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「世界で3番目に高額な代表チーム」ベルギー代表の強さに迫る

2013.01.08

ワールドサッカーキング 0117号 掲載]

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1月4日発売のワールドサッカーキング最新号では、2013年のサッカー界を動かす最重要100選手をカウントダウン形式で紹介している。更に、番外編として2013年注目の代表チームに迫ったリポートも掲載。

ブラジル・ワールドカップへ向けた各地区予選が本格化する中、欧州予選では注目すべきチームが絶好のスタートを切っている。ヤングタレント集団、ベルギー代表は再び《黄金期》を迎えるのか。

 

Text by Simon SCHRIJVERS

文=シモン・シュライフェルス

Photo by AFLO

 

W杯欧州予選で首位に立つベルギー

 

 マルク・ヴィルモッツ監督が指揮するベルギー代表は、2014年ブラジル・ワールドカップのヨーロッパ予選でグループAのトップに立っている。まだ4試合を終えただけで、クロアチアと勝ち点で並んでいる状態ではあるが、ベルギーの人々は希望に満ちている。そう、1986年のメキシコW杯でベスト4に進出し、《ディアブルス・ルージュス》(赤い悪魔)と呼ばれた黄金期の再現を夢見ているのだ。

 

 ユーロ2012の予選が始まった時も、若いタレントをそろえたベルギーは期待を集めていた。しかし、ジョルジュ・レーケンス前監督が率いるチームは勝負どころでもろさを露呈した。アゼルバイジャンやオーストリアに勝ち切れず、結局は最終節でグループ2位から転落。プレーオフに進む権利をトルコに譲った。

 

 それからわずか1年。今のベルギー代表は、ユーロ予選で敗れたチームとほぼ同じメンバーで構成されている。だが、2012年5月に就任したヴィルモッツの下、彼らはようやく《本物》のチームに生まれ変わろうとしているように見える。若いタレント集団が真価を発揮すれば、新たな《黄金期》が到来する― 。現在のチームには、見る者にそう確信させるだけのポテンシャルがある。

 

多様なルーツを持ち国外のクラブで育つ

 

 ベルギーを低迷から救うべく、KBVB(ベルギーサッカー連盟)が重い腰を上げたのは、2011年のことだった。彼らは進境著しい同国のテニス界に目を向け、ベルギーテニス連盟のテクニカルディレクターだったスティーヴン・マルテンスを招いて一貫した強化方針を打ち出したのである。

 

 もちろん、たった1年あまりで若いタレントが次々と育成されたわけではない。今のベルギーに優れた若手がそろっているのは、ある意味で偶然の産物なのだが、ともかくKBVBは変わった。都合が悪くなるたびに監督を代えるのではなく、「成功へのプラン」を描くようになったのだ。

 

 現在の代表チームを支えている主力のほとんどは、08年に北京オリンピックでベスト4に入ったメンバーだ。FWのケヴィン・ミララス、MFのマルアーヌ・フェライーニとムサ・デンベレ、DFのヴァンサン・コンパニ、トーマス・ヴェルメーレン、ヤン・ヴェルトンゲンは全員、北京でプレーした。更に、この中で大会当時、ベルギー国内でプレーしていたのはフェちは若くして国外に渡り、質の高いサッカーを学んだ。より若い世代でもこの傾向は続き、ナセル・シャドリとドリース・メルテンスはオランダのAGOVVで、エデン・アザールはフランスのリールで育成された。

 

 育った場所だけではなく、民族的なルーツも様々だ。コンパニ、クリスティアン・ベンテケ、ロメル・ルカクはDRコンゴにルーツがある。フェライーニとシャドリはモロッコ系。アクセル・ヴィツェルの父親はマルティニーク島からの移民で、デンベレはマリ人の血を引いている。

 

プレミアリーグで更なる成長を遂げる

 

  これらの様々な要素が絡みあった結果、代表チームは多彩なタレントの集合体になった。ある調査によれば、選手の移籍金をすべて足し合わせると、ベルギー代表は世界で3番目に高額なチームなのだという。1位はブラジル、2位はポルトガルだ。

 

 移籍金が高額になっているのは、彼らの多くが世界で最もハイレベル、かつリッチなプレミアリーグでプレーしているせいでもある。コンパニ(マンチェスター・シティー)、ヴェルメーレン(アーセナル)、アザール(チェルシー)、ミララス(エヴァートン)、デンベレ、ヴェルトンゲン(ともにトッテナム)、ルカク(ウェスト・ブロムウィッチ)、ベンテケ(アストン・ヴィラ)、シモン・ミニョレ(サンダーランド)。まるでイングランドでは1クラブに1人、ベルギー人を加える決まりなのかと誤解するほどだ。更に、レンタル中のティボー・クルトワ(アトレティコ・マドリー)、ケヴィン・デ・ブルイネ(ブレーメン)という2人の逸材も、保有権はチェルシーが持っている。主力のほとんどが世界屈指のリーグで経験を積んでいることは、代表にとってこの上ないアドバンテージだ。

 

 現在のベルギー代表に弱点を探すのは難しいが、あえて挙げるならサイドバックとFWだろうか。特に、豪華なMF陣と比較すると、FWの人材は物足りない。だが、それも将来的にはベンテケ、あるいはルカクの成長で解決できるかもしれない。

 

 最後に、ベルギー代表の最大のキーマンとなりそうな人物を挙げておこう。若い選手をまとめ上げる重責を課されたヴィルモッツだ。監督としての経験は浅いものの、彼は選手時代の偉大なキャリアのおかげで、選手たちに兄貴分のように慕われている。試合を見る限り、戦術面でも確かなアイデアを持っているようだ。

 

 ヴィルモッツによると、今の戦術は、02年のW杯でベルギーを指揮したロベール・ワセイジュ監督のアイデアがベースになっているという。4バックの手前にフィルター役を置いて中盤を引き締め、前方の5人は頻繁にポジションを入れ替えて相手をかく乱する。

 

 02年W杯と言えば、ヴィルモッツが主将を務め、グループリーグの3試合すべてでゴールを奪い、母国をベスト16に導いた大会だ。だが、監督としての彼は恐らく、現役時代よりもずっと高い位置まで到達できるに違いない。

 

 

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