2012.10.26

【インタビュー】トッティ(ローマ)「ケガさえしなければあと数年は第一線でサッカーを楽しめるはずだ」

ワールドサッカーキング 1101号 掲載]
36歳のフランチェスコ・トッティが開幕から全試合に出場し、ピッチ上ではつらつとしたプレーを見せている。自身2度目となるスクデット獲得は現実のものとなるのか。ローマに君臨する偉大なるキャプテンが、ズデネク・ゼマン率いる新たなチームを語る。
フランチェスコ・トッティ
インタビュー・文=ピエロ・トーリ 翻訳・構成=高山 港

 フランチェスコ・トッティは9月27日に36回目の誕生日を迎えた。ほとんどのプレーヤーが“第一線”から退く年齢である。だが、トッティはいまだサッカー界のトップに君臨している。13年前に指導を受けていた恩師ズデネク・ゼマン新監督から当時プレーしていた左ウイングのポジションを与えられ、13年前のようにピッチ上で快活なプレーを披露しているのだ。

 シーズン序盤戦のローマは決して好調とは言えない。しかし、トッティはゼマンの方法論が間違っていないことを確信している。近いうちに、ローマがスペクタクルなサッカーで勝利を積み重ねることを、心の底から願っている“永遠のカピターノ”は、彼のサッカー人生で“唯一のチーム”がセリエAの頂上で再び輝く日を待ち望んでいる。

ケガさえしなければあと数年は第一線でサッカーを楽しめるはずだ

シーズン序盤を見る限り、ゼマン率いる新生ローマはスタートダッシュに成功しているとは言えない。君自身もその実感はあるんじゃない?

トッティ確かに想定外だったかな。ここまでの成績には不満が残る。ゼマンがやりたいと思っているサッカーをピッチ上で具現化するためにはもう少し時間が必要だろう。

君は“恩師”の復帰を喜んでいる?

トッティ もちろんだ。彼がローマに戻って来てくれたことを心からうれしく思っている。彼は言うなれば、サッカーの“マエストロ”だ。常に勝ち点3を獲得するための準備を怠らず、最高の11人をピッチに送り込む監督なんだ。俺は1997─98と98─99シーズンの2年間、彼の下でプレーした。だから彼が選手に何を望んでいるのか、よく理解しているつもりだよ。チーム全体が彼のサッカーを素早く吸収すれば、おのずと満足のいく結果をピッチで残せると思う。

13年ぶりにゼマンと再会したわけだけど、当時と比べて戦術や指導方針に変化はあった?

トッティ ゼマンの考えにブレはない。彼は攻撃的なスタイル、そして4─3─3のシステムに絶対的な自信を持っている。このやり方こそが、ピッチを最も効果的に使えるものだと信じているんだ。昨シーズン、彼が率いたペスカーラはこのシステムでセリエBを制し、チームはセリエA昇格を達成した。昨シーズンのペスカーラはイタリアで最も美しいサッカーをしていたんじゃないかな。当然、誰もが今シーズンのローマに期待しているのは分かっている。だけど、もう少し長い目で見てほしいんだ。新たな戦術の導入に加えて、選手の入れ替わりも激しかったからね。

昨シーズンの監督だったルイス・エンリケも同じ攻撃的サッカーを掲げていたよね。ゼマンとの違いは何?

トッティ 「攻撃的姿勢を貫く」という点では2人に大きな違いはない。ただ、ゴールに至るまでのアプローチの仕方は全く違う。L・エンリケのサッカーはあくまでボールポゼッションに重きを置いていた。横パスをつなぎながら、敵陣にできたギャップやスペースを狙うというスタイルだ。そして、「ボールを保持している限り、相手に点を許すことはない」という考えも彼独特のサッカー観だね。一方、ゼマンは縦パスを重視する。もし3本の縦パスでゴールを奪うことができれば、彼の理想とするサッカーが表現できたことになる。俺たちがピッチをアップダウンする回数は昨シーズンよりも断然多いよ。

ゼマンは「今シーズンの目標はスクデットの獲得と年間70ゴール」と言っているけど、この目標は可能だと思う?

トッティ 年間70ゴールについては、それほど難しいとは思っていない。第一、これまでゼマンが率いたチームはどこもゴールを量産しているからね。今のローマの攻撃陣を見れば、その目標はクリアできると思う。ただ、スクデットの獲得は、現時点では少々難しいと言わざるを得ない。さっきも言ったように、今のローマはまだ発展途上の段階だからね。いずれにしても、シーズン終盤の話をするのはまだ早いよ。

それにしても今シーズンの君はここ数年で最もコンディションが良いんじゃない? これも、ゼマンのトレーニングのおかげなのかな?

トッティ 素直にうれしいよ。コンディションさえ整っていれば、36歳になっても良いパフォーマンスが見せられるということさ。すべてはサマーキャンプでのトレーニングのおかげだね。ゼマンのトレーニングはとことん体をいじめ抜くんだけど、その効果はてきめんさ。おかげで今のコンディションは最高なんだ。ケガさえしなければ、あと数年は第一線でサッカーを楽しめるはずだ。