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<選手権フォーカス>【青森山田】“ユース年代日本一”包囲網を突破できるか

2016.12.29

主将の住永(手前一番右)を中心に戦う青森山田 [写真]=安藤隆人

 20年連続となる高校選手権出場を果たす東北の名門・青森山田が、一気に優勝候補最有力に躍り出た。ユース年代最高峰のリーグ・高円宮杯プレミアリーグEASTを制し、チャンピオンシップではWEST王者のサンフレッチェ広島ユースをPK戦の末に退け、“ユース年代真の日本一”に輝いたからだ。

 最後まで集中を切らさず、足を止めること無くプレスを掛ける組織的な守備。ポゼッションとショートカウンターを織り交ぜながら、ゴールに迫って行く攻撃。どれも一級品で、1年を通して安定した戦いを続けてきた集大成を見せるときがやってきた。

[4-1-4-1]のシステムで鍵となるアンカーに入る主将の住永翔は「選手権ではより自分たちをマークしてくるし、時には守備的にくると思う。そこで焦ったり、集中を切らして失点しないように、もう一度気を引き締めて臨みたい」と、ユース日本一になったからといって、気の緩みを見せない。

 住永は豊富な運動量と高い危機察知能力を駆使し、攻撃の芽を摘み取るだけでなく、最終ラインや2シャドーのカバーにも奔走して攻守のバランスを司る。高い戦術理解力と抜群のキャプテンシーを持っており、試合を通して質の高いコーチングと、仲間を鼓舞する声を出し続けることで、チームは最後まで気を引き締めた状態で戦い抜けることが強みだ。

 また、注目を集める住永やプロ内定コンビのGK廣末陸(FC東京内定)、MF高橋壱晟(ジェフユナイテッド千葉内定)以外の選手の個性も際立っている。185センチの高さを誇る三国スティビアエブスと小山新の両サイドバックがクロス、フィードを徹底して跳ね返す。そして小山内慎一郎と橋本恭輔のCBがポジショニングの上手さと球際の強さを発揮して、セカンドボールとラインコントロールを担う。

 郷家友太と高橋のツーシャドーは攻守において存在感を発揮。献身的な守備と攻守の切り替えの速さ、そして多彩な攻撃のアイディアで相手ゴール前に圧力をかけると、左サイドでは昨年からのレギュラーである嵯峨理久が豊富な運動量と、切れ味鋭いドリブルからのクロスやシュートで活性化させる。

 反対側の右サイドでは激しいポジション争いが繰り広げられている。選手権が迫り、急成長を遂げていた1年生の檀崎竜孔がスタメン候補筆頭に名乗りを挙げていたが、前述の広島ユース戦でひざを負傷して選手権出場が危ぶまれている。もともとの有力候補だったドリブルセンスのある佐々木友、長短のキックでチャンスを作る堀脩大が奮起できるか。それとも1年生の天笠泰輝らが台頭をしてくるのか、注目ポイントの一つだ。

 1トップは鳴海彰人と佐々木快がしのぎを削っている。身体能力が高く、献身的な守備と前への推進力を見せる鳴海と、シュートセンス抜群の佐々木快。ともに闘争心を前面に出せるストライカーだけに、相手にとってはどちらが出てきても間違いなく脅威となる。

“ユース年代真の日本一チーム”は、選手権でその力を見せつけることができるのか。「この優勝によって、選手権では当然厳しいマークに合うことは覚悟している」と住永が語ったように、『青森山田包囲網』はより強固なものになっただけに、更なる底上げを図り、盤石の体勢で臨めるか。連携の質、チーム内競争の激化こそが、その重要な鍵となる。

取材・文=安藤隆人

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