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中国サッカーを支える育成の老舗、31面のピッチを保有する「山東魯能足球学校」

2015.09.27

前回のコラム、中国4大足球学校のひとつである「恒大足球学校」を訪問した。続く第2回の足球学校訪問コラムは、これまで中国サッカーの育成を支えてきた育成の老舗「山東魯能泰山足球学校」に迫る。

この学校を保有するのは「山東魯能」という中国スーパーリーグ(1部リーグ)に所属するクラブで、今では広州恒大に名実ともに押されつつあるが、国内リーグ優勝3回、カップ戦優勝5回、今年の広州恒大とのスーパーカップで接戦を制すなど、国内3本の指に入る強豪だ。ACLの常連でもあり、2009・2010・2011・2014・2015年と毎年のように参加している。

親会社である魯能集団(不動産やエネルギー事業を営む)が1997年にクラブ経営権を持ち、自らが掲げる「百年クラブ構想」のもと、99年に4大足球学校の先駆けとなるサッカーアカデミー(寄宿制)を設立。
(ちなみに、04年杭州緑城足球学校、12年広州恒大足球学校、13年広州富力足球学校が設立され、現在4大足球学校と呼ばれている。)
以降、中国A代表に30人以上、オリンピック代表に60人以上、世代別も合わせるとこれまで140名以上の代表選手を輩出し、U13からU19の全国大会優勝回数も47を数える、中国サッカーの育成の中心的存在となっている。

現在、アカデミーには小学3年生から高校3年生の約300人が在籍し、筆者が3年半前に訪れたときよりも若干生徒数は減っているが、2014年に新たに屋根付き人工芝一面、天然芝9面、食堂、宿泊施設を増設し、現在では31面のピッチ、医療施設、フィットネス施設、遊戯施設、バスケットコート、テニスコート、学校施設と規模は拡大している。先日の恒大足球学校よりは数が劣るものの、それでも相当巨大な施設であることは間違いない。

サッカー指導面においては、トップチームの監督の影響もあり、長年東欧系のコーチがアカデミーの指導に携わってきたが、2014年からサンパウロFCと提携し、ブラジル人コーチ陣が参加している。

またアカデミーでは、中国サッカー協会の協力のもと、中国サッカー最大規模の国際ユース大会「Weifang Cup(潍坊杯:ウェイファンカップ)」を毎年7月末に開催している。(ウェイファンとは当地の地名を指す) 2006年第1回が開催され、ジュビロ磐田・セレッソ大阪のJrユースチームが参加した。第2回目以降はU19対象の大会に変更され、中国代表、北朝鮮代表など各国代表チームとバイエルンミュンヘン、チーバス、エスパニョール、サンパウロ、リバープレートなど世界の強豪クラブが参加するレベルの高い大会となった。最近の日本との関係では、2012年第6回大会で、柏レイソルU18が参加し、5位決定戦で中国代表を破り大会を終えている。(筆者は同大会のコーディネートとして3年半前に訪れた)

現在、アカデミーでは、新たな試みにチャレンジしている。
新たな育成方針として「走進去、請進来」を掲げ、積極的に選手を海外に派遣し、海外の指導者を国内に招聘する。先のサンパウロFCとの提携のほか、2014年にブラジルに魯能巴西体育中心を設立し、U15/U17/U20の80人を派遣する。また、ポルトガルの4つのクラブと提携し、アカデミー18歳以上の選手14名を各クラブに派遣している。

海外に選手を派遣する足球学校の理由もまた国内にありそうだ。全国大会以外の公式戦が少なく、恒大足球学校と同じ課題に面している。同じく、Weifang Cup以外での海外チームとの交流も少なく、現地関係者からはしきりに日本サッカーから学びたい、交流したい要望をうけた。驚くことに育成の老舗である山東魯能泰山足球学校だが、日本遠征の経験はない。

現在、Jリーグアジア戦略では東南アジアを中心に提携が進んでいるが、Jクラブが中国のクラブと協力し、彼らの選手の受入れに取り組んでいくことが期待される。いまブラジル・ポルトガルや欧州に流れている人材や経済効果が日本に流れるとともに、新たな日中の交流が生まれ、双方にとって、そしてアジアのサッカーにおいて有益ではなかろうか。

アジアサッカー研究所は、Weifang Cupへのコーディネーションも含め、山東魯能泰山足球学校や他の足球学校と日本のクラブとの交流や招待等を通して、積極的に日本と中国サッカーの交流を促していきたいと考えている。

(アジアサッカー研究所/松下)

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By アジアサッカー研究所

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