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マンチェスター・Uが王座奪還に王手!? 好調の要因は昨季の失敗

2013.02.18
文●藤井 重隆
マンチェスター・ダービー
 マンチェスター・ユナイテッドが通算20回目のリーグ優勝に前進した。プレミアリーグ第26節を終え、マンチェスター・Uは、昨シーズン覇者で2位につけている宿敵マンチェスター・シティとの勝ち点差を12に広げた。代表戦明けとなった同節で、マンチェスター・Uがエヴァートンを2-0で攻略したのに対し、マンチェスター・Cがサウサンプトンに1-3で惨敗。試合後、ロベルト・マンチーニ監督は「過去最低の試合内容だった。これで優勝の可能性は10%になった」と、諦めムードを漂わせた。

 マンチェスター・Uは昨シーズン、残り6試合の時点でマンチェスター・Cと勝ち点8差をつけていたものの、終盤戦に失速して逆転優勝を許した。その痛恨の「失速」が始まった相手がエヴァートンだった。4-2のリードを守り切れず最後の7分間で同点にされたことが精神的ダメージとなり、直後のマンチェスター・Cとの直接対決で首位の座を明け渡してしまったのだ。

 同節では両者ともに代表戦明けで多数の選手たちに疲労が蓄積していたが、マンチェスター・Uに至っては3日後にチャンピオンズリーグでレアル・マドリードとの大一番が控えていた。だが、アレックス・ファーガソン監督はマンチェスター・Cが前日に敗れたことを受け、「(前節から)7選手を変えようと思っていたが、マンチェスター・Cの結果を見てこの試合の重要性が高まった」と話し、宿敵に精神的ダメージを与えるために優先順位をレアル・マドリード戦からエヴァートン戦に切り替えた。

 今シーズンのマンチェスター・Uのコメントを振り返ると、ファーガソン監督だけでなく、昨シーズンの苦渋を味わった選手からも「昨シーズンと同じミスは犯さない」というフレーズが合言葉のように発せられている。その痛みが脳裏にあるからこそ、今シーズンの王座奪還にかける抜け目のない意気込みがにじみ出ているのだろう。

 今シーズンのリーグ戦では、昨年11月17日に敵地で格下ノリッジに敗れて2位に順位を落とした第12節がシーズンの分岐点となっていた。同試合でFWウェイン・ルーニーを扁桃炎、GKダビド・デ。ヘアを知恵歯の痛みで欠くなどしたマンチェスター・Uは0-1で敗れ、マンチェスター・Cに首位を明け渡した。これがファーガソン監督と選手たちのプライドに再び火をつけ、以来14試合で12勝2分けと無敗の快進撃を続けている。

 終盤戦でカギとなる選手は年始にけがから復帰し、調子を上げてきている20歳のDFフィル・ジョーンズだろう。代表招集のなかった彼はエヴァートン戦から定位置を獲得した感がある。本来のDFというポジションではなく、センターバックの前に位置取り、守備的MFとして相手の司令塔を潰す役目を担っている。エヴァートン戦ではFWマルアーヌ・フェライーニ、続くレアル・マドリード戦でもFWクリスティアーノ・ロナウドを泥臭い徹底マークで封じ込んだ。「守備の安定は成功をもたらす」と語る指揮官に、序盤戦に欠けていた守備力が加わっている。

 一方、同節終了後、元マンチェスター・U主将で現サッカー評論家のガリー・ネヴィルは、「マンチェスター・Uの優勝は決まった。残り12試合で彼らが失速することはあり得ないだろう」と、意外にも少し早い優勝予想をした。同氏はその理由として、マンチェスター・Uの好調だけでなく、マンチェスター・Cの不調ぶりを指摘。「昨シーズンのような覇気が感じられない。この大事な時期に来て、3戦連続未勝利という結果がそれを物語っている」と評した。

 マンチェスター・Uは4月にホームでマンチェスター・Cとの直接対決があり、その後の2連戦、敵地でのアーセナル戦、ホームでのチェルシー戦が山場となるが、ネヴィル氏が言うようにファーガソン監督が昨シーズンと同じミスを再び犯すとは思えない。

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