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【レポート】オリンピックに見るコカ・コーラ社のスポーツマーケティング戦略

2016.02.02

 1月28日(木)に東京都八丁堀のFootball★Plazaで、サッカーキング・アカデミー コカ・コーラ社特別セミナー「なぜ世界的スポーツ大会に投資するのか」が開催。ビジネスマンや学生など、約40人が参加した。

 講師を務めたのは、日本コカ・コーラ株式会社マーケティング本部 IMC マーケティングアセッツ部長の渡邉和史氏。アメリカで生まれ育ち、日本の上智大学を卒業後、博報堂に入社し、トヨタ自動車の営業担当として、コパ・リベルタドーレス杯の運営や同社キャンペーンなどを担い、2000年にFIFAマーケティングAGに転職し、2002年にはFIFAワールドカップを経験している。

 2004年には博報堂DYメディアパートナーズへの転職を経て、2011年に日本コカ・コーラに入社。アクエリアスブランドのスポーツマーケティングや2014年FIFAワールドカップのキャンペーンを手掛け、現在はコカ・コーラのスポーツ/エンターテインメントの交渉窓口やコミュニケーションプロデュースを統括している。IOCとの共同プロジェクト、オリンピックムーブスにもメインで関わる。

 そんな渡邉氏が、コカ・コーラのマーケティング手法やチームミッション、オリンピックにおけるムーブメントをテーマに講義を行った。

 始めに、FIFAやオリンピックの加盟国数とコカ・コーラの販売国数の親和性を述べ、国際的なスポーツ大会に協賛する理由を解説。また自身が勤めるマーケティングアセッツ部についても「どうすれば消費者が喜んでくれるのか。その考え方が僕らのチームの基本的な戦略です」と話した。「消費者のみなさんに喜んでもらう」という言葉を講義中に渡邉氏が何度も口にしていたことからも、コカ・コーラ社がいかに消費者との関係を重視しているかが伝わった。

 その中でも、1928年から続くオリンピックパートナーとして、開催地への社会貢献、「レガシー」を提供することにコカ・コーラ社は活動を進めている。

「コカ・コーラにとってのレガシーとは、『オリンピックとのアソシエーションやアクティベーションを通して生まれる、長期的なビジネス利益のこと』です」。2012年に開催されたロンドンオリンピックでは、飲料パッケージリサイクルの推進に取り組んだ。「ビートに乗って、リサイクルしよう!」を合言葉に、オリンピック聖火リレーと共にリサイクル専用のハイブリット車が走行した。「楽しく、賑やかに、リサイクルしよう」という取組みに5万人以上が参加し、イギリスのリサイクル意識を変える第一歩となった。

 そして、2020年東京オリンピックに向けてもコカ・コーラ社は取組みを進めている。「バブルサッカー」や「ハンドソープボール」をはじめとした「“ゆる”スポーツ」の振興を行っている。日本版オリンピック・ムーブスは、オリンピック競技と“ゆる”スポーツを掛け合わせることで、幅広い層が気楽に参加し楽しめる、スポーツの全く新しい形を提供し、スポーツを楽しむ文化を浸透させることが大きな目的である。

 セミナーでは、渡邉氏が積極的に参加者とのコミュニケーションを図り、充実した1時間半の講義となった。「今日お集まりいただいたみなさんとは、『日本のスポーツを強く豊かにしたい』という共通のゴールを持っているはずなので、いつかみなさんと一緒にお仕事をする機会があればいいなと思っています」。渡邉氏は最後にこう締めくくり、コカ・コーラ社特別セミナーは幕を閉じた。

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