サッカーゲームキングジャック6月号
2013.04.23

【詳細データあり】数字&データで立証された日本代表・遠藤保仁のスタイル

サムライサッカーキング5月号 掲載]

詳細なデータをもとに、日本代表の司令塔・遠藤保仁のプレーを分析。パスの頻度や出し先、プレーエリアなど、様々なデータから浮かび上がった特異なスタイルとは。
データ提供=Data Stadium

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【データ算出 対象試合】
2014年ワールドカップ アジア予選
・2011年9月23日 3次予選 対北朝鮮 HOME
・2011年9月6日  3次予選 対ウズベキスタン AWAY
・2011年10月11日 3次予選 対タジキスタン HOME
・2011年11月11日 3次予選 対タジキスタン AWAY
・2011年11月15日 3次予選 対北朝鮮 AWAY
・2012年2月29日 3次予選 対ウズベキスタン HOME
・2012年6月3日  最終予選 対オマーン HOME
・2012年6月8日  最終予選 対ヨルダン HOME
・2012年6月12日 最終予選 対オーストラリア AWAY
・2012年9月11日 最終予選 対イラク HOME
・2012年11月14日 最終予選 対オマーン AWAY
・2013年3月26日 最終予選 対ヨルダン AWAY

パスの種類

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 距離ごとに分類された3つのランキングで、いずれも2位以内に入ったのは遠藤と長谷部。最もボールに触る機会が多いボランチであり、両選手とも不動のレギュラーとして試合に出続けていることから当然の結果とも言えるが、特筆すべきは遠藤の「成功率」。ショートパスでは他の追随を許さない93パーセント以上の成功率を誇り、ミドルパスやロングパスでも、相手からのプレッシャーが少ないDFの選手に匹敵する数字を残している。遠藤から放たれる正確無比なパスが、いかに日本のパスサッカーを支えているかが数字で立証されたと言えるだろう。

パスの数

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プレーエリア

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 3分割したピッチの全エリアでトップ5に入った遠藤。マイペースな性格からプレーの印象も緩やかに思われがちだが、南アフリカW杯では1試合平均走行距離約11.8キロとチーム最長。常に広い視野を保って頭をフル回転させ、スペースを見つけては生かす(または埋める)作業を続け、攻守でチームを支えている。まさに日本の“心臓”と言える。

選手間パスの頻度

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 W杯予選に出場した全選手を対象とした「選手間パス頻度(日本代表)」でトップ5を独占した遠藤は出し手、受け手のどちらでも高い数字を記録。パス能力に加え、パスを呼び込むポジショニングの巧みさも立証した。また同時に、攻撃を組み立てる上でいかに大きな役割を担っているのかも浮き彫りになった。遠藤とのパス頻度で上位入りしたのは長谷部と、左サイドが主戦場の選手たちだが、他選手とのパス交換も決して少なくない。それは成功率を下げずにショートパス、ミドルパス、ロングパスを使い分けられる遠藤だからこそ実現できた数値と言えるだろう。

横パス&ラストパス

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 ゲームの組み立てや攻撃に変化を加えるだけでなく、チームに良いリズムを生み出す意味でも欠かすことのできない横パス。ここでも遠藤は総数でトップに立ち、成功率でもセンターバックの今野、吉田を除けば圧倒的な数値を記録している。供給エリアも自陣右サイドの深いエリアとゴール前以外はカバーしており、改めて存在感の大きさを示した。

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 ラストパスの定義は「シュートを放った選手が受けたパス」であるため、パスが通り、なおかつシュートまで至ったケース以外、ラストパスと断定できない。そのため「ラストパス」に失敗はなく、成功率は存在しないが、遠藤の供給エリアは敵陣3分の2をカバーするため、相手にとってはいつラストパスを出すのか読めない危険な選手と言えるだろう。

※セットプレーは除く

タックル&起点となるプレー

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 攻撃に比べると、遠藤の守備に焦点が当たることは決して多くない。しかし、無尽蔵のスタミナやスペースを埋めるカバー能力、そしてこの「タックル成功率」で2位にランクインしたように、守備面でも高い貢献度を誇る。更にタックルの「成功」はマイボールにできた場合に絞られるため、成功率の高い遠藤はボール奪取能力にも優れていることがデータによって明らかになった。また、長谷部が「総数」で大きく遠藤を上回っているところをみると、まず長谷部がプレスを仕掛け、呼応した遠藤がボールを奪い切る、という両ボランチの関係性も垣間見える。

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 シュートの3〜5つ前のプレー、つまりシュートに至る流れの中で起点になった回数でトップに立ったのは、やはり遠藤。ラストパス数では4位に甘んじたが、先の展開を読んだパス、攻撃のスイッチを入れる能力が問われる本項目では香川を除き、他選手を圧倒した。また、香川とは日本代表の中で最も多くパス交換している関係だけに、まさに2人が効果的に絡んだ場面こそ、チャンスが生み出される瞬間と言えよう。

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 相手陣内でのプレー成功率で、遠藤だけが80%台を記録。誰よりも安定したプレーをしていることが数字によって改めて実証された格好だ。特筆すべきは、プレーエリアからも分かるとおり敵陣でのプレー機会が少なくないこと。ピッチの至る場所でプレーしながら、ここまでミスが少ない選手は、世界的に見てもそう多くないだろう。