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ACL出場から1年…柏への“出戻り”を目指して好スタートを切った順天堂大ルーキー浮田

2016.05.13

流経大戦で今季2点目をマークした浮田 [写真]=平柳麻衣

 柏レイソルでトップチームデビューを果たしてから1年。浮田健誠は順天堂大学のルーキーFWとして、7日に行われたJR東日本カップ2016第90回関東大学サッカーリーグ戦第6節、流通経済大学戦に出場し、1ゴールを記録した。

 185センチの長身を生かしたポストプレーや守備での献身性を持ち味とし、開幕戦から6試合連続で先発出場。堀池巧監督は「あれだけ大きいのに足元の技術があって懐が深いし、タメも作れる」と評価しながら、「1年生なので目をつぶる部分はあるけど、試合に出たがっている選手は他にもたくさんいるし、悠長なことを言っていられるほど楽なリーグじゃない。ピッチに立って結果を出しながら逞しくなってほしい」と、得点源として進化に大きな期待を寄せている。

 それだけに、第2節で大学初ゴールを記録して以降、3試合得点がない状態に「焦りが出てきていた」(浮田)というが、流経大戦では4分にチームの2点目をマーク。この得点で勢いを増した順天堂大は4-1で大勝した。また、この日は順天堂大の集中応援日に指定されていた上、地元から近いフクダ電子アリーナでの開催だったため、中学、高校時代の友人たちを招待していたといい、「自分が点を取って勝てて本当に良かった」と胸をなで下ろした。

 流経大戦前日のちょうど1年前、柏U-18に所属していた浮田は、2種登録選手としてAFCチャンピオンズリーググループステージ第6節(ビンズオン戦)に出場した。「偶然思い出して」自身のSNSアカウントに当時の写真を掲載したのは、胸に秘めた古巣への想いがこみ上げてきたからだった。

「プロの選手たちは試合への準備の仕方が全く違った。スイッチが入ったら、『サッカーでお金を稼ぐ』という覚悟が伝わってきて。試合会場の雰囲気を思い出しながら、またここに戻ってきたいという気持ちが強くなった」

 トップチームデビューを果たした「喜び」よりも、昇格が叶わなかった「悔しさ」を忘れないため、現在はビンズオン戦で着用したユニフォームを寮の自室に飾っているという。

 クラブユースと大学では環境面などの違いが大きいが、浮田は新鮮な気持ちで受け入れ、人間としても成長を遂げている。流経大戦後、ミックスゾーンに現れた際には、チームの荷物を両手いっぱいに持っていた。「ユースの時はサッカーだけやっていれば良かったけど、ここではまず『学生として』の行動が求められるし、チームのことを第一に考える。例えば、チームの荷物運びも下級生だけがやるのではなく、先輩たちが率先してやる姿を見てすごいなと思ったし、そういうところからチーム力が上がって、勝利につながると感じた」。18歳のあどけない表情の中にも、自身の成長を期する覚悟が感じられる。

 大学を経て目指すのはもちろんプロの舞台。そのためには、1年目から貪欲に結果を残し続けなければならない。「チームが勝つことが一番だけど、自分の得点を狙っていきたい。目標は二桁ゴールで、新人賞も取りたい」

 早くもリーグ戦で2点目をマークしたルーキーは、これから数々の歓喜の場面を生み出すだろう。結果を残し続ければ、必ず道は開ける。もう一度あの場所に“帰る”ため、浮田は走りだしている。

文=平柳麻衣

By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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