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鹿島への思いを胸に…東京学芸大の俊足ルーキー色摩雄貴、2ゴール演出で初勝利に貢献

2016.04.18

2ゴールに絡む活躍を見せた東京学芸大FW色摩雄貴(中央) [写真]=内藤悠史

 快晴に恵まれたフィールドに、初勝利の喜びが広がった。16日に行われたJR東日本カップ2016 第90回関東大学サッカーリーグ戦2部 第3節で、東京学芸大学は関東学院大学に3-0と快勝。集中応援日に指定された一戦で3ゴールを決め、会心の白星を収めた。

 ベンチで勝利の瞬間を見届けたFW色摩雄貴は、1年生として唯一、先発メンバーに名を連ねていた。開幕節から3試合連続でスターティングメンバー入りを果たした背番号30は、44分にチーム2点目となるオウンゴールを演出し、54分にはMF堀大貴の3点目をアシスト。「このままスタメンをキープして、チームに貢献していきたいです」と充実感を漂わせた。

 開幕2試合で1分け1敗と苦しいスタートとなった東京学芸大。1年生ながら開幕スタメンを勝ち取った色摩は「中央大戦では緊張や戸惑いはありましたけど、やっていくうちに自分のプレーを出せたのではないかと思います」と一定の手応えを掴みつつ、大学サッカーでの初陣でフル出場を果たした。しかし、第2節の神奈川大戦では「大学サッカーのレベルの高さを感じました。プレッシャーがすごく速くて…」と、悔しさを味わった。チームも自身も2試合連続無得点に終わり、奮起を期して臨んだ第3節。2ゴールに絡む活躍で、3-0とリードした62分に途中交代でピッチを退いた。

「1、2試合目はチームとしてあまりうまくいっていない感じで、自分もあまり(プレーに)絡めていませんでした。今日は(先発)メンバーが替わってFWに背の高い選手が入ったんです。そのまわりで良い形でセカンドボールを拾うことができたのではないかと思います」

 開幕2試合では同じ先発11人を起用した檜山康監督だが、今節では2人を入れ替え、FWの一角には増田侑也を指名。空中戦を繰り返して起点となる背番号9のまわりを駆け回った色摩は、「アントラ(ーズユース)でも垣田(裕暉、現鹿島)と組んでいたので、その時のイメージでやっていました」と、神出鬼没に顔を出してボールを触ることで攻撃のリズム構築に貢献した。また、時に低い位置でパスを引き出し、持ち前のスピードを活かした突破と前線からのプレスで存在感を見せる。そして44分、左サイドの高い位置でボールを収め、オーバーラップしたDF冨澤右京とのパス交換から相手のオウンゴールを誘うと、54分には右サイドの背後を取って正確なクロスボールを上げ、堀のゴールをアシストした。

 ルーキーながら出場機会を掴み、大学サッカー3試合目でゴールにつながる結果を出した色摩。上のコメントにもあるように、俊足を誇るアタッカーは昨シーズンまで鹿島アントラーズの下部組織でトレーニングを積んだ。ジュニアユースつくばを経てユースに昇格し、高校2年時にはJユースカップ優勝、3年時には高円宮杯U-18プレミアリーグEAST初優勝、チャンピオンシップ初制覇、アジア・チャンピオンズ・トロフィー(ACT)優勝を果たした。トップチーム昇格は叶わなかったものの、スーパーサブとしてピッチに立ち、爆発的なスピードで繰り出されるドリブル突破は印象的で、その名前を覚えている鹿島サポーターも少なくない。

 タッチライン際でボールを受けてドリブルを仕掛ける姿が数多く見られたユース時代を経て、色摩は今、当時とは異なる役回りで成長を遂げようとしている。「アントラーズの時はサイドに張っていて“ボールをもらってから勝負”という感じでした。今は(檜山)監督から『自由にやってくれ』と言われていて、攻撃の起点になることが役割です。やりがいはありますね」。大学ではまだ3試合目だが、プレーエリアが広がっている印象を受ける。後半に入ってからは重点的に右サイドに流れ、3点目のアシストにつなげた。「相手の左サイドバックが試合にあまり入れていない印象だったので、前半でそれを見極めて、後半は右サイドに流れてみたんです」と、色摩は納得の表情を浮かべていた。

 大学サッカーでの歩みを始めた色摩。「本当に、それを目標にしています」と力を込めたように、胸の中には“アントラーズに戻る”という強い思いがある。垣田、DF町田浩樹、MF平戸太貴、MF田中稔也と同期4人がトップチームへの昇格を果たした中、「悔しさもあったけど、本当にお世話になったチームですし、期待してくれている人たちもいると思うので、また(アントラーズで)プレーできるようにしたいです」と、再び鹿島のユニフォームを纏う将来をイメージしていた。

「3試合連続でスタメンで使ってもらえましたけど、まだまだ貢献できていないので、監督やチームの期待に応えていけるように」と、色摩はさらなる活躍を誓った。1部昇格を目指すチームで輝きを放つことができるか、注目したい。

取材・文=内藤悠史

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