になっているとのことだ

――『サカつく』は選手のコンディション管理が重要になってくるゲームですが、今作では自動休養の設定がかなり便利になったようですね。

島野光弘 今回は自動休養がかなり良いものになっていて、どの疲労の度合いで休養を入れるかという選択ができるようになりました。ハードに鍛えたいか、ケガのリスクを避けつつマネージメントするかなど、そのあたりも監督の目指す色が出ると思いますよ。

鈴木信宏 あと、蓄積疲労という要素もあります。全く休みがないとコンディションがなかなかベストになりづらい状態で、顔のアイコンに体調が悪そうな影がついたりします。そこは監督がキッチリと管理することでクリアできると思います。実は、このような時に橘ゆりかさんのイベントが発生すると、こういうデメリットを改善してくれますよ。

選手検索機能も今回調整しました

――今回、一般ユーザーの方がサカつく内の選手になるという「サカつく選手になろう!」キャンペーンも行いましたよね。すでに50名の当選者が公式HPで発表されていますが、キャンペーンの反響はいかがでした?

島野光弘 ええ、相当な反響がありましたね。制作期間のタイミングでユーザーさんの生の声を聞くケースってあまりないのですが「こういう作品にしてほしい」とか、「この問題点を改善してほしい」という言葉が多くて、すべて目を通しました。熱いコメントがたくさんあって励みになりましたし、実際に参考にさせていただいて改善した部分もありますよ。

――当選者は最初からどこかのクラブに所属している状況なのでしょうか?

鈴木信宏 初期状態でどこに所属しているというわけではなく、完全にランダムでいつ出てくるか分からない状態になります。


上:自動休養も疲労の溜まり具合による複数の段階設定が可能になった 下:リポーターとして登場する橘ゆりか(右)がやって来ると、所属選手をリフレッシュしてくれるという

――では、キャンペーン当選者の方は「検索機能でご自身を探してください」ということですね。

鈴木信宏 そうですね。選手検索機能も今回調整しました。前回は50人を超えるとそれ以上の選手が出てこなかったのですが、今回はそれ以上の人数がヒットしてもサーチできますよ。

――前作では年末に目標を達成できず、愛するクラブを辞めざるを得ず一度離れた後、そのクラブになかなか戻れなくなってしまうというケースがありましたが、今回もそういったケースがありますか?

鈴木信宏 今作では、監督としての実績条件を満たしているクラブは全てオファーを出してくるようにしています。そのため、一度解雇されても自クラブに戻るのは簡単になっていますよ。ただ、そもそも解雇されないような公約を選んでいただいたり、セーブデータを複数残しておいて、やり直せるようにしておくのもいいかもしれませんね。

島野光弘 セーブは小まめに、なおかつ複数活用したほうがいいですね。

――では、『サカつく』の発売を待ち遠しくしている読者の皆さんにメッセージをいただけますか。

島野光弘 キャッチコピーで“サッカーを愛するすべての人へ”とうたっているんですが、ライトな方からコアな方まで“しゃぶり尽くせる”内容になっていますので。ぜひサッカーがお好きな方にたっぷりと遊んでいただきたいですね。

鈴木信宏 今回、リアルタイムエンジンを含め、選手の個性をうまく表現できるようなゲーム性を目指して作っています。思い入れしやすいと思うので、自分の意図する選手を育てて、楽しんでいただければと思います。

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