サッカーゲームキングジャック6月号
2016.01.13

“棚ぼた”残留から大躍進…リーガで巻き起こる“エイバルの奇跡”

エイバル
エイバルは19試合を終えて、勝ち点30の6位と躍進を続けている。 [写真]=ムツ カワモリ
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 他クラブの強制降格によって、“棚ぼた”での繰り上げ残留を果たす――。それが、乾貴士が所属するエイバルの今シーズンの始まりだった。

 昨シーズンは、クラブ史上初の1部昇格を成し遂げたものの、最終節を終えて18位での2部降格が決定。しかし、残留圏にいたエルチェが財政難による強制降格処分を受けたことで、再びトップリーグで戦うチャンスを与えられた。

 それでも、町の人口はわずか2万7000人。本拠地の観客席も増設して収容6000人強と、90年近い歴史を持つリーガ・エスパニョーラで「史上最もホームタウンの人口が少なく、最も小さいホームスタジアムを持つクラブ」という事実までが変わることはない。それ故、開幕前には“降格候補筆頭”に推す現地メディアは後を絶たなかった。

 しかし、いざ蓋を開けてみれば、周囲の予想をはるかに上回る快進撃を披露する。リーグ開幕戦でグラナダ相手に3-1の勝利を収めると、消化1試合ながらクラブ史上初の1部首位に立った。その後も勢いは衰えることなく、前半戦となる開幕19試合を終えて、勝ち点30の6位。昨シーズンの総勝ち点まであと「5」と迫る好成績を収め、欧州カップ戦出場圏内に入る躍進を続けている。

 前半戦の首位チームに与えられる“冬の王者”には、バルセロナとレアル・マドリードの2強を差し置いてアトレティコ・マドリードが輝いたが、リーガ最少規模の年間予算で戦うエイバルの健闘ぶりは、今シーズンのリーガで“最大のサプライズ”と言っても過言ではない。

 では、なぜ彼らはこれほどの躍進を遂げることができたのか?

「我々は、過去の教訓から学ばなければならない」。そう語るのは、2009年からクラブの会長を務めるアレックス・アランサバル氏である。そして、同会長の言う「過去の教訓から学んだ」ことが、今シーズンの原動力となっている。

 実は昨シーズンの前半戦も、エイバルは好成績を収めていた。開幕19試合までに稼いだ勝ち点は27。順位も8位と、1部初挑戦で素晴らしい結果を残していた。しかし、年明け以降に急失速。第20節から8連敗を喫して順位を2桁に落とすと、結局、後半戦の19試合でわずか2勝、勝ち点を8つしか積み上げることができず、2部降格という憂き目にあった。

 その後、前述のとおり、他力での残留を果たすことになったのだが、この時の苦い経験が彼らを本気にさせる。昨シーズンの二の舞を避けるべく、ここから“1部仕様”のクラブ作りがスタートした。

 昨夏の移籍市場では、15名以上の選手入れ替えを敢行。自由契約下にあった1部経験者を数多く獲得するとともに、乾との契約を実現させるため、クラブ史上最高額の移籍金を支払った。また今シーズンから、あのジョゼップ・グアルディオラも手堅いチーム作りに一目置くホセ・ルイス・メンディリバル監督を新指揮官に招へい。そうして、チームを一から作り変えた。

 加えて、ピッチ外でもクラブの本気度が証明された。昨年12月に開かれた株主総会では、今シーズンの総予算をクラブ創設以降で最高額となる3200万ユーロまで引き上げることが承認された。さらに同時期には、新たな練習場がオープン。あわせて排水設備のリフォームが行われ、選手たちにはより快適な環境が用意された。

 果たして、これら諸改革の成果はどうだったのか。それは、チームの現状が全てを物語っている。

 リーグ開幕16試合消化時点での「スタジアム収容率」は、1部で最高となる85.43%を記録。またGKアラン・リエスゴや主将のMFダニ・ガルシアら、快進撃を支える主力選手たちとの契約延長が相次いで発表されている。そして今月10日には、乾に待望のリーガ初ゴールが生まれた。過去に学んだエイバルに届くのは、吉報ばかりである。

「我々はこれからもしっかりと地に足をつけて歩んでいく。目標は引き続き“残留”のままだ。欧州カップ戦出場権のことは考えられない」

 アランサバル会長がそう強調したように、いつまでもこの勢いが続くとは限らない。実際、昨シーズンはここから奈落の底に突き落とされた。だからこそ、後半戦初戦となる18日のグラナダ戦は、極めて重要なゲームとなってくるだろう。

 とはいえ、エイバルが地力をつけてきているのは間違いなく、今まさに、クラブ史上最も幸せな時間を過ごしているのは、揺るぎない事実である。

(記事/Footmedia)

欧州順位ランキング

レスター
81pt
アーセナル
71pt
トットナム
70pt
欧州順位をもっと見る
Bミュンヘン
88pt
ドルトムント
78pt
レーバークーゼン
60pt
欧州順位をもっと見る
バルセロナ
91pt
Rマドリード
90pt
Aマドリード
88pt
欧州順位をもっと見る
ユベントス
91pt
ナポリ
82pt
ローマ
80pt
欧州順位をもっと見る