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【インタビュー】堂安律が語るワールドカップ…3年半後は日本の「リーダーになりたい」

2023.01.11

[写真]=Getty Images

 ドイツ戦、スペイン戦の2得点で、その名は世界に轟かせた堂安律。「1分1秒が深かった」というワールドカップについて、着用したプーマのULTRA ULTIMATEについて余すことなく語ってもらった。

取材・文=川端暁彦

上手い選手じゃなくて“強い選手”になりたい

[写真]=Getty Images

——今大会を終えて、改めて試合映像を見返しましたか?
堂安 いえ、90分間はまだですね。失点シーンや自分が気になっていた場面だけは見返して、みんなで話し合ったりもしましたけれど、全体を通して観るようなことはしていないです。

——映像がなくとも鮮明に感覚が残っているからでしょうか。
堂安 それはありますね。やっぱり1分1秒が深かったなと思うし、いま振り返ると1分1秒でもサボったらやれるという緊張感を持ちながらやっていましたから。『あのシーン』と言われたら、すぐにそのシーンが出てくるような感覚はあります。

——最初のドイツ戦から凄まじい試合でしたもんね。スタンドで観ていた私は登場早々から『堂安の守備が凄ぇぞ!』と興奮していました(笑)。
堂安 いや、それを評価してくる人があまりいなかったので、ちょっと嬉しいです。フライブルクのシュトライヒ監督からも連絡が来て、すごい守備を褒められました。確か“5デュエル5ウィン”だったと思うんですけど、(デュエルで)全て勝てていた。そこは正直一番と言ってもいいくらい自分的に嬉しかったんです。先に点を取れたことによってアドレナリンで体が動いたというのもあると思うんですけど、立ち上がりのワンプレーでキミッヒのボールを奪ったシーンから始まっていたとも思います。そこは良かったですよね。

——まさに今ドイツで求められていること。そして習得してきたものを出せたドイツ戦だったと思います。
堂安 自分とマッチアップしたラウムに関してはもうやりたいことも分かっていましたし、“ザ・ドイツ人”というガタイが大きくてドシドシとしているようなスタイルの選手でしたからね。

——そして75分に同点ゴールを決めました。
堂安 結果を出せたのはすごく嬉しかったですけど、いま振り返ると結果はやっぱり後からついてくるものなので。こうしてみんなが喜んでくれるのは結果を出したからなんですけど、自分的にはそれほど驚きもないですし、やってきたことに対して神様がちょっとご褒美を与えてくれたぐらいの感覚かなとは思っています。

——逆にここまでA代表では神様に意地悪をされてきた印象すらあって、得点が取れそうで取れない試合がたくさんありました。
堂安 いや、まさにですね。(無得点だったのは)3年11カ月ですか……。うん、それだけ離れて、その間にすごいライバルも出てきました。(伊東)純也くんが出てきたり、(久保)建英も出てきましたしね。まさに『自分の存在価値がなくなるんじゃないか』と恐れていた時もあります。でも、そこで挫けずやれたから、神様がちょっとご褒美を与えてくれたのかなと思ってます。

——普通は結果が付いてこないと心理面で難しくなるものですが、堂安選手は凄く良いメンタルで今大会へ入ったように見えました。
堂安 それはもう3月にメンバーから落選して、6月の代表へ行った時ですよ。6月の代表戦が人生で一番緊張していましたから。ワールドカップよりも緊張というより不安が強くて……。メディアからは『森保さんと何か揉めたんじゃないか』とか言われてたりもしましたけど、全く揉めていないですよ。でも、そんなことも言われていて、中で起きていることと世論にギャップがあって、『やりづらい環境にされたな』とも思っていましたし、だから緊張しました。自分の性格上、言っちゃうところもあるので、そこで自分にプレッシャーもかかっていましたから。

——簡単ではない心理状態になっていたわけですね。
堂安 でも、その精神状態が逆にかなり良かったんですよ。緊張して、多少の不安があってというのが良かった。まさにその状態を維持して緊張感を持って大会に臨めたんです。この期間で技術は別にうまくなっていません。でもこの2、3カ月でメンタルコントロールはかなり成長できたなと思います。

——改めて、ドイツ戦とスペイン戦のゴールはどうでしたか?
堂安 正直言うと、僕は1点目の方が嬉しかったです。2点目は“ザ・自分の特長”をあの舞台で出せた嬉しさはありますけどね。喜びが爆発したのはドイツ戦でした。スペイン戦のゴールは何かそれほど言葉で飾ることもない感覚ですね。ずっと話してきましたけれど、あのコースは自分のコースなので。

——確かに堂安律らしい一発でした。
堂安 あれ、確か(後半の)2分くらいですよね。その2分間の間に『あそこ空いているな』というのが何本かあって、ブスケツの脇に入って、ペドリをかわしたらもう誰もいなかった。そこも俯瞰で見ているようなイメージがありましたね。分析力もあってのゴールだったかなと思います。

——クロアチア戦についてはいかがでしょうか?
堂安 悔しい。悔しいゲームだったと思うし、攻撃陣としてはもっと前半の苦しい時にファウルをもらってあげて押し上げたりだとか、ちょっとコーナー付近で溜めてあげたりとかしてあげたかったなというのは正直あります。延長は『チームを助けたいな』と思いながら見たんですけど……。

——結果的にはPK戦の末に敗れました。
堂安 試合後『PKは運だ』と話しましたけど、正直に言えば、あの時はそう言っただけでPKは技術だと思っています。そこで僕たちが下回ったということです。それは蹴った選手がどうこうということではなく、日本としてPKの技術で劣っていました。だからクロアチアは次のブラジル戦もPKで勝っているし、前回大会でもPKで勝っている。日本が優勝という目標を掲げるのであれば、もっと練習しなくちゃいけないと思っています。

——出た選手としてはPK戦へ行く前に勝ち切れた試合だったという感覚ですか?
堂安 やっぱりクロアチアは堅かったです。なので、勝ち切れたという感覚より、僕らがPK戦まで持って行けてラッキーくらいの感覚だったのかなと思います。『もう1点取りにいって試合を決めよう』とならなかったのは、攻撃陣の一人として不甲斐なさを感じています。

——ここで得たものを次につなげていきたいですね。
堂安 先のことはあまり冷静に分析できていないんですけど、やるサッカー全てを変えようとは思っていません。だって、絶対に間違っていなかったと思いますし……。日本の粘り強くて組織力のある守備を敷きながら、ボールを持ってからは立ち位置を賢く、ポゼッションもしていく。それはクロアチア戦の45分まではできていたと思いますし、それにプラスして(三笘)薫くんや(伊東)純也くんの個人技で魅せることだってできていた。戦い方は本当に良かったと思うんです。そこにプラスアルファ……、やっぱり攻撃ですよね。『じゃあ、ポゼッションとショートカウンター。どちらが今の日本の特長なの?』と言われたら、僕らもそれをはっきり答えられない状態ですから。

——明確な攻撃での特長が欲しいということでしょうか?
堂安 メインとする戦い方を持ちながら、オプションとして『相手がスペインだから、引き込んでカウンターで行こう』となるのは良いと思うんですよ。やりたいサッカーを持ちながら、相手や状況で変えていければいいですよね。

——チームとしての戦い方もそうですが、8強クラスの国には攻撃陣に怪物級の個人がいるということも感じています。
堂安 そこもそうですよね。『日本の良さはスターがいないことだ!』というのも海外で僕はすごく言われるんですけど、果たしてそれが良さなのか。やっぱり世界の強豪には名立たるスーパースターたちがいて、ビッククラブでスタメンで出ている奴らがいるんですよ。3年半後、僕がそうなって日本を背負って戦えたらというのは終わった時に思いましたし、そういう自信がついた大会でもあったので、そこは本当に目指しています。

——3年半後の堂安律、ここを変えたいとかはありますか?
堂安 もちろんエースになりたいけれど、リーダーになりたいと思っています。自分がキャプテンでいいと思うくらいの覚悟でいます。できる素質は持っていると自分では思っているんで、チームに良い影響を与える選手になりたいですね。それを常に与えてくれていたのが(吉田)麻也くんであり(長友)佑都くんだったので、ワールドカップを経験した選手たちは3年半後に還元しないといけないとも思っています。

——じゃあ、「ブラボー!」と……(笑)。
堂安 いやいやいやいや、それは佑都くんのキャラなので(笑)。でも、ああいう選手が一番信頼されるし、価値のある選手だとも思いました。やっぱりどれだけ個人技があっても、周りに良い影響を与えられないのであれば、それは一人でしかない。それを二人にして三人にして四人にしていかないといけない。それはまさにメッシが見せている現在の立ち居振る舞いがそうなんだとも思います。やっぱりあれを見て皆が感動するし、心打たれるし……。僕もああいう選手に、上手い選手じゃなくて“強い選手”になりたいです。

——ぜひ、なってほしいです。
堂安 はい、本当にこのワールドカップが終わってより自分にプレッシャーがかかっているんですけど、そのプレッシャーを思いっきり背負って逆に力にしたいと思っています。だから国民の皆さんにはプレッシャーをかけ続けてほしいなと思っています。

点を取ったスパイクは実家に飾って家宝に

——改めて今大会で履いたULTRA ULTIMATEの感想を教えてください。
堂安 いや、良かったですね。まず、軽い。スピードを求められるウイングのポジションで出たので、そこが本当に良かったです。あとはもう、僕やっぱ派手な色が好きなので、やっぱり目立つこのオレンジ色が……(笑)。

——目を惹きますね。
堂安 サッカーを全然知らない友達からも『スパイクがオレンジだからわかりやすい』とか『髪の毛が金髪だからわかりやすい』とかよく言われるんですよ。だから目立つのも大事だと思います。点を取ったスパイクは実家に飾って家宝にしています。

——今大会は日本代表でもプーマ契約選手が目立ちましたね。
堂安 いや、やっぱり日本代表の選手が一番ライバルですから。良い意味でライバル意識を持っていますし、それがプーマ内であるというのは、これ以上ないくらいに良い関係だと思います。純也くんと薫くんにはいっぱい焦らされました。自分が点を取れない間に二人が点を取って焦りましたから。本当に良い関係です。

——他の国でもスター選手がプーマのスパイクを履いてました。
堂安 今はネイマールがプーマの顔で、あとはデパイもそうですよね。僕はオランダでもプレーしていたので、デパイの影響力は本当に感じています。18歳か19歳の時から一緒にプーマを履いてやっているので、個人的にずっと気にしている存在ですし、彼には負けられないですね。

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By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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