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【CL展望】こだわりを捨てなければ足をすくわれる可能性も|ユヴェントス

[写真]=Getty Images

 2月15日に発売となった雑誌『SOCCER KING』3月号では、チャンピオンズリーグのラウンド16を完全プレビュー! 決勝トーナメントをより楽しむためのコンテンツをWebで一部公開します。



 選手個々の能力も、チームとしての選手層も、もちろんクラブとしての経験もまるで格上。だからユヴェントスが“普通”に戦えば、たとえリヨンが今シーズン最高のパフォーマンスを見せても大方の予想を覆すアップセットは起こり得ない。イタリア全土に散らばる楽天的なユヴェンティーノは、きっとそう考えているに違いない。

 セリエA8連覇中のユヴェントスは、今シーズンも確かに強い。

 第22節終了時点で17勝3分け2敗。もちろん1位。インテルとラツィオが肉薄する展開はまだ「スリリング」と言えるが、それこそ、シーズン後半戦に問われる選手個々の能力、チームの選手層、クラブの経験値はやはりユヴェントスが頭一つ抜けていると言える。例年どおりなら、絶対的なイタリア王者が本当の力を発揮するのはこれからだ。だから、“普通”に戦えば9連覇は間違いない。

 では、そもそもユヴェントスにとっての“普通”とは何か。マッシミリアーノ・アッレグリが指揮を執った過去5年間において、それはシーズン後半突入後のこの時期に見られる「ベストメンバーの確定」だった。

 アッレグリは、いつも決まってシーズン前半戦を“ベスト”の模索期間とした。ベストな戦術、ベストなシステム、それを構成するベストなメンバーを約5カ月かけて探り、いろいろな組み合わせを試してたった一つの答えを導き出す。例えば、16-17シーズンは開幕当初から新加入のミラレム・ピアニッチをトップ下ではなくレジスタのポジションで起用し、11月には1トップのマリオ・マンジュキッチをサイドMFにコンバートした。翌年の1月には彼らを軸とする布陣を確定させ、この年のチームは欧州王座にあと一歩のところまで迫った。

 新戦力をうまくなじませながら、新たな刺激を加えて一度チームをリセットする。試行錯誤を繰り返し、時間をかけてその年のチームの最適解を探り当てたら、それを信じて後半戦は勝負に専念する。それがユヴェントスの“普通”である。

 しかし今シーズンから指揮を執るマウリツィオ・サッリのやり方は、どうやらその“普通”とは異なる可能性が高い。

 最大の懸案は、個々に圧倒的な決定力とチャンスメーク力を持つパウロ・ディバラとゴンサロ・イグアイン、クリスティアーノ・ロナウドを同時起用するトリデンテ、通称「ディグアルド」の可能性を模索し続けていること。「3人同時にピッチに立つのは楽しいよ。うまく動けているし、バランスを保てている。どんな強い相手でも、この3人はイケる」

 C・ロナウドはそう話しているらしいが、攻撃の局面はともかく、守備の局面では全くうまく動けていない。バランスも保たれていない。今シーズン最初のタイトルが懸かった12月23日のスーペルコッパ・イタリアーナでラツィオに完敗した時点で答えは出ていたはずだが、サッリは1月26日のナポリ戦でもトリデンテをスタメン起用し、同じように守備の機能不全に陥ったチームは今シーズン2敗目を喫した。サッリがナポリ時代に築いた「サッリ・ボール」や「サッリズモ」と呼ばれるパスサッカーは前線からの“精密な守備”を原点としていたはずだ。しかし、サッリ自らの采配によって守備のバランスを崩し、ユヴェントスでの「サッリ・ボール」の完成を阻んでいる。“飛び道具”としてならまだしも、3人のスタメン起用はありえない。

 ユヴェントスの目標はチャンピオンズリーグ制覇にほかならない。サッリはそれを実現するために連れてきた指揮官であり、だからこそ、特別なオリジナリティ(すなわち「ディグアルド」)を示してターゲットに手をかけたいという気持ちもよく分かる。

 しかしユヴェントスはただ静かに、“普通”のサイクルを力強く突き進んでいるときが一番強い。いつまでも新しい可能性を模索してジタバタしているようなら、一見格下に見えるリヨンに足をすくわれても不思議ではない。

【PLAYER FOCUS】DF 4 マタイス・デ・リフト

デ・リフト

[写真]=Getty Images

 昨シーズンのCLで快進撃を見せたアヤックスのキャプテンは、有力視されたバルセロナ行きではなく“守備の国”イタリアでの修行を決断。王者ユヴェントスの一員となり、開幕直後に長期離脱の大ケガを負ったジョルジョ・キエッリーニの代役としてスタメンを勝ち取った。

 当初は“水の違い”に困惑したのか本来のパフォーマンスを示せず、同じく新戦力のメリフ・デミラルにポジションを奪われた時期もあったが、デミラルの長期離脱によってまたしてもチャンスがめぐってきた。

 リベンジの気持ちが先走って軽率なミスを犯すこともあり、20歳という年齢を考えればセリエAでもCLでも相手に“狙われる”ことは間違いない。しかしデ・リフトがもう一皮むけてそのポテンシャルを発揮すれば、守備陣だけでなくチームとしての総合力が一段上がることも間違いない。

 対人の強さもスピードもクレバーさも世界トップレベル。サッリがトリデンテの可能性にこだわるなら、なおさらその存在感が重要度を増す。

文=細江克弥

『SOCCER KING』2020年3月号

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