2012.07.30

U-23日本代表、快進撃の理由を野口幸司氏が分析「関塚監督の準備が素晴らしかった」

野口ロンドンオリピックでU-23日本代表がスペインに続き、モロッコを下して2連勝。12年ぶりとなるグループリーグ突破を決めた。快進撃の口火を切ったスペイン戦の勝利をWOWOWサッカー解説陣の野口幸司氏は、「日本の守備が初戦からあれほど完璧に機能するとは思わなかった。関塚監督の素晴らしい準備のおかげ」と評価。さらに、U-23スペイン代表のサッカーについて「チームとしてまとまっていない。A代表でもやっているようなゴール前の崩しがもっと見たかった」と各選手の動きの悪さを敗因に挙げ、「彼らは本来、もっといいプレーができる選手。五輪では今後、コンディションをあげていってほしいし、新シーズンのリーガでも活躍を期待したい」と、8月18日(土)に開幕するリーガ・エスパニョーラ2012-13シーズンへの期待感を語った。

初戦でスペイン相手に完璧な戦い方ができるチームは、なかなか作れない

――スペイン対日本を振り返って、どんな印象を受けましたか?

初戦で日本の守備力が、あんなに形で完成するとは思いませんでした。親善試合では、攻守両面であまりインパクトがなかったけど、立ち上がり5分を見て“今日の日本は行ける”と思ったぐらい守備が良かった。相手からボールも奪えていたし、シュートまでの攻撃も作れていたから、選手達も「いける!」という手応えがあったと思う。それが結局90分間続きましたよね。 それはやっぱり、本大会に向けてチームをベストな状態に持って行った関塚監督の準備が素晴らしかったと思う。初戦でスペイン相手に、あんなにパーフェクトな戦い方ができるチームは、なかなか作れない。本当に調子のいいメンバーを選んでいたし、11人全員でやりたいサッカーの意思統一がはかれていたのは、監督の力だと思います。

――日本の勝因はどこでしょう?

うまく守れたのが、一番だと思います。攻撃は相手によって、いい時も悪い時もある。それが正に昨日のスペインで、コンディション不良かまだ試合感が無いのか、あれだけ攻撃的なチームが全く攻められなかった。それに対して守備は、波がなくて安定感がある。戦術が格上のスペインにマッチしたのかもしれないけど、守備が良ければ安定した試合ができる。それはリーグ戦において、大事な要素だと思います。

――今回はメンバー選考についても議論となりましたが、オーバーエイジの吉田選手・徳永選手の守備面の働きはいかがでしたか?

吉田に関しては高さも経験もある。後ろから選手を鼓舞する声や、ラインコントロールの面で、オリンピックチームに欠けていた部分を補っていたと思います。スペイン代表に中央まで入りこまれた場面が2回ありましたが、吉田がうまくカバーリングしていた。同じ世代なら、少しあたふたするところも彼がいることで冷静に戦えていたと思います。 吉田や徳永で大丈夫かなと心配はあったけど(笑)、派手さはなくてもいい存在感を出していたと思います。

――日本の選手で目立っていたのは誰でしたか?

誰も目立っていないのが、いいところですね。日本の場合、全員で同じ働きができるから、結果を出せる。強いて挙げるなら永井。あの速さはスペインのディフェンスに脅威を与えていたし、あのプレッシャーがあったから相手の攻撃もうまくいかなかったと思います。

――昨今の日本代表の進化についてはどう思われますか?

色々な人の努力があってこそ、今がある。日本のサッカー協会を含めて全国各地で指導者が勉強しながら、小さな子供達もサッカーで大事な要素がわかってきて、父兄にもその輪が広がっていく。その結果、ああいう才能のある選手が出てきているのだと思いますね。リーガなど質の高い試合がテレビで見られるようになったのも、大きいと思います。

本当にうまい選手が揃っているけど攻めの形が見えなかった

――ユーロを制したスペインですが、今回の五輪代表との違いはどんなところでしょう?

五輪代表は、チームとしてまとまっていない印象でしたね。A代表は軸になる選手がいて、攻めの形がある。ジョルディ・アルバもA代表であれだけ活躍したのに、日本戦ではいい形が1回くらいしかなかった。 五輪代表はマタが軸だけど、前線の選手がどう絡むとか、形が見えなかった。本当にうまい選手が揃っているけど、コンビネーションが悪くて、スペインらしさが今ひとつ見えませんでしたね。

――本来の選手達のプレーからすると、スペインのどんなプレーが見たかったですか?

やっぱり、A代表で見ているゴール前の崩し。A代表ならシャビやイニエスタの流れるようなパスから、シュートまでいく。今回の五輪代表でも、同じようなプレーができるはずだけど、それができなかった。だから、それをさせなかった関塚監督がすごい。 スペインは10人になったのもありますが、パスもただ回しているだけで、狙いがわからなかった。そこが見られなかったのは、少し寂しかったかです。

――スペイン代表で目立った選手は?また新シーズンのリーガで活躍が期待できるのは?

マタ。やっぱりあいつが持つと怖い。それとジョルディ・アルバかな。ユーロでもあれだけのメンバーの中で、ずっと一緒にやってきたかのように落ち着いてプレーしていた。新シーズン、バルサに入ってもすぐに馴染むと思います。

――ジョルディ・アルバの良さとはどんなところですか?

攻撃参加ですね。バルセロナは右にダニエウ・アウヴェスがいるけど、それに加えて左からジョルディ・アルバが来たら、ただでさえ中盤・前線の選手を抑えるので必死なのに、見逃してしまう可能性は高いと思う。あと、ハビ・マルティネスがアスレティック・ビルバオではストッパーだけど、日本戦では本職の中盤で出ていた。彼も長いボールを配給したり、シュートができる選手ですが、試合ではそういう良さが見えなかった。鋭い縦パスを入れられると、日本はもっと怖かったと思います。

スペインの選手達には、ボールを失うことは恥ずかしいというメンタリティーがある

――スペインサッカーの魅力はどんなところでしょう?

スペインのサッカーは、見ていて楽しい。彼らはパスを受ける前にすごく準備をしていますが、細かいポジショニングを身につけていないとああいったプレーはできない。その感覚を小さい時から植えつけられていて、それがスペインの強さに繋がっていると思います。日本の子供達は、相手が見えればパスを出して通ればいいというプレーしか知らない。パス1本ずつの差はわずかでも、1試合戦えばそれは大きな違いになります。 なおかつスペインの選手達には、ボールを失うことは恥ずかしいというメンタリティーがある。だから、小さくても体の使い方を覚えて、ボールキープも上手くなる。ちょっとしたゲームでも喧嘩になるくらい熱いから怪我にも強くなるし、ボールのもらい方もうまくなる。そこが見ていて楽しいところだし、日本の子供達にも知って欲しい部分です。

――新シーズンが開幕しますが、期待感は?

ここ数年バルセロナとレアル・マドリードの2強時代が続いているので、A・ビルバオやバレンシア、アトレティコ・マドリードにマラガなどが差を縮めて欲しいですね。バルセロナもR・マドリードも、所属選手が大勢ユーロに出ていたので、スタートは良くないと思う。だから、スタートダッシュであまり差は開かないと思うので、今年は後続チームに期待したいです。

――バルセロナとR・マドリードの両チームの印象はいかがでしょう?

象徴とも言える絶対的な監督がいなくなったバルセロナが少し心配です。ビラノバ新監督が同じリズムで続けていくと思うし、間違いなく優勝を狙えるメンバーですが、うまくいかない時に持ちこたえられるか、チームとして1シーズン戦えるかはまだ分からない。 逆にモウリーニョ監督は昨シーズンのリーガを獲って選手の信頼も厚いから、今年は昨年以上に強くなると思う。モウリーニョ監督もこれでラストかもしれないけど、R・マドリードはある程度軸もあるので、これからも変わらないと思います。

――今シーズンのリーガの見どころを教えてください

マラガとA・ビルバオに注目して欲しいです。マラガはペジェグリーニ監督のサッカーが浸透してきて、昨シーズンは順位を4位まで上げた。A・ビルバオも若いチームで、バルセロナに似たスペインらしいサッカーをする。力をつけてきているので、バルセロナやR・マドリード相手に良い試合をして欲しいですね。下位チームも中堅も、2強を苦しめるような試合を見せて欲しい。そういう、毎試合見応えのあるリーガを期待しています。

 

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

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★スペインサッカー スーペルコパ スーペルコパとはリーガと国王杯の優勝チームがホーム&アウェイ方式で新シーズン初タイトルを争う大会。レアルは4シーズンぶり、バルサは4シーズン連続の優勝を目指す。 ・1st Leg バルセロナvsレアル・マドリード  8月24日(金)午前5:20[WOWOWライブ] ・2nd Leg レアル・マドリードvsバルセロナ  8月30日(木)午前5:15[WOWOWプライム]