2012.04.10

「将来性も見込めば市場価値は跳ね上がる」英国記者の宮市亮“ガチンコ査定”

ワールドサッカーキング 2012.04.19(No.212)掲載]
 新天地ボルトンで地位を確立した宮市亮。ボルトンが残留を果たせるか否かとともに、現地ではシーズン後の宮市の去就にも注目が集まっている。現地記者デイヴィッド・マクドネル氏が宮市の可能性を語った。

Text by David McDONNELL, Translation by Masao KURIHARA

■ヴェンゲル監督も宮市を必要とするはず

 ここで宮市亮が置かれた状況を整理してみよう。今シーズン前半戦、アーセナルでは出場機会を得られなかった。ただ、宮市自身も、自分がいきなりアーセナルのトップチームに入って、レギュラーとして活躍するのは難しいことを理解できるだけの、現実的な考え方と謙虚さを持っている。だから、1月末に舞い込んだローン移籍の話を、「自らの価値を証明し、才能をアピールするのに理想的な機会だ」と受け止めたのだろう。

 マンチェスター・ユナイテッドのダニー・ウェルベックやトム・クレヴァリーを見ればいい。昨シーズン、今の宮市と同様に、サンダーランドやウィガンへのローン移籍を経験し、現在ではサー・アレックス・ファーガソン率いるトップチームに定着している。2人ともローン移籍前は、才能はあっても未熟だった。それが、より賢く、より経験のある選手に成長し、プレミアリーグ特有の当たりの激しさに耐えられるだけのパワーと自信を身につけて、ユナイテッドに戻った。

 昨夏にボルトンからチェルシーに戻ったスタリッジもまた似たようなケースで、宮市も同じような道をたどることができるはずだ。ボルトンでのパフォーマンスを見る限り、アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督が今夏に彼を呼び戻さないことは考えにくい。

 この2カ月間で宮市の評価は急上昇した。プレミアリーグの舞台でその実力を証明した今、宮市は「ヒヨっ子」ではない。加入直後にもかかわらず、ボルトンでチームトップクラスの働きを見せているのだから、今夏には当然ロンドンに戻り、アーセナルでレギュラー争いをすると見ていいだろう。

 同じくローン移籍でプレーしたフェイエノールトでの経験、そして今回のボルトンでの活躍を考慮すれば、宮市はアーセナルのようなビッグクラブでも主力としての地位を確立できるだけの能力を持ち、それをピッチ上で正しく発揮するための経験も積んだと言える。しかも、アーセナルの指揮官は、サイドの選手に対して積極的な仕掛けとスピードを求めるヴェンゲルだ。

 宮市と契約した際のヴェンゲル監督の言葉を思い出す。フランス人指揮官は「リョウがアーセナルに加わってくれたことを喜んでいる。彼はまだ粗削りだが、世界中の多くのクラブを魅了できる才能を持っている」と語っていたものだ。

 フェイエノールト時代には、その印象的なプレーからオランダのメディアに、ブラジルが生んだレジェンドの一人であるロナウジーニョを模して「リオジーニョ」と称された。他にも「日本のメッシ」と持ち上げる向きもあった。若い選手に対する無責任な称賛はあまり好きではないが、宮市のプレーをまだ数回しか見ていない私ですら、そのパフォーマンスに感銘を受けたのは事実である。

 瞬時に見せる才能のひらめきで試合を変えられる特異な能力を持つ宮市は“チームに勝利をもたらす男”である。それはボルトンでもアーセナルでも変わらないだろう。

■将来性も見込めば市場価値は跳ね上がる

 3月24日、ボルトンがブラックバーンを2ー1で破った試合でも、宮市はCKから最終的に決勝点となったデイヴィッド・ウィーターの2点目をアシストした。普通に考えれば、シーズン途中にやって来た10代の若者にCKのキッカーという重要な役割は任せないだろう。ところが、宮市はボルトンに入ってすぐにCKを蹴っている。これはチームメートが彼の才能を認め、敬意を示している証拠だと言える。

 セットプレーのキッカーとしての目立った貢献と、攻撃の場面でボールを持った時の巧みさ、相手に対する脅威などを考慮してーーさて、現在の宮市の市場価値はどれぐらいに見積るべきだろうか。

 これまで宮市の価値は220万ポンド(約2億8000万円)ほどと見なされていたが、その数字はもはや過去のものとなっている。現時点ではその2倍は確実、このペースで成長を続けていくという“将来性”も見込めば、その金額は更に跳ね上がる。

 ちなみに、彼をローンで迎え入れたボルトンは、間もなく5000万ポンド(約62億円)の“宮市効果”を手にすると思われる。つまり、プレミアリーグ残留がもたらす経済効果だ。

 残念ながら、ポルトガルのマーケティング会社『フットボール・ファイナンス』が発表した「世界で最も価値のある若手選手30人」のランキングに、宮市の名前はなかった。しかし、彼が現在のコンディションをキープし、相手DFを脅かす攻撃の核であり続けるとすれば、世界屈指の有望株としてランキングの上位に名を連ねたジャック・ウィルシャーやダニエル・ウェルベック、マリオ・バロテッリ、マリオ・ゲッツェ、ネイマールなどと並び称されるまでに、それほど長い時間を要すことはないだろう。彼は今、まさにブレイク中のタレントなのだ。来年のランキングには間違いなく名前が載るはずだ。

 最高峰のレベルで戦い、タイトル争いを演じることに慣れているアーセナルのようなビッグクラブから、順位表の反対側で厳しい残留争いに巻き込まれているボルトンのようなクラブへローン移籍することは、若手にとって“ハートの強さ”が試される。

 しかし、ボルトンでのプレーぶりから見るに、宮市は才能と勤勉さ、どこでも成功したいという強い思いのバランスがうまく取れている選手なのが分かる。あの年代の若手であれば、ボルトンでのプレーを“後退”と感じ、ローンで放出されることに不満を覚えてもおかしくはない。だが、宮市はそれをチャンスと受け止め、自らの努力でコイル監督とチームメートの信頼をつかみ、ボルトンでレギュラーの座を獲得してみせた。

 もちろん、まだ課題もある。守備については多少甘さが見られるし、積極的な上がりを見せた後、自らが空けたスペースを相手に突かれ、カウンターを許すシーンも珍しくない。それでもまだ19歳だ。宮市には時間がたっぷりある。非の打ちどころのない選手になれる可能性を秘めているのだ。

<全文は ワールドサッカーキング 2012.04.19(No.212)でお楽しみください>

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING @SoccerKingJP』の編集長に就任。
 

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