2015.01.24

涙を見せた香川真司に課された命題…求められるのは強いリバウンドメンタリティ

香川真司
PKを失敗しひざをついて天を仰ぐ香川真司 [写真]=兼子愼一郎

 1-1のまま120分間が終わっても決着がつかず、PK戦へと突入した2015年アジアカップ準々決勝・日本対UAE戦(シドニー)。先行の日本は1番手・本田圭佑(ミラン)がまさかの失敗。けれども、UAEも3番手のイスマイール(13番)がミスし、5人終了時点で4-4と、サドンデスにもつれこんだ。

 日本の6人目はエースナンバー10を背負う男・香川真司(ドルトムント)。20日のヨルダン戦(メルボルン)で昨年6月のザンビア戦(タンパ)以来、9試合ぶりの国際Aマッチのゴールを挙げ、無得点の悪循環を断ち切った香川だったが、この日も再三再四、決定機を逃し続けていた。だからこそ、このPKだけは絶対に決めなけれなならなかった。しかし、香川の右足から繰り出されたボールは左ポストを直撃。枠外へ大きく外れてしまう。そして次の瞬間、UAEの6番手を務めたイスマイル・アハマド(19番)の蹴ったシュートがゴール左隅に飛び込んだ。96年UAE大会以来の日本のアジアカップ・ベスト8敗退が現実になった瞬間だった。  

 香川は呆然と前を向き、しばらく動けなかった。そして自然と涙が溢れてきた。キャプテン・長谷部誠(フランクフルト)や森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル)らに次々と慰められるが、顔を上げられない。惨敗した2014年のブラジル・ワールドカップの時でさえ、ここまでの落胆を見せることはなかった。香川は日本を勝利へと導くべき存在である自分がブレーキになった事実を重く受け止め、誰よりも強く責任を感じていた。

「点が取れなかったですし、すごく責任を感じますし、申し訳ないです。試合でもチャンスはありましたし、PKもそうですし、すごく悔しい。今は決めれなかったっていう事実だけなんで、それは受け止めてやるしかない。それだけだ思います」と、香川は何を問われてもチームメートや応援してくれる人々への謝罪の言葉を繰り返すばかり。決め切るという最大の仕事を果たせなかった自分自身の不甲斐なさにやりきれない思いを抱えていることが、その口ぶりから色濃く伺えた。

「僕が真司君の気持ちを語ることはできないですけど、やっぱり日本の10番を背負ってる誰もが認めるエースですし、やっぱりその責任は真司君が一番感じてると思う。一番苦しいのは真司君やと思うし、それを全員が察していました。『ナイス』とか『いいといいよ』みたいなことを言える雰囲気じゃなかった」と控え組の一員として香川の一挙手一投足を見守った若い昌子源(鹿島アントラーズ)は、その心情を慮っていた。

 確かに、4年前のカタール大会で10番を背負うようになってからというもの、香川の代表生活は苦悩の連続だった。ザックジャパンの4年間は左サイドでの起用に戸惑い、最終的にブラジルではスタメン落ちの屈辱も味わった。その挫折を乗り越え、ハビエル・アギーレ監督率いる現在の日本代表で再出発を切ったが、インサイドハーフという新たなポジションをつかみきれずに苦しんだ。今大会に入ってからようやくゲームメークから献身的な守備、ダイナミックな攻め上がりと要所要所で鋭さを見せられるようになってきたが、フィニッシュに関する部分だけは絶好調時の感覚をどうしても取り戻せなかった。

 ヨルダン戦でいったんトンネルを抜けたとはいえ、完全なる復調とはならなかった。この日のUAE戦を見ても、岡崎慎司(マインツ)の落としを受けてGKと1対1になった後半15分の決定機、あるいは長友のマイナスのクロスを受けてシュートを放った後半41分のビッグチャンスなど、肝心な場面で得点を奪えない。4年前の準々決勝・ヨルダン戦は香川の3ゴール全てに絡む大活躍で日本を絶体絶命の窮地から救い出したが、昨シーズンはマンチェスター・Uでシーズン無得点、今シーズンはドルトムントでリーグ戦わずか1点という現状では、その再現は難しかったようだ。やはり所属クラブでゴール前の鋭さを取り戻さない限り、今後の代表でも同じことが続く可能性は高い。

「最後に自分が外して負けたってことは必ず意味があることですし、何かしら自分には足りないものがある。精神力なのかもしれませんし、そこはしっかり突き詰めてやっていきたい」と香川は強調したが、その言葉通り、自分が失いかけているものをガムシャラに取り戻す努力をすること。そして強いリバウンドメンタリティを身に着けることこそ、今の香川に課された命題だ。

 この屈辱的敗戦を糧に、日本代表が、そして背番号10がどのような変貌を遂げていくのか。香川にはこんなところでとどまっている暇はない。

文=元川悦子

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