2013.02.28

内田篤人「世界と戦うためにカギになるのは競争意識」

大事なのはチームが勝つこと

内田篤人
インタビュー=浅野祐介 写真=樋口 涼

今シーズンは自身2度目のUEFAチャンピオンズリーグ(以下UCL)に臨んでいますが、世界のトップレベルと対戦して改めて感じるのはどんなことですか?

内田 世界のトップレベルのチームは、一人ひとりの選手が“勝つ術”を知っています。我慢する時間帯、攻める時間帯、それをチーム全体が連動して表現できる。個々の選手が頭で分かっていても、チーム全体で動くのはすごく難しいこと。もちろん試合は相手あってのものですけど、どんな状況でも“自分たちの時間”を作れるチームが本当に強いチームだと思います。

グループリーグから決勝トーナメント、更にベスト8、ベスト4と決勝に近づくにつれて、もちろん戦いのレベルは上がっていくと思いますが、実際にどのようなレベルの違いを感じますか?

内田 本当に強いチームは、どの選手も点が取れるし、どの選手も守れる。相手に回すとボールの取りどころがないので、結局、こちらは守るしかなくなってしまう。そういう感じです。あとは、強豪チームには必ず一人、スター選手がいて、その選手に試合を決められてしまうことが多いですね。

なるほど。ちなみに、シャルケは昨年12月にイェンス・ケラー新監督が就任しました。新しい監督に自分をアピールする際、内田選手が心掛けているのはどんなことですか?

内田 監督の顔色を見てプレーするのはあまりいいことだと思わないので、まずは自分にできることを精一杯やる。その上で、試合で使うか使わないかは監督が判断することだし、自分に悔いのないように、しっかり頑張ることだけですね。

第21節を終えて、シャルケは6位につけています。後半戦の展望、優勝争いの行方についてご自身の見解を教えてください。

内田 首位バイエルンとは差が開いてしまいました。でも、1チームだけにぶっちぎられるのはつまらないので、しっかり追いかけたいですし、レヴァークーゼンやドルトムントにも負けないように、少しでも上の順位を目指します。

ブンデスリーガやUCLでの対戦を通じて、この選手は「特別にうまい」と感じた選手はいますか?

内田 (ウェイン)ルーニーかな。ボールを持った時はもちろん、持っていない局面でも、彼がいるだけでディフェンスはかなり怖くなりますよね。

個人としての、またチームとしての、後半戦の目標をそれぞれ教えてください。

内田 UCLは、少しでも長く戦えるように頑張ります。大事なのはとにかくチームが勝つこと。ケガがクセにならないように気をつけて、できるだけ多くの試合に出られるように頑張ります。

次に日本代表についてうかがいます。3月26日のワールドカップ最終予選、アウェーのヨルダン戦で本大会行きが決定する可能性があります。ヨルダン戦への意気込み、そして本大会に向けての思いを教えてください。

内田 なるべく早く本大会行きの切符をつかんで、少しホッとしたいですね。そうすれば、おのずとW杯への準備期間も長くなるから、2014年に向けてのチーム作りが進められる。できるだけ早く出場を決めて、アジアの中での存在感を改めて証明したいです。アジアでは常に圧倒的な存在でいなきゃいけないと思うんです。もちろん、簡単な試合ではないと思いますけど、それでもやらなきゃいけないなと。

6月にはコンフェデレーションズカップが開催されます。ブラジル、イタリア、メキシコと、興味深いグループに入りました。

内田 ブラジルは個人技に秀でた選手が大勢いる。一度負けてますし(昨年10月16日、0-4で敗北)、今回はリベンジする気持ちで挑みたいです。イタリアは正直、想像できない。メキシコも南米っぽいスタイルだと思いますけど、実際に試合をしてみるまでは何も分からない。どのチームにもうまい選手がたくさんいるので、日本の良さをしっかり出し切って戦いたいと思います。

代表においてもクラブにおいても、強いチームとの対戦の中で学ぶことは多いですか?

内田 そうですね。日本で試合をするよりも、やっぱりアウェーの厳しい環境で強豪と対戦するほうが確実に力になると思います。

世界の中での自分の順位を知る

内田篤人
ここからはご自身の経験を踏まえ、若い世代のプレーヤーに向けてアドバイスをいただきたいと思います。内田選手の高校時代についてお話をうかがえますか?

内田 プロと比べると、高校サッカーはやるべきことがそこまで固まっていないので、難しい部分もありました。それでも、個人技に秀でる選手は確実に強い。チームプレーももちろん大事だけど、高校時代はそれよりも“個”を伸ばすことを意識すればいいんじゃないかなと思います。

高校時代に取り組んできたことの中で、現在にもつながっていることはありますか?

内田 サイドバックを初めてやったのが高校2年生の時で、オーバーラップして中央にクロスを上げるという動きをひたすら繰り返してました。それと、走り込みですね。1対1や2対2の練習方法も先生が教えてくれたので、一生懸命取り組んでいました。自主練で力を入れていたのは、キックの練習です。

当時の向上心についてはいかがでしたか?

内田 先輩にも、同級生にもいい選手が大勢いたので、何か少しでも盗んで、自分のものにしようという意識は強かったです。そういう向上心がなくなってしまったら、技術も向上しないし、絶対に成長できない。どんなに試合に出られるようになっても、どんなに大きな大会に出場できたとしても、常に学ぶ意欲は持っていなければいけないと思っています。

若い世代の選手たちが世界のトップレベルのチームと対戦する場合、そこからどのようなことを吸収してほしいですか?

内田 少しでも早く世界との差を、世界の中での自分の順位を知ってほしいと思います。

「adidas UEFA Young Champions2013」では『すべてをかけろ。世界はもう、夢じゃない』というテーマが掲げられていますが、日本人選手が世界で通用するのはどのような部分でしょうか?

内田 リーグによって違いがあると思います。例えばドイツであれば、ドイツの選手たちは大柄でフィジカルが強い。その分、小柄でテクニックがあり、すばしっこい日本人は自分たちの特徴を生かせると思います。

反対に、まだまだ世界との差を感じる部分は?

内田 競争意識ですね。才能のある選手がどんどん入ってくるから、緊張感が違うんです。高い競争意識があると練習への身の入り方も違ってくるし、毎日、試合のような緊迫感があります。

若い世代の選手たちがユースや選抜メンバーのセレクションに臨む際には、どのようなアピール方法が重要だと思いますか?

内田 僕自身は、そういうことをあまり意識したことがないんですよ。とにかく、自分にできることをしっかりやる。「自分はこういう選手だ」ということを周りに分かってもらえるようにすることだと思います。遅かれ早かれ、いい選手は確実に目立つようになるし、周囲に認められるようになっていく。だから地道にやることが大事ですね。

では最後に、2013年の抱負を教えてください。

内田 チームとしての結果が第一。代表では、ブラジル行きの結果をつかむこと。そしてシャルケでは、UCLで少しでも勝ち進むことが目標です。