2016.06.01

サッカー選手は可能性だらけ…秋本氏が選手の走り方を変える/第2回

サッカー総合情報サイト

インタビュー・文/池田敏明
写真/小林浩一

 走るのが速くなりたい、というのは、スポーツをする人なら誰もが願うことだろう。速く走れることは、それだけで一つのステータスであり、武器にもなる。「走る」競技であるサッカーの場合、その傾向はさらに顕著になる。

 Jリーガーの中には、走るスピードを上げるために、「走りのプロ」の指導を仰いでいる選手がいる。浦和レッズの日本代表DF槙野智章を始め、MF宇賀神友弥やMF梅崎司、MF関根貴大、川崎フロンターレのFW大久保嘉人やMF大島僚太、柏レイソルのDF増嶋竜也など、日本トップクラスのプレーヤーたちは、同じ「プロスプリントコーチ」から走り方の指導を受けている。

 それが元プロ陸上選手の秋本真吾氏だ。秋本氏は400メートルハードルを本職とし、2010年からはプロの陸上選手として活躍。オリンピック強化指定選手にも選ばれ、同年には男子200メートルハードルのアジア最高記録を打ち立てた。100メートル走では10秒44の自己ベスト記録を持っている。

 2012年の日本選手権を最後に現役引退し、現在はアスリートタレントやモデルとして活動しながら、プロスプリントコーチとしても老若男女、プロアマを問わず、様々な方に「速く走るための方法」を指導している。

 サッカーキング・アカデミーでも、昨年の10月から11月にかけてスプリント力向上セミナーを実施。多くの参加者に速く走るためのレシピを伝授した。

 このセミナーが好評を博したため、今回、再び「スプリント力向上セミナー」を開催することになった。「指導すれば、絶対に全員を速くできる自信がある」と断言する秋本氏が、その方法の一端を語ってくれた。

速くなってくれるのは、純粋に楽しい

――昨年に引き続き、今年の6月から7月にかけてサッカーキング・アカデミーでセミナーを開催していただきます。もう一度、開催しようと思われた理由を教えてください。
秋本真吾 僕自身、現役時代にオリックス・バファローズの選手に走り方を教えたのが最初のきっかけだったんですけど、その時に僕らが日常的にやっている陸上のトレーニングだけをまずやってもらったら、それですぐに速くなってしまって、「え? こんな簡単に速くなっちゃうの?」って、ちょっとびっくりしたんですよね。正しい走り方を教えるだけですぐに速くなってしまう、そこに喜びを感じて今の仕事をしているところもあるので、その機会を増やしていけば僕も純粋に楽しいし、もっともっと感動を与えたい、そのためにもまたやりたいと、自然に思えました。二回目のチャンスをいただけたのはすごく大きいことだと思うので、伝え方を変えてみたり、もっと分かりやすい講義内容や表現にしたりと、いろいろ工夫してみたいと思っています。

――走りのことを全く知らない人に教える上で、難しさを感じる部分はありますか?
秋本真吾 陸上選手にとって当たり前になっていることを、全く走り方を知らない人に対してゼロから伝えていくのって、けっこう難しいんです。ついつい難しい表現を使ってしまったり、「ドンと着いて、ビュッと足を前に出して」みたいな擬音を使った表現をついついしてしまったりするんですが、実はそこがけっこう大事なところで、細かく、分かりやすく落とし込めるようにしないと伝わらない。複雑な表現は使おうと思えばいくらでも使えるんですが、それだと相手は全く分からないだろうし、伝わらなくなる。子供でも分かってもらえるような表現にすることが大事だと思うので、僕も一から勉強し直しています。

――前回を踏まえて、今回のセミナーでこんなことをしよう、と考えていることはありますか?
秋本真吾 今、自分が持っているメソッドやレシピをすべて落とし込んだ書籍を3月に出したので、それもうまく活用しながら紹介していきたいと思っています。あと、もっと質疑がほしいですね。講習会をすると、終わった後に質問に来ていただくケースが多いんですけど、講義の最中にも、どんどんマニアックなことを聞いてほしいですね。もっと深いところまで持っていきたいですし、速く走る理論を理解していただいた上で、求めがあれば具体的なメニューはどうすればいいのか、 何メートルを何本やって、レストは何分にすればいいのか、というところまで伝えたいです。

――プロ選手を指導する際は深いところまで伝えていると思いますが、一般的なサッカー選手の走りを見て、どのような印象を受けることが多いですか?
秋本真吾 全然ダメ、という感じではないですね。もちろん速い選手もいますし、もっと速くなるだろうな、という選手もいます。可能性だらけ、という感じです。本当にポジティブに見ることができるというか、「もっと速くなるよなあ」と思いながら試合を見ています。指導している選手の場合は「あ、できてる。今の最高」っていう見方に変わってきていますね。教えて進化している選手は、試合でもその成果が出てきているので、そういう部分を見ています。

――走り方を見ていて、指導したら伸びそうだな、と思う選手は誰ですか?
秋本真吾 「全員」という答えになってしまうんですけど、スピードが武器の永井謙佑選手(名古屋グランパス)だってまだまだ速くなると思いますし、「やたらと速い」と言われる伊東純也選手(柏レイソル)も、僕が手を加えるとしたらこういうところかな、というポイントはあります。

――海外の選手、クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシの走り方はいかがですか?
秋本真吾 メッシの場合は、自動化されているところがあると思います。感覚が表現できちゃっているというか、狙ってやっているというより、天才的なセンスでドリブルできている感じです。だから走り方をいじったら、逆にマイナスになりそうな気がしますね。C・ロナウドは、腕の振りなどは少し指導するだけで変わりそうな気がします。

――先ほど、サッカー選手の走りについて「可能性だらけ」とおっしゃっていましたが、ではサッカー選手の走りに「無駄」を感じる部分はありますか?
秋本真吾 多くの選手が、自分の体よりも前に足を着くんですよね。足を速く動かそうという意識から、振り出した足をすぐに地面に落としてしまうという動きが、かなり多くの選手に見受けられます。これはつま先で走る意識を心がけ、なおかつ接地する位置を体の近くにすることで解消されます。他にも、姿勢が曲がっているとか、腕が振れていないとか、直すべき部分がある選手がいるので、あの選手にはこの練習、この選手にはこの練習といったように、それぞれに合った練習を選択する必要がありますね。

――確かに、陸上選手は太ももを高く上げて走り、サッカーは足を前に出して走るイメージがあります。
秋本真吾 ドリブルする時とフリーランの時とで違うと思いますが、ギャレス・ベイルやアリエン・ロッベンのように、ドリブルをしている時でも太ももを上げるフォームで走れる選手もいますし、メッシのように細かいドリブルをする選手の場合は、膝が上がる前につま先でチョンチョン触りながらかわしていく選手もいます。先ほど言ったように、ドリブルのスタイルも人それぞれで、それゆえに指導のポイントも人によって変わっていくことになります。

多数のプロ選手が師事…プロスプリントコーチがサッカー界を変える/第1回

誰でも速くなる可能性はある…秋本氏が走りの極意を語る/最終回

スプリントコーチ
秋本 真吾(あきもと しんご)

元陸上競技選手として活躍。400m ハードルにおいて、数多くの大会で上位入賞を果たし、2010年には男子200m ハードルでアジア最高記録、日本最高記録を樹立。
2012年6月に引退後、本格的に指導者として活動を開始。スプリントコーチとして、オリックス・バファローズ(プロ野球)、オービックシーガルズ(アメリカンフットボール)、INAC 神戸レオナッサ(なでしこリーグ)で指導経験を持つ。
Jリーグでは、浦和レッドダイヤモンズの宇賀神友弥、梅崎司、加賀健一、関根貴大、槙野智章、森脇良太、李忠成をはじめ、大久保嘉人、大島僚太、谷口彰悟などの個人指導も行っている。
一方、トッププレーヤーだけではなく、全国で子供たちの走り方教室など小中学生を対象とした活動も幅広く展開している。現在は地元の福島県大熊町の子どもたちを支援する被災地支援団体 ARIGATO OKUMA の代表も務めている。
2015年には NIKE と契約し、 NIKE RUNNING EXPERT、NIKE RUNNING COACH に就任。

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