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バルサ、リーガ脱退なら待つのは暗い未来…カタルーニャ独立で直面する難題

2015.09.28

本拠地カンプ・ノウで振られるカタルーニャ州旗 [写真]=Getty Images

 リーガ・エスパニョーラから、レアル・マドリードバルセロナによる伝統の一戦“クラシコ”がなくなる――。それまで、少なくとも海外のリーガファンの間では、半ば冗談として捉えられてきたことが、いよいよ現実のものになろうとしている。

 27日、スペイン北東部カタルーニャ州議会の総選挙が行われ、分離・独立派が過半数の議席を獲得した。この結果、独立派連合は今後1年半以内に、スペインからの独立の手続きを民主的に行っていくという。

 仮に独立が実現した場合、カタルーニャ州に本拠地を置くバルサとエスパニョールは、スペイン側から見て“外国のクラブ”となり、現在所属するスペインサッカー連盟(RFEF)からは除名。リーガからも脱退することになる。スペインのスポーツ法では、スペイン国内の連盟に属さないチームが、国内のリーグ、つまりリーガでプレーすることは認められていないからだ(※編集部注:アンドラのチームだけは、特例によりスペイン国内のリーグでプレー可能)。そうなれば、数々の激闘を繰り広げてきた“クラシコ”は、1つのピリオドを打つことになる。

 もっとも、そうした未来が、当事者であるクラブ関係者、選手、地元のファンたちにとって幸せなサッカーライフを保証するものになるかと言えば、一概に「Si(*スペイン語で「Yes」の意)」とは言えないだろう。

 バルサとエスパニョールが独立後に公式戦を戦うには、他国のリーグに参入するか、カタルーニャサッカー協会が欧州サッカー連盟(UEFA)や国際サッカー連盟(FIFA)に独自に加盟し、オリジナルのプロリーグを創設する以外に方法がない。特に後者の道を選んだ場合、バルサはこれまでよりもレベルの低い相手と戦うことになり、“2強”はおろか、“1強”体制が長く続くことになる。当然、リーグとしての魅力、競争力はなくなり、チーム力が低下する恐れや、現在在籍するスター選手が次々に退団する可能性が出てくる。

 なお、その場合、“クラシコ”が再び実現するのは、新たなリーグで欧州カップ戦出場権を獲得して、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグで対戦する。あるいは、親善試合で戦う。その二択しか残されていない。ただ、これにしても、そもそも新たなリーグに欧州カップ戦出場権は分配されるのか、という問題が残っている。

 このように、政治的な問題はともかく、サッカー的な観点から見て、カタルーニャ独立にともなうメリットはほぼ無いに等しい。実際、バルセロナのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は、今回の選挙を前に「バルセロナはニュートラルな立場にある」と主張。クラブが独立運動とは距離を置いていることを強調し、慎重な姿勢を崩していない。それも、独立によるデメリットを理解しているからと想像できる。

 一方、今回の選挙結果は、代表レベルにも波及する。いざ独立が実現すれば、カタルーニャサッカー協会が「一国の協会」としてUEFAやFIFAへの加入を目指し、独自の代表チームを持つことになるのは必至。そうなった場合、来年のユーロ2016で大会3連覇を目指すスペイン代表に、カタルーニャ州出身のジェラール・ピケやセルヒオ・ブスケツらを選出できなくなるという最悪の事態も想定される。

 もちろん、「Catalonia is not Spain(カタルーニャはスペインではない)」が合言葉だった独立支持派は、これまで非公式に活動してきたカタルーニャ代表が、真の代表チームとして国際大会に参加することを切望してきた。同代表入りの資格を持つのは、前述の“バルサ組”の他にも、セスク・ファブレガスチェルシー)やボージャン・クルキッチ(ストーク)ら“海外組”のスター選手も含まれ、チームとしての実力は欧州中堅国以上とも評される。そして、もし仮に「スペイン代表 vs カタルーニャ代表」が実現すれば、“クラシコ”以上の盛り上がり、注目を集めるのは間違いなく、好勝負を演じる可能性もある。

 ただし、それはあくまで「ローカル・ダービー」の域を出ない。歴史を紐解けば、旧ユーゴスラビアのように、独立以降、世界のサッカーシーンから取り残された例もある。時代背景も、独立に至る過程も異なるとはいえ、あれほど栄華を誇ったスペイン代表が、数カ月後には“幻の代表チーム”となったとしても不思議ではない。

「バルサよりも独立の方が重要だ」

 今回の選挙前、地元民の間ではこうした声が多勢を占めたという。そして、ジョゼップ・グアルディオラも、ピケも、独立に賛成の意を表明した。もちろん、サッカーはあくまで人生の一部であり、それ以上でも以下でもない。また、他者がそれぞれの民族感情を理解することも不可能だ。ただし、リーガの風物詩でもある“クラシコ”がなくなるという、その事実を目の当たりにすれば、いずれのサッカーファンも寂しさを禁じ得ないはずだ。

 リーガを運営するスペインプロリーグ機構(LFP)のハビエル・テバス会長は、カタルーニャ州が独立した場合、バルセロナエスパニョールがリーガで引き続きプレーするためにはスポーツ法の修正が必要だと先に認めている。果たして、法改正は実現するのか。あるいは、何らかの特例によって、“リーガ残留”を認めることになるのか。タイムリミットまで、時間はそう残されておらず、バルサやエスパニョール自身の身の振り方を含めて、今後の展開が引き続き注目される。

(記事/Footmedia)

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By Footmedia

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