[ワールドサッカーキング 2012.06.07(No.216)掲載]
ウェスレイ・スネイデルは2シーズン前の栄光を決して忘れてはいない。彼はチームと自身の輝きを再び取り戻すために、既に来シーズンを見据えている。苦しい戦いを数多く乗り越えてきた希代のプレーメーカーが、新生インテルの未来図を語った。
今シーズンのインテルは最後まで本来の調子を取り戻すことができなかった。リーグでは常に中位をさまよい、チャンピオンズリーグ(以下CL)ではベスト16止まり。成績が上がらなかった最大の要因は、シーズン序盤のつまずきだったと言える。
だが来シーズンに向けて明るい兆しも見られる。ウェスレイ・スネイデルの復調だ。2シーズン前に3冠の立役者となった司令塔がケガを克服し、チームに多彩な攻撃のバリエーションをもたらすようになったのだ。
スネイデルの復調とシンクロするように、チームは浮上のきっかけを確かにつかむ。第33節には、CL出場権獲得に向け快調に勝利を重ねていたウディネーゼを相手に奮起。3-1の快勝でチームのポテンシャルを誇示した。スネイデルらしい抜け目のないゴールがチームを救ったのだ。
再び、強いインテルを世界に示すために。スネイデルが、来シーズンへの固い決意とチームの未来について語った。
俺たちはシーズンを通じて、運から見放されていると感じた。
まず、この1年の戦いを振り返ってもらえるかな?
スネイデル 今シーズンははっきり言っていい1年じゃなかった。タイトルを手にし続けることが簡単じゃないってことを改めて感じたよ。でも、ひどいシーズンはどんなチームにもあり得るもの。インテルだって例外じゃないってことさ。チームは人間の集まりであって、ロボットの集合体じゃない。人間がチームを動かしている以上、こういったことが起こってしまうんだ。毎年のように状況は変わるし、人間も変わる。そんな中で勝ち続けるのは本当に難しいことなのさ。
君は以前、「インテルは運に見放されている」と言っていたけど?
スネイデル 俺たちはシーズンを通じて、運から見放されていると感じた。少しでも運があれば、違った結果になっていた試合は数多くあったからね。俺たちは間違いなく毎試合全力で戦ったよ。どんな状況でも、どの監督の下でも、ベストを尽くした。ただ、思うように結果がついてこなかったんだ。相次ぐ監督交代は、チームを混乱に陥れる。
チームが低迷した原因はそこにあったと思う?
スネイデル 犬が自分の尻尾にかみつくようなものかな。イタリアでは物事がうまくいかないとすぐに監督交代に踏み切る風潮にある。確かに、監督が交代するとチーム内には衝撃が走り、選手は刺激を受けて、これがいい効果をもたらすこともある。だけど、その逆もあるんだ。監督が代わると大抵はすべてゼロからのやり直し。新監督が何を望んでいるのかを早急に理解し、新しい戦術、新しいシステムに選手が順応するのはとても大変な作業なんだよ。
今シーズンはあまりに変化が多すぎたんじゃない?
スネイデル 異例のシーズンだったと言えるよ。監督交代の流れは昨シーズン終了後のレオナルドの辞任から始まった。まさか、結果を残していたレオナルドが辞めるなんて想像もしていなかった。そして、(ジャン・ピエロ)ガスペリーニが新監督に招かれて俺たちは彼のサッカーを実践するために夏のキャンプをこなした。だけど、俺たちは序盤戦で結果を残すことができず彼は早々と解任されてしまったんだ。後任の(クラウディオ)ラニエリは俺たちにガスペリーニとは真逆のサッカーを要求した。正直、全く異なるサッカー哲学をシーズン途中に吸収するのに戸惑ったよ。いち早く戦術を浸透させなくてはいけないラニエリの苦労だって理解できるけどね。
それでも、ラニエリの下で勝ち続けた時期があった。あの時、監督交代は大成功だったと思ったんだけど……。
スネイデル 昨年末から年明けに掛けて、うまく機能しているかのように見えた。でもそれはあくまで一時的なものだったんだ。俺たちはコッパイタリアのナポリ戦で負けたのを境に、また勝てなくなってしまった。勝てない日々が続くと、自信も失われるものさ。自信を失うと勝てなくなる。完全に負のサイクルだったね。
親友のユウト・ナガトモについても聞かせてほしい。今シーズンは守備面でかなり批判されていたけど、君は彼のプレーをどう見ている?
スネイデルは自己犠牲をいとわない長友の献身性を高く評価している
スネイデル ユウトを批判する連中はサッカーを知らないんだと思う。サッカーを理解している人なら、誰よりもチームのためにプレーしているのがユウトだと分かるはずだけどね。
「高い位置でタメを作り、ナガトモの攻撃参加を促せるスネイデルがコンスタントにプレーしていたら、彼はもっと活躍できたはず」。これは日本のサッカーファンの意見だけど、どう思う?
スネイデル その見方は正しいと思う。俺がもっと試合に出ていれば、ユウトを効果的に使えたはずだ。ピッチ外で観戦している時、ユウトがいいタイミングでオーバーラップを仕掛けているのに、ただの“無駄走り”で終わってしまっているシーンが何度も見受けられたからね。
<インタビュー全文はワールドサッカーキング 2012.06.07(No.216)でチェック>
ワールドサッカーキング No.216
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