2012.11.22

[柏レイソル戦記2012] 日立台で交わした約束の下に

Jリーグサッカーキング12月号 掲載]
リーグ王者として臨んだ今シーズン、果たして柏レイソルには何が起こっていたのか。チーム始動からACL、リーグ戦へと続いた長丁場に密着し続けたライターが2012シーズンの戦いとチームの変化を綴った。試合を見ているだけでは決して知ることのできない秘話、そして選手たちの思いから、真の強さを手に入れるべく、誓いを新たにしたレイソルの戦いを振り返る。
日立台で交わした約束の下に文=田中直希 写真=兼子愼一郎、足立雅史、鷹羽康博、山口剛生、徳原隆元

リーグ連覇に向けた再出発は手応えと不安が共存する船出に

 各大陸王者が集った、きらびやかなクラブワールドカップでの雄飛から約1カ月半が過ぎた1月30日、寒空の下で、静かに柏レイソルの2012シーズンがスタートした。始動を待ちきれずに正月から体を動かしていた者、激闘の余韻に浸りながらたっぷりと休養を取った者……。それぞれの方法でオフを過ごした選手たちが、再び日立台にそろい立った。

 その顔触れに大きな変化はない。J1優勝メンバーから抜けた戦力はわずかに4名。藏川洋平(契約満了後、シーズン中にロアッソ熊本と契約)、パク・ドンヒョク(大連實徳/中国へ移籍)、兵働昭弘(ジェフ千葉へ期限付き移籍)、相馬大士(FC琉球へ期限付き移籍)。それに対して、補強はリカルド・ロボ、那須大亮、藤田優人、福井諒司、渡部博文、川浪吾郎、山中亮輔の7名。期限付き移籍から戻った渡部、川浪、そしてユースから昇格した山中はすでにトップチームでのプレーを経験した選手であり、純粋な新顔と言えるのは4人だけとなる。

 他チームで先発を続けていた選手に照準を絞り進めていた補強は、「各ポジションに主力級の選手を置く」という方針に基づき、栃木SCからロボ、ジュビロ磐田から那須、横浜FCから藤田、東京ヴェルディから福井を獲得した。中でも目玉はロボと那須。前者はエースストライカーとして、そして後者は手薄だった最終ラインの選手層を厚くするためにチームへと加わった。

 2月、グアムキャンプでのチームの出来は目を見張るものがあった。それもそうだ。主力のほとんどがチームに残り、ネルシーニョ体制下で培ってきた戦術にも大きな変化はない。コンディションを上げるとともに、チームに新加入選手が慣れていく時間という位置づけのキャンプでもあり、混乱は少なかった。那須が「全員が100パーセントで練習に臨んでいるから、一切手が抜けない。この状況を望んでいた」と話したように、チームの雰囲気も良好。体調不良によってレアンドロ・ドミンゲスの合流が遅れたことや、酒井宏樹(現ハノーファー/ドイツ)が日本代表の活動でチームを留守にすることが多かった点、キャンプ後にGK桐畑和繁が負傷した以外に、垣間見えた問題点は少なかった。ロボのフィット感や活躍しそうな雰囲気など、すさまじい勢いがあった。「選手たちのモチベーションが非常に高い。今シーズンは、昨年以上に様々な困難が訪れるであろうということを、彼らはしっかりと自覚していたんじゃないかなと思います。その後も、とても良い状態で来ています。それに個々の責任感が高まっていますからね。タイトルを取ったことにより、選手それぞれが自信を持って練習に臨んでいる。それが、チームの成熟につながっていると思います」

 指揮官のネルシーニョも、選手たちの表情や動きを見て目を細めていた。

日立台で交わした約束の下に

 キャンプ中にはうれしいニュースも届いた。昨年から日本代表に名を連ねていた田中順也に加え、センターバックとしてチームを支え続けてきた近藤直也も日の丸戦士に選出されたのだ。「ずっと俺は『ドゥー(近藤)を日本代表に』って言っていた。だから本当にうれしいよ」とチームキャプテンである北嶋秀朗(現ロアッソ熊本)も心から喜んだ。それは他のチームメートも同じ。「ようやく評価されましたね」と、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。そして近藤は2月24日のアイスランド戦で青いユニフォームに袖を通し、念願の日本代表デビューを果たすことになる。

 ただ、始動日が遅くなった関係で、一方ではキャンプ地であるグアムから他チームが帰国してしまい、練習試合が組めないという弊害も起こった。「我々には戦術の基盤がある。フィジカルやテクニカルを重要視するこのやり方で、これまでも結果を残してきた。それを継続しているだけです。3月の連戦で調子を上げていければいい」と指揮官は意に介さない様子だったが、初めての実戦となったのがシーズン開幕直前恒例である2月末のちばぎんカップ。試合は1-0と勝利したものの、怒濤のスケジュールが控える3月へ一気に突入していったことは、課題のあぶり出しに不十分だったと言えるかもしれない。

初のアジア挑戦となったACLはラウンド16で悔しい敗退

日立台で交わした約束の下に
 今シーズン、就任3年目となるネルシーニョ監督が掲げた目標は「リーグ戦ではタイトルを狙える5位以内をキープすること」、そして「すべての大会でタイトルを狙っていくこと」。これを旗印にリーグ戦に加え、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)という未知の領域へ足を踏み入れたレイソル。果たして、その道のりは険しいものとなった。

 Jリーグでは出会えないような異質のスタイルがそろっていたACLのグループステージ。タイのブリーラム・ユナイテッドはいわゆるゼロトップ布陣で、ウイングに入ったアフリカ人選手2人の驚異的な身体能力を生かしてレイソルの陣形を引き延ばしにきた。韓国の全北現代モータースには韓国代表FWとして名を馳せたイ・ドングッが在籍しており、彼が持つワールドクラスの空中戦の強さを生かすシンプルなロングボール攻撃が特長だった。そして中国の広州恒大。反日感情が渦巻く真っ赤な広州のスタジアムは異様な雰囲気。それに豊潤な資金力を武器に集めた強力な外国籍選手たちを擁し、圧倒的な個の力でレイソルに襲い掛かった。日本ではフィジカル自慢の酒井も、スピード、パワーで対面の中国代表選手に圧倒されたほどだ。これら3チームはすべて自国リーグのチャンピオンチーム。国を背負ったプライドもひしひしと感じられた。

 アジアでの戦いの経験が少ない選手、そしてチームはこのグループステージで苦戦を強いられた。タイでは手厚いもてなしを受けたが、中国ではスタジアムに向けて移動中のバスが事故に遭遇。アウェイの洗礼は実に厳しく、長距離移動も体を蝕んだ。だが、その中でも試合に臨む選手たちはタフだった。「自分としては(雰囲気は)気にならなくて普通にプレーできた。流れの中で決定的な仕事はできなかったですが。ブリーラムで試合をやっているし、この(アウェイの)雰囲気にはそろそろ慣れないといけない」(酒井)

 このコメントは、アウェイでの広州恒大戦後に収録したものだ。広州のホームスタジアムは、あの2004年アジアカップで日本代表が苦しめられた場所。今回もレイソルサポーターが掲出しようとした国旗が没収されるなど物々しい雰囲気があり、見ている日本の報道陣でさえ、少し恐怖を感じるような環境だった。だが、先述したバスの一件や、ペナルティエリア外のファウルにPKが与えられたことに言及するわけでもなく、冷静に試合を評する選手たちの姿が印象的だった。

 これらのアウェイ経験が選手たちの血となり肉となり、「死のグループ」(ネルシーニョ監督)と言われたグループHを2位通過することに成功する。グループステージ突破が懸かった第6節、敵地で全北現代と対戦したレイソルは立ち上がりから堂々とした戦いを披露。田中とレアンドロ・ドミンゲスのゴールで2-0と快勝し、決勝トーナメント進出を逆転で決めた。近年、グループステージを突破できないJクラブが多かったことを踏まえれば、評価してしかるべき結果だろう。「今思えば、楽しいグループステージでした。失点にも絡んだブリーラムとの初戦は最悪でしたが……」と酒井は振り返るが、レイソルは得難き経験、そして結果を手に入れた。

 全北現代戦後に語ったレアンドロの言葉が印象的だ。「2011年の結果により、レイソルというチームの知名度は世界的に大きく上がった。今年も注目されているというのは自覚できています。世界大会で成績を残して、成長し続けなければならないという責任も常に思っています。今回、次のステージに進んだということはもちろん意味がある。最後まで勝ち残っていけるように戦って、レイソルの知名度が世界的にもっと上がればいい」

 しかし、そのレアンドロの「最後まで勝ち残っていけるように」という願いはかなわなかった。

 続く蔚山現代ホランイ(韓国)とのラウンド16、敵地で行われた一発勝負の争いに2-3で競り負け、レイソルはアジアの舞台から退かざるを得なくなったのだ。その敗戦がショッキングなものだった。蔚山は序盤から身長196センチの韓国代表FWキム・シンウクへのロングボールを多用。どんなところからも彼の頭をめがけてボールを蹴り、そのセカンドボールを昨シーズンまでガンバ大阪に在籍していたイ・グノが拾ってゴールに迫るパワープレーに沈んだ。選手たちは皆、「ああいうサッカーをする相手に負けて悔しい」と唇を噛んだ。のちにロンドン五輪で日本代表が苦しめられることになる、「分かっていたはず」の韓国のパワープレーにしてやられたのだった。「相手も体を張ってやっていたし、そこで結果的に負けてしまった。背の高い相手への対策は考えていたけど……」。これには、いつも前向きな那須もうなだれるしかなかった。

リーグ戦は序盤でつまずきながら“劇薬”によって盛り返しに成功

日立台で交わした約束の下に
 チャンピオンチームとして臨んだJリーグでも苦戦を強いられた。スタートダッシュに失敗すると、ACLとの兼ね合いからチームは疲弊し、対戦相手に研究されたこともあって勝ち切れない試合が増えた。順位もみるみるうちに降下。一時は15位まで落ち込んでしまう。

 GK稲田康志が「点を取った後に失点するパターンが続いている。その時間帯は必要以上に前掛かりになっている」と述べたように、この時期はチームのバランスが崩れるシーンが散見された。何より戦い方が安定しない。特段、得点力が落ちていたわけではなく、先制されて追いつくこともできるのだが、昨年までとは異なり逆転には至らなかった。安英学は「昨年はそれ(逆転)ができていたんですがね。そこで失点してしまうのが今年」と振り返る。

 では、その原因はどこにあるのだろうか。今シーズンは昨年に比べてFWが相手へプレッシャーを掛ける位置が高い。前線から相手をはめ込む守備を狙っていたのだが、そこをかいくぐられ、間延びした陣形のスキを突かれることが多かった。誘い込んでボールを奪うことが特長だったこれまでと異なり、対戦相手はレイソルをリスペクトして臨んでくる。無論、対策もされる。思いどおりにいかない試合が続き、選手たちも迷路に入ったようだった。「連覇していた鹿島アントラーズって、ホントにすごいと思うんです」

 チームの調子の上がらない時期に、田中がふと、こんな言葉をこぼしたことがあった。チーム戦術、そして個人の特長は相手に十二分に研究されており、特にレアンドロとジョルジ・ワグネルが位置する2列目へのパスを特に警戒された。この頃には日本代表の常連となっていた右サイドバックの酒井だが、レイソルではニアサイドへのクロスを警戒されて良さが出せていなかった。田中にしてもそうだ。自慢の左足を完全にケアされ、昨シーズンにリーグ戦13得点をマークした得点力は鳴りを潜めた。もちろん活躍する試合はあったものの、それが継続できない。「調子の波を作らないようにしたい」。シーズン開幕前に田中が掲げた目標は、そのまま自身の課題となった。周囲の期待値が高かっただけに、期待とのギャップがあって、自分がそこへ追いつけていないことに頭を悩ませてしまい、徐々に調子を落としていく。

 そして、クラブ首脳陣の中である話し合いが持たれた。「シーズン途中で戦力分析をせざるを得なくなり、一つの判断を下した」(強化部スタッフ)。2-5と大敗した第10節のサンフレッチェ広島戦で途中交代となった北嶋とロボが、以降、試合メンバーに名を連ねることはなくなった。この事実に、誰もが驚いたことだろう。チームにとっては、まさに“劇薬”である。長年、チームの看板を背負ってきた北嶋、そしてエースとして期待されていたロボへの判断は、残酷なものに映った。もちろんチーム内にも衝撃が走った。

 この“劇薬”は、他の選手たちにことさらな危機感を与えた。そして結果的に言えば、この判断後にチームは浮上していく。

 ネルシーニョ監督体制下で、“チームのベース”として築き上げてきた守備をもう一度整備したことにより、安定した試合運びができるようになった。そして精神面の改善も見られた。栗澤僚一は当時のチームについて、「試合では相手にペースが傾く時間はある。でも、そこで我慢できたから、これまで勝ててきたと思う。今は精神的な意識が重要かもしれない。耐えられれば、必ずチャンスがくる」と考えていた。焦らずにチームとしての守備、チームとしての攻撃を意識したことによって、結果がついてくるようになった。藤田が「勝てていない時にはいつも以上の努力が必要だろうし、それに付随して犠牲も伴う。現実は受け止めるけど、どこかのタイミングできっかけがくる。こういう時期が終わる時はあっけないかもしれないですし」と話していたように、選手一人ひとりが現状打破のために何をすればいいかを考え、それをピッチで実行したことが結果を引き寄せたのだった。すると、その「きっかけ」は訪れた。ACLでも各国王者ぞろいのグループステージを突破。リーグ戦では第11節川崎フロンターレ戦から8勝3分け1敗というハイペースで勝ち点を積み上げて、一気に3位まで浮上した。特にFWの選手たちが発奮した。いい例は工藤だ。その川崎F戦でゴールを挙げると、そのまま継続的に得点を積み重ねてリーグ戦10試合で9得点をマーク。そのまま、得点ランク上位にまで名を連ねている。辛い時に救ってくれる北嶋はいないが、「俺がチームを救う」という責任感が工藤の心に芽生えていった。

戦力ダウンと移籍組の不振で夏場に入って急ブレーキ

日立台で交わした約束の下に
 夏の移籍ウインドーでは、選手の放出が目立った。北嶋が熊本、ロボが千葉へ移籍したことに加えて、以前から海外挑戦が確実視されていた酒井がドイツのハノーファーへ。出場機会を減らしていた林陵平はモンテディオ山形、中島崇典は古巣の横浜FCへそれぞれ期限付き移籍。オファーを受けたチームを新天地に選択した。

 中でも中島はアピールかなって4試合続けてメンバー入りを果たし、主力組でのプレーも練習で増えていたタイミングで古巣からオファーを受けた。第20節アルビレックス新潟戦直前のことだ。相手側から決められた返答期限は「すぐ」。これを受けた中島は移籍を決意。新潟戦後のホテル、夕食後の時間で監督に胸の内を打ち明け、了承を得たのだ。

 これはほんの一例だが、やはりシーズン中の移籍話は急な展開が多い。林も同様で、登録期限ギリギリで正式に移籍が決まり、山形への引っ越しもバタバタの中で行っていた。ただ、補強に関しては、もちろんシーズン前からの準備が実ったものもあった。サイドバックには酒井が夏に移籍する可能性を考慮して、先を見据えた動きをしていたと言える。

 今夏、結果的に急な流出後に代わる人材、そして十分な選手層を確保することはならなかった。シーズン途中に主力級の選手を引き抜くことが難しく、断念せざるを得なかった部分もある。ただそのぶん、U-18から将来有望ですでに実力も備える木村裕、小林祐介、秋野央樹を2種登録させている。また、ブラジル2部のヴィトーリアでゴールを荒稼ぎし、千葉でプレー経験のあるネット・バイアーノを迎え入れることに成功した。彼はもちろん、「夏場以降の上位争いを勝ち抜くため」の補強だった。

 しかし、ネットが持つはずの得点力はなかなか生きなかった。ようやく得点が生まれたのは、加入から約2カ月後、出場10試合目となる湘南ベルマーレとの天皇杯3回戦。「こんなに決められなかったことは、今までなかった」という待望のゴールだった

 そして彼のゴールが決まりそうで決まらなかった期間と比例するように、8月に入ってからチームは勝利から見放され始めた。8月のリーグ戦は3分け1敗、9月は1勝3敗。昨シーズンに一度もなかった連敗を、この時期に2度も経験してしまう。本人も言うように、ネットは「前線からプレッシャーを掛けてゴールチャンスをつかむのが特長」の選手で、それによりチャンスにも絡むのだが、彼の動きに後方がついて来れないこともあって、チームのバランスがまたも崩れ始めていたのだった。総得点数は49点でリーグ3位。しかし、失点数42は対照的にリーグワースト3位(10月19日現在)。ここまでの28試合中、無失点に抑えたのは6試合しかないのだから、1試合平均失点が1.5までふくれあがったのも納得がいく。

 それでも、史上稀に見る混戦状態が続くJ1の終盤戦は、どうなるか分からない。現時点で6位につけるレイソルは、上位をうかがえる位置にいると言っていい。ヤマザキナビスコカップこそ惜しくも準決勝で敗退したが、ACL圏内だって夢ではないし、天皇杯だって勝ち残っている。「毎年、タイトルを取れるチームに」

 そう話したのは、大谷であり、工藤である。他の選手、そしてスタッフ全員の願いでもある。苦しい状況に陥った時に立ち返ってきた“ベース”が、このチームにはある。また、ネルシーニョ監督の続投も濃厚であり、指揮官が植えつけてきた「ヴィトーリア精神」と、「良い守備から良い攻撃へ、そして選手たちが良い距離感を保ちながらトライアングルを作ってゴール前まで運んでいくこと」の基礎は変わらない。その上で那須がよく口にする「プラスアルファ」を各選手が出し、監督の的確な采配によって、今後も多くの勝利を引き寄せていくに違いない。

北嶋から受け継いだ“レイソル魂”クラブの新たな歴史を刻むために

日立台で交わした約束の下に
 このチームにかかわる人たちが、心に秘める約束もある。

 5月27日のアルビレックス新潟戦後に行われた北嶋の移籍セレモニー。シーズン途中に国内移籍する選手としては異例となった場で、“レイソルの象徴”としてチームを支えてきた男と交わした約束である。

 そこで語られたキタジの言葉は、チームに残った選手たちの胸に深く刻まれたはず。それはサポーターも同様だったことだろう。「この日立台でみんなと泣いたり、笑ったり、怒ったり、いろいろな感情をぶつけ合ってきたことは、このスタジアム、このサポーターじゃないとできなかったことです。僕は柏レイソルのことも、サポーターのことも大好きです。でも、みんなでやってきたことを、自分の一番大切な場所に保管して、前に向かって頑張っていきます。サポーターのみんなも、チームメートのみんなも、レイソルのことを頼みます。これまでお世話になりました。僕が柏で過ごしてきて、培ってきた魂を、このゴール裏に置いていきたいです。受け取ってくれますか?

 僕はどんな時もレイソルを守ってきたつもりです。この先、もし僕の魂を受け継いでくれるというのなら、どんなにレイソルが苦しい状況に、どんなに辛い状況になっても、レイソルを支える、守ると約束してください」

 そう言って柏熱地帯のゴール裏スタンドに入り、本当にサポーターと交わした“指切りげんまん”の約束。クラブにかかわる人たちの心に乗り移った「キタジ魂」はこれから長く受け継がれ、そして語り継がれていくことだろう。彼とともに作り上げられたレイソルというチームの形、そして、その土台の上に作られていくであろう新たな未来。その行く先は、クラブを愛し、愛された彼のくしゃくしゃな笑顔のように明るく、そして輝いているはずだ。