練習前には現地の人々やサポーターとの交流も行われた [写真]=Getty Images
6日のザンビア戦を4-3で辛くも制した後、翌日のチャーター便でブラジル・ワールドカップのベースキャンプ地であるサンパウロ近郊のイトゥに入った日本代表。一夜明けた8日は夕方からイトゥの隣町・ソロカーバで現地初練習を行った。
5月21日に始まった指宿合宿から、これまでずっと非公開練習を行ってきたザックジャパン。だが、この日は一般公開となり、地元日系人や熱心なサポーターなど5400人がスタジアムに足を運んだ。練習開始前には彼らとの交流も行われた。
トレーニングは1時間強に及び、ストレッチ、ジョギングとダッシュのインターバルトレーニング、サイドを使いながらのビルドアップからのシュートという流れで進んだ。最後は狭いエリアでの20分間のゲーム。組み分けは、一方は最終ラインに酒井宏樹、吉田麻也、今野泰幸、長友佑都、ボランチに山口蛍と遠藤保仁、2列目右に齋藤学、左に香川真司、トップ下に本田圭佑、1トップに柿谷曜一朗。もう一方は、最終ラインに内田篤人、森重真人、伊野波雅彦、酒井高徳が並び、ボランチに青山敏弘と長谷部誠、2列目右に岡崎慎司、左に清武弘嗣、トップ下に大久保嘉人、1トップが大迫勇也という顔ぶれだった。GKの川島永嗣、西川周作(浦和)、権田修一は入れ替わりながら両チームでプレーした。
この地での練習に特別な思いを抱いていたのが遠藤だ。鹿児島実業のアマチュア選手だった17歳の時、1カ月間サッカー留学をしたのが、ソリローバにホームを置くECサンベントだった。言葉の通じない異国での生活は戸惑いの連続だったはずだが、遠藤はあくまで自然体で現地に適応。プロを目指す意識をより明確にした。「高校生の時のブラジル留学は本当に楽しかった」と本人も語ったことがあったが、サッカー王国でがむしゃらに上を目指す若者たちから、大いなる刺激を受けたことだろう。
あれから17年。遠藤は国際Aマッチ144試合を記録する日本屈指のボランチに成長した。その進化を思い出の地で見せる時が来た。この日のソロカーバでの練習で、彼は改めて原点回帰したに違いない。
文=元川悦子