2015.12.22

インハイ準優勝の市立船橋、朝岡隆蔵監督は選手権制覇へぬかりなし「初戦までの準備が勝負」

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インタビュー=安田勇斗、写真=兼村竜介

 夏のインターハイで準優勝を飾り、冬の選手権予選ではライバルの流通経済大学付属柏高等学校を3-0で撃破して全国大会へと歩を進めた。周囲は当然のように日本一を期待する。しかし、朝岡隆蔵監督は「一戦一戦、先を見ずにしっかり準備をして戦う」と慎重な姿勢を崩さない。4年前に全国制覇を経験した若き名将は言う。「初戦までの準備が勝負」。その表情や口調からは、優勝候補というおごりも油断も感じられなかった。

点を取る部分ではもっと成長が必要

――選手権の前に、まずは夏のインターハイについてお聞きします。決勝で東福岡に敗れ、惜しくも準優勝に終わりました。
朝岡 そうですね。でもトーナメント戦で優勝するのは簡単ではないですし、内容が悪い試合もありました。勝ちあがりはしましたけど、まだあの時点では信用できなかった部分もあります。安定感があって崩れない強さがあることは証明できましたが、特に点を取りきる、という部分はまだまだだったかなと。

――選手権へ向けての収穫や課題はありましたか?
朝岡 収穫は全国大会でトップを狙えるチームだと実証できたことです。それと、チームにとって大きな存在である永藤(歩)が決勝を欠場せざるを得ない状況の中で、あそこまで戦えたことですね。自信を得られたと思いますし、PK戦とはいえ負けたことが、次へのエネルギーにもなるかなと。課題は、攻撃の迫力を出せなかったところ。ゴールをこじ開けるパワーが必要だと感じました。

――今年も市船は守備が固い印象がありますが、そもそもどういうチーム作りを目指しているのでしょうか?
朝岡 今年に限らず、しっかりとビルドアップができるチームにしたいと思っています。その点、今年はどんな相手でもある程度、ボールを持って主導権を握れているかなと。また各ポジションの試合におけるタスクを一つずつ増やしていきました。これによって攻守の運動量が増えてきましたし、プレーの幅も広がったと思います。加えて、攻撃の3分の1のエリアでどういう勝負ができるかというのが今の課題ですね。

――そのチーム作りはどの程度、進んでいるのでしょうか(12月中旬取材)?
朝岡 対戦相手や状況によって変わりますけど、80パーセントぐらいはできているかなと。もちろん物足りない部分はありますし、特に点を取る部分ではもっと成長が必要です。

先を見ずにしっかり準備をして戦います

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――先ほどインターハイでの永藤選手の不在について触れていました。永藤選手が本調子でない中で迎えた選手権の千葉県予選はいかがでしたか?
朝岡 永藤だけでなくキャプテンの椎橋(慧也)も不在の時があって、どこまでできたかというと微妙なところなんですが、意外とあっさり点が取れたかなと。ただ本当に強いチームは4、5点取りますし、そういう爆発的な得点力は出せませんでした。相手の隙を突いたり、チャンスを見逃さずに点を取れたりしたので、そこは評価できますが、現段階では「○」ではなく「△」ですね。

――決勝では宿敵の流通経済大学附属柏高等学校に3-0と完勝を収めました。
朝岡 決勝に限らず、予選4試合をひとくくりで考えて予選突破のシナリオを作り、初戦から計画的に戦えたところは良かったですね。特に決勝は試合までの1週間で周到な準備をして、いい形で戦い相手を上回れたと思います。

――決勝までの1週間は、具体的にどんなことに取り組んだのでしょうか?
朝岡 決勝の前に“予防線”を張っておいたんですよ。流経戦をシミュレートして、初戦(vs東京学館浦安高校)で流経戦仕様のフォーメーションで戦ったんです。準々決勝、準決勝では研究されることを想定して、その形では戦いませんでした。シミュレートしても相手が違うのでうまくいかないところもありましたけど、ここでボールを拾う作業、拾った後のプレーを試すことができました。その試合を経て、流経戦までの1週間で相手の分析を重ねてチームに落としこんでいきました。そういうしっかりとした準備ができたのでパーフェクトに近い状態で試合に臨むことができたんです。

――スコアだけでなく内容も良かったと思います。
朝岡 相手のプレッシャーの外し方も含めて、いい試合ができたと思っています。後半に相手が形を変えてきたところが重要でしたが、そこもしっかり耐えきることができました。最終ラインがずるずる下がるとやられてしまうのですが、かなり高い位置をキープできたことも勝因の一つだったかなと。

――選手権では1回戦でインターハイベスト8の米子北と対戦します。
朝岡 プレミアリーグ(高円宮杯全日本ユースU-18サッカー選手権大会)があって、終わるまでは考えていなかったんです。ですので、ちょうど取り組み始めたところで。まだ分析前ですが、イメージとしては4-4-2のフォーメーションでしっかり守備をするチーム。その守備を活かした緻密なカウンターが最大の特徴かなと。どう対応していくかはある程度、頭の中にあるのでどういうゲームになるかを想定しながらやっていこうと思います。

――今大会で気になるチームはありますか?
朝岡 それはやっぱり東福岡ですね(笑)。本当に優勝を狙えるチームは4校か5校ぐらいだと思いますが、東福岡はそこに入ってくるチームですし、米子北もそうですけど嫌なチームの一つですね。

――インターハイ決勝でも対戦した東福岡とは、順調に勝ちあがれば3回戦で激突します。東福岡にはどんな印象を持っていますか?
朝岡 伝統的にいいアタッカーがいて、能力の高い選手がそろっていますね。特に中盤の3枚はテクニックがあって、かなり特徴があるチームです。今年は「弱い」と言われてきたがゆえに、チームのまとまりがあるんですよね。チームとして戦い抜けるし、崩れないメンタリティがあって、安定感や底力がある。インターハイでも、リーグ戦でもそういう印象を持ちましたし、崩すのが難しい相手だと思っています。

――最後に選手権への意気込みをお願いします。
朝岡 一戦一戦目の前の勝負に対して、先を見ずにしっかり準備をして戦います。開幕までの時間は限られていますけど、プレミアも終わりましたし、ここからまた階段を上がる準備ができればなと。ある意味、初戦までの準備が勝負だと思っています。