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激戦の“6枠”に滑りこむラストピースは誰だ?…7月1日、運命のリオ五輪メンバー発表

2016.06.30

29日にU-23南アフリカ代表と対戦したU-23日本代表 [写真]=Getty Images

 6月29日、松本での“最終選考会”を終えたU-23日本代表は、これで純粋な23歳以下の代表チームとしての活動も最後となった。次の機会からはオーバーエイジの3選手を加えてメンバーを絞り込んだ“五輪代表”として活動していくことになる。

 問題はそのメンバーの絞り込みだ。7月1日の代表発表を前に「当確」と言えるのは、すでに内定済みのFW興梠慎三(浦和レッズ)、左サイドバックの藤春廣輝(ガンバ大阪)、センターバックの塩谷司(サンフレッチェ広島)のオーバーエイジ3選手。加えてGKの2名、櫛引政敏(鹿島アントラーズ)、中村航輔(柏レイソル)も確定だろう。DF植田直通(鹿島)、MF大島僚太(川崎フロンターレ)、遠藤航(浦和)、矢島慎也(ファジアーノ岡山)、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)、FW中島翔哉(FC東京)、浅野拓磨(広島)もこれまでの起用法と指揮官の信頼ぶりを思えば、選出は確実と言っていい。18名中12名はすでに埋まっていると見る。

 残る「6枠」は各ポジションのラストピースと言える選手に誰を据えるかという判断になってくる。では、その6枠の内訳を具体的に見ていこう。

■1人目:第3のセンターバックは誰だ?

 植田と塩谷が確定の中で、その控え選手が最初のワンピースになる。松本でのU-23南アフリカ代表戦では中谷進之介(柏)が90分間プレーし、存在感を示した。本人も認めるように図抜けたプレーを見せたというわけではないが、選択肢に入ってくるだけのものは示したはず。あとはトゥーロン国際大会でプレーした三浦弦太(清水エスパルス)との比較になる。ただし、このポジションには岩波拓也(ヴィッセル神戸)という本来ならレギュラー格の選手もいる。負傷からの復帰途上ではあるが、経過は順調とのことで、1カ月以上先の本大会を見据えて招集される可能性も残っている。

■2人目、3人目:サイドバックの3人から2人を選ぶ

 サイドバックは左のスペシャリストである藤春が内定。残る2枠を亀川諒史(アビスパ福岡)、松原健(アルビレックス新潟)、そして室屋成(FC東京)の3人が争う格好だ。負傷離脱していた松原と室屋を亀川がリードしてきた形だが、室屋が南アフリカ戦で復帰後初の90分フル出場を果たすなど回復具合が目覚ましい。松原も「感覚はまだ戻っていない部分がある」とはいえ、所属チームでは3試合連続で90分フル出場。1カ月後に向けて不安のある状態ではもはやない。亀川と室屋は両サイドをこなせることから、左右2つのポジションに対して藤春含めた3人で問題ない。亀川、松原、室屋のうち、選ばれるのは2人だ。

■4人目:ボランチのスペシャリスト?

 中盤の中央は大島僚太と遠藤航のA代表コンビが不動の存在となっている。ただ、手倉森誠監督はボランチの選手交代で試合を動かす采配を得意としており、3ボランチの布陣もオプションとして使ってきた。この枠は「控えボランチ」という言い方にとどまらない重要性がある。例えば矢島はこの位置もこなせる選手であり、中谷もできるのだが、そういった兼用選手ではなく本職のボランチを最低もう一枚は確保するはずだ。候補となるのは予選突破の功労者である原川力(川崎)と井手口陽介(ガンバ大阪)の2枚。2人とも選ぶという選択肢もあるが、いずれも他のポジションで計算できるタイプでないこともあり、さすがに枠が足りない。チームを支えてきた名手のうち、指揮官はどちらかを選ぶしかない。

■5人目:FWは久保裕也か、それとも……?

 本来なら「当確」の枠の中に入れてしまっていいのだろうが、欧州のシーズン終盤に負傷離脱してしまったFW久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)の状態が一つの懸念材料である。彼のコンディションに不安がないのならば、この枠で久保を選んでおしまいだ。ただ、欧州組はチームへの合流が国内組よりも遅れる見通しで、調整時間自体が短い。万全でないという判断なら選外になる可能性もある。その場合に浮上してくるのは普通に考えると鈴木武蔵(新潟)かオナイウ阿道(ジェフ千葉)になるが、手倉森監督は南アフリカ戦でこれまでFWとして使っていなかった選手たち、つまり豊川雄太(岡山)や伊東純也(柏)を前線でテストしており、ユーティリティタイプを選ぶ可能性も探っていたのではないかと見る。

■6人目:そして、チームのラストピースは

 ここまでの流れで各ポジションに控え選手を確保することはできており、最後の1枠は監督が選ぶ“ジョーカー”ということになる。ただジョーカーと言っても、攻撃の選手である必要は必ずしもない。18人という狭い枠を思えば、むしろ守備のユーティリティープレーヤーを置くほうがリスク管理としては真っ当な選択肢。その場合、最初の候補に挙がるのは、監督が「後ろならどこでもやれる」と評価するMF橋本拳人(FC東京)だろう。

 ただ、采配で試合を動かしてきた手倉森監督だけに、“攻撃の切り札”がもう一枚欲しいと思っても不思議はない。最終予選で得難いランニングプレーヤーとして活躍した豊川や、図抜けた俊足を誇る伊東、左足のスペシャリストにして攻撃陣で唯一の左利きというメリットを持つ野津田岳人(新潟)らが候補になる。

 いずれにせよ、7月1日14時から行われる発表ですべての結論は出る。選ばれるのは18人の正選手と4人のバックアッパー。各ポジションのラストピース、そしてチームのラストピースの候補は、いずれも甲乙付けがたい選手たちなのは間違いない。松本でのゲームから一夜明け、手倉森監督を含めたスタッフ陣は東京へ戻ったその足でメンバー選考会議に入るという。「メダル獲得」を目標に掲げてきたリオ五輪に向け、指揮官はチーム結成以来、最大の決断を迫られている。

文=川端暁彦

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