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「臨機応変に対応できることが強み」…“修正力”を発揮した富山第一が逆転勝利で8強進出

2016.01.04

ベスト8進出を決めた富山第一[写真]=大澤智子

 富山第一高校が見事な『修正力』を見せた。

 立ちあがり4ー4ー2で挑んだ富山第一だったが、矢板中央高校の縦に速いサッカーと、川上優樹星キョーワァンの大型センターバックが固める中央の守備に苦しみ、リズムをつかめなかった。我慢の展開となったが、15分に右CKからDF真下瑞都にヘッドで決められ、先制を許してしまった。

 しかし、この失点が逆に大塚一朗監督に『決断』を下させた。20分過ぎに柴田丈一朗坂本裕樹の2トップから、坂本をセンターフォワードに、柴田を左ウイングに置き、右MFの久保佳哉を右ウィング、左MFだった賀田凌をトップ下だった河﨑輝太と2シャドーで並べた4ー3ー3にシフトチェンジ。サイドからDFラインの裏を狙って対角線のボールを増やしていくことで、相手の中央の牙城を切り崩しにかかった。

「立ちあがり相手におつきあいをしてしまった。なので、ボールの出所を変えて、突破力のある柴田にサイドで起点を作ってもらい、賀田と河﨑が2列目からどんどん飛びだしていくことで、相手のマークをずらそうと思った」。

 大塚監督の狙いは、見事にはまった。ボールがスムーズに回り始めると、50分には坂本の左からのクロスから、ファーサイドで競りあったボールが弾いたゴール前のスペースに落ちると、詰めていた賀田が叩きつけるボレーシュートで押しこみ、同点に追いついた。

 その後も柴田が左でカットインやクロスなど、効果的なプレーを見せると、坂本、賀田、河﨑が連動して、流動的な攻撃を見せると、後半アディショナルタイムに結実の時を迎える。80+2分、右サイドから縦にクリアボールが入ると、これに反応した賀田が詰めてきたDFをよく見て、ダイレクトで裏のスペースに蹴りだす。これに坂本が抜けだし、中の様子をよく伺ってから、ファーサイドのスペースに走りこんでくる柴田へ浮き球のセンタリング。これを柴田が左足でランニングボレーシュート。劇的な逆転弾を叩きこんだ。

「それぞれが指示通りのことをやってくれた。今年のチームは臨機応変に対応できることが強み。僕も最後は柴田が決めてくれると思っていた」(大塚監督)。

 まさに会心の展開でベスト8進出を決めた富山第一。この臨機応変さを武器に、一昨年の快進撃の再現を誓う。

文=安藤隆人

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