2012.07.10

2年目のインテルで得た手応えと期待。長友佑都「今の自分を超えて、また新しい自分を超える」

ワールドサッカーキング 2012.07.19(No.222)掲載]
インテルでの2シーズン目を戦い終えた長友佑都。ヨーロッパのトップレベルに身を置き、逆境の中でも前向きな姿勢を失わずに戦い続ける“ブレない男”が、精神的強さを身につけることの大切さを語ってくれた。
長友

インタビュー・文=浅野祐介 写真=藤巻祐介/クラッカースタジオ

 チャンピオンズリーグではベスト16止まり、セリエAではタイトル争いに絡むことなく6位。イタリアの名門インテルにとって2011-12シーズンは決して良いものではなかった。

 しかし、その中で、長友佑都は奮闘した。逆境の中でも前向きな姿勢を失うことなくピッチを縦横無尽に走り、攻守に奮闘。チームが思うように勝てない中で批判されることもあったが、それを力に変えて戦い続けたのである。

 長友は苦しかったシーズンを振り返るのに「最高」という言葉を使った。これは彼が逆境の中で多くの経験値を得て、自分自身が一回り大きく成長したことの何よりの証明だろう。

逆境に感謝してそして乗り越える

まずはインテルでの2年目となった2011-12シーズンを振り返りましょう。3人の監督の下でプレーすることになりましたが、長友選手にとってどのようなシーズンになりましたか?

長友 僕自身にとっては最高のシーズンになったと思います。成長という意味で言えば、いろいろな経験をさせてもらって。良い時も悪い時もありましたが、個人的には本当に素晴らしい、何ものにも替えることのできない1年になりましたね。

ただ、チームとしては決して良いシーズンとは言えませんでした。

長友 苦しいシーズンになりました。インテルは常に勝利を求められているクラブなので、結果が出ないという意味ではやはり厳しいシーズンでした。

長友

昨シーズン、セリエAでは35試合出場2得点。フィールドプレーヤーではエステバン・カンビアッソに続く2番目の出場数です。ハイレベルな選手がそろう環境でレギュラーポジションを守るために大事なことは何でしょうか。

長友 特に心掛けているのは、メンタルのコントロールですね。自分のプレーの改善には、もちろん取り組むんですが、技術や能力が一瞬にして良くなることはなかなかない。メンタルをどれだけコントロールができるか、それが僕としては一番大事だと思います。

監督交代の影響もあったのでしょうが、ベンチスタートになった時期もありました。

長友 監督の選択は常に正しいと思っていました。それは自分に実力がないからだと。“世界一のサイドバック”であれば誰が監督でも使ってもらえますから。逆境が来た時にはいつも感謝して、そして乗り越える。今回も自分に足りない部分を見直して、自分の成長につなげられたと感じています。

現地メディアを見ていると、良い時には「ナガトミック」や「インテルのエンジン」、逆に悪い時には「ハラキリ」など、評価の浮き沈みが激しいように思えました。そういった評価をどのように見ているんですか?

長友 僕はすべて受け止めます。良いことも悪いことも受け止めて、自分に残るものは残していくというやり方なので。自分を成長させてくれるのは厳しい批判をしてくれる人だと思っていますから、感謝して受け止めます。

でも、さすがに「ハラキリ」には驚いたのでは?

長友 驚きましたね。というか、最初に見た時は笑いました。

シーズン終了後、「サッカー人生を作る上でのベースができた」と話していましたが、具体的にそのベースとはどんなものですか?

長友 メンタル面です。サッカーの能力というより、メンタル面での土台ができました。これからは自分自身でどのようにでも作っていけるという意味です。批判も含め、言われたことをしっかり心に受け止めて、それを自分の中で消化するんです。

では、来シーズンに向けての話を。仮にインテルの強化担当だったら、誰を補強したいですか?

長友 本田圭佑とかいいんじゃないですか。僕もやりやすいと思っていますし。彼ならビッグクラブでもいけるんじゃないかと思います。

本田選手はインテルにフィットしそうですか?

長友 やってみないと分からない部分はもちろんありますが、彼ならフィットできると思います。

著書ではマイコンについて、「超えなきゃいけないライバル」と表現していました。他にもライバルと見なしているサイドバックはいますか?

長友  いや、結局は自分ですから。どれだけ自分に負けないかというところの勝負ですね。僕は他の人と自分を比べるより、自分自身がライバルだと思っています。

常に“今の自分”を超えていく、と。

長友 そう、自分を成長させていく。今の自分を超えて、また新しい自分を超えて、という繰り返しですね。

シーズン終盤に指揮を執ったアンドレア・ストラマッチョーニ監督の正式就任が決定しました。若い監督ですが、どんなタイプの監督ですか?

長友 周りをすごく見ることができて、素晴らしい人だと思います。選手とコミュニケーションを取るタイプの監督で、本当によく話すし、こちらの話も聞いてくれます。

ところで、イタリア語でのコミュニケーションに不自由を感じることはありませんか?

長友 ある程度であれば問題ないですね。伝えたいことは伝えられます。

ミーティングも通訳はなしで?

長友 なしです。

本当のトップレベルはまだまだ遠いと感じる

長友

日々、世界のトップレベルと接している長友選手から見て、今の日本代表はどういう位置にあると思いますか?

長友 世界でも戦える選手が数多く出てきたし、レベルは上がっていると思いますね。でも、僕も含めてまだまだ成長しないと、世界のトップには手が届かない。本当のトップレベルはまだまだ遠いとも感じています。

世界のトップレベルということでは、ユーロ2012の感想はいかがですか?

長友 オランダの結果(3戦全敗でグループリーグ敗退)は残念でした。チームとしてのまとまりがなかったですね。イタリアはダニエレ・デ・ロッシの起用方など、興味深いサッカーをしていたと思います。

日本代表のチームメートである香川真司選手がマンチェスター・ユナイテッドに移籍しました。プレミアリーグで活躍できるかどうかのポイントは何だと思いますか?

長友 彼が持っている能力を生かせば、絶対やれると思います。ビッグクラブへの順応と、環境に慣れること。あとはメンタル次第だと思います。

日本代表のニューフェイス、19歳の宮市亮選手についてはどういう印象を抱きましたか?

長友 真面目な好青年だと思いましたね。ちょっと真面目過ぎるというぐらい真面目なので(笑)。

プレーの面ではどうでしょう?

長友 スピードはトップレベルにありますけど、もっとガツガツしていてもいいかもしれません。そのほうが面白いんじゃないかなと思いますね。

長友

2014年のブラジル・ワールドカップを、長友選手は27歳で迎えます。プレーヤーとしてピークとも言えるタイミングだと思いますが、本大会に向けての思いを聞かせてください。

長友 まずは最終予選を突破して出場を決めることですね。それからは世界で戦うための、ワールドカップで優勝するための準備をしっかりやっていきたいと思います。もちろん予選突破が最初のノルマになりますが、目標はやはりワールドカップ制覇です。

この夏、清武弘嗣選手や酒井宏樹選手がヨーロッパに渡ります。選手個々のレベルアップという点で、若いうちに海外挑戦する意義、そこで得られるものはどんなものだと思いますか?

長友 サッカーだけでなく、生活や文化が異なる環境の中でやるのは簡単ではないので、その上で活躍するというのは非常に難しいことです。だから人間としても大きくなれるし、それがサッカー選手としての大きさにもつながる。だから貪欲にチャレンジしてほしいな思います。

来シーズンも激しい戦いが続くと思いますが、まだ対戦したことのないチームでやってみたい相手はいますか?

長友 バルサとやってみたいですね。

最後に、インテルでの3年目となるシーズンに向けて、個人として、そしてチームとしての目標をそれぞれ教えてください。

長友 チャンピオンズリーグに出場しないので、スクデットを取ることが目標になります。そこで自分が貢献できるのが一番です。あとは、これは以前から変わらないですけど、世界一のサイドバックになるために一歩一歩進んでいきたいと思います。

長友
ナイキフットボールが展開するスカウトプロジェクト「THE CHANCE」の一環で東京都内の高校サッカー部を訪問してスカウトを行った長友佑都選手。若い選手たちにこんなメッセージを送っている。「チャンスはそう多くないし、チャンスをつかむためにはチャレンジが必要。どんどんチャレンジして、向上心を持って失敗を恐れずにやってほしい、頑張ってほしいと思います」

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING @SoccerKingJP』の編集長に就任。

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