2015.08.18

サッカー業界が求めているのは「柔軟な考え方ができる人材」

サッカー総合情報サイト


写真:小林浩一 提供:サッカーキング・アカデミー

2014年に行われたブラジル・ワールドカップにおいて、グループリーグで1分2敗と1勝も挙げることができずに敗退した日本代表。再出発を誓って臨んだ今年1月のアジアカップでは、ベスト8で早々に姿を消し、先の東アジアカップでも最下位で同大会を終えた。また、2014年9月に行われたAFC U-16選手権タイ2014では、準々決勝で韓国代表に敗戦し、5大会ぶりにU-17ワールドカップへの出場権を逃す結果に。10月のAFC U-19選手権でも、世界への切符を勝ち取ることができなかった。

『若手の底上げ』や『育成』の必要性が叫ばれる中、浜田満氏もジュニアユース世代(U-12)の重要性を説く一人。株式会社Amazing Sports Lab Japanの代表取締役を務める浜田氏は、日本におけるバルセロナのファンクラブの代理窓口の開設をはじめ、キャンプやスクール、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジなどを開催。2004年に同社を設立して以降、海外と日本、双方のサッカーを見据えながら、ビジネスと育成の両面を成立させてきた。

そんな浜田氏が、これまで手がけてきた事業の考え方やノウハウを扱った「サッカービジネスプロフェッショナル養成講座」を実施。講座開設にあたり、自身も身を置くサッカー業界の現状と求められている人材について言及した。

<第1回>『自らたぐり寄せたバルサとの契約「20代で圧倒的な地位に立ちたかった」』
<第2回>『育成年代の改革こそが日本サッカー強化のカギ「U-12で勝てなければ世界とは戦えない」』


――浜田さんがサッカーを仕事にしようと思ったのはいつ頃でしょうか?

浜田満 南米から帰ってきてからですね。それまではベネズエラで会社を作ろうかなと思っていたんですが、南米で会社を立ち上げるのはちょっとリスクがありすぎて難しいなと。元々、自分の人生プランとしては、35歳までに会社を作ろうと思っていたんですけど、会社の民事再生があったから、たまたま早くなったという感じです。

――浜田さんは学生時代からやりたいことが明確だったと思うんですが、今、振り返ってやっておけばよかったと思うことはありますか?

浜田満 デザインの勉強ですかね。あとはWEBの知識です。プログラミングとか。弊社では年間かなりの回数、ポスターやフライヤーなどを作るのですが、最終的な責任者としてあがってきたデザインを僕がチェックするので、自分にセンスがなければクオリティーが低いまま世に出てしまう。会社としては、そのあたりのクオリティーを求めている部分がありますから、そういった勉強をもっとやっておけばよかったなと思いますね。

――サッカー業界は具体的なキャリアパスがわかりにくい業界だと思います。その点はいかがでしょうか?

浜田満 サッカーチームでは、ホテルを予約したり、遠征の手配といった旅行業的な仕事もありますし、マーケティング、広報、人事、営業など、実は普通の会社と一緒なんです。ただ、扱っている商品がサッカーというだけです。だから、特にこうじゃないといけないということはないと思います。例えば、僕の過去の例で言うと、語学だけやっていたわけではなくて、アルバイトで添乗員をやったこともあるし、通関士のテストを受けたこともある。その時に興味があると思ったことは、全てやりました。そして、全てのやってきたことが今の仕事にいきています。サッカー業界の仕事でなくても、興味を持って身につけたことは、なんでも役立つと思います。

――学生であれば勉強していることや興味ある分野、社会人なら職種や業種に置き換えられるということですね。「サッカー業界に入りたい」という人は、クラブチーム運営とか、編集者や記者になりたいという人が多い印象があります。

浜田満 それは表に出ているのが、そういう職種だからですよね。ただ、会社経営ができない人にクラブ経営はできません。クラブ経営は、「クラブチーム」という制限がある中でビジネスを作らなければいけないので、非常に難しいんですよ。だからそこに入りたいなら、やはり今の会社で求められ、頭角を現せるような人材になる必要があります。ただ、業界に入ること自体は簡単ですよ。人の入れ替わりも激しいですし、どこも人手不足ですから。

――サッカー業界で求められているのは、どのような人材なのでしょうか?

浜田満 育成分野で言うと、語学です。語学ができないと広がらないですから。先ほども言いましたが、キーマンは海外の指導者たち。その人たちとまともに会話ができないようでは、どうしようもないと思います。また、育成ではなく業界全体の話で言うと、プロデュース能力が重要になります。一番はフレキシブルで頭が柔らかい人がいいですね。

――スペシャリストよりゼネラリストの方がいいですか?

浜田満 ゼネラリストであり、スペシャリストがいいです(笑)。やはり、柔軟性ですよ。例えば、海外と接することが多いうちの会社では、スタッフは12時までに会社に来ることというルールがあります。でも、一般的には「会社は9時、10時から始まるもの」というのは概念があります。でも、それは固定観念ですよね。別に会社に行かなくても、最適な仕事ができればいいんです。以前、弊社主催のキャンプで、グランドは借りられたけど、子どもたちの休憩場所になる会議室が空いていないということがありました。それなら、空いている3時間を散歩にして、散歩がてら近くのレストランに連れて行って昼ごはんの時間にすればいい。「休憩場所は会議室」という思い込みがあるから、それを外れてしまうと思考が固まってしまうんです。「会議室がないなら、会議室の替わりになるレストランでいいじゃん」という発想できるかどうか。ちょっとした機転が利く人がいいですね。

――海外は「会社に就く」というより「職に就く」という感じだと思います。ただ、日本は、様々なことをできないと厳しいような気がします。

浜田満 特にサッカー業界はそうですね。例えば、インタビューする記者の人でも、写真を撮ったりするじゃないですか。うちのスタッフもキャンプに行ってカメラマンをやるんですけど、「写真のクオリティーが低い」と僕が言うと、「私はカメラマンではありません」と言いつつ、写真の撮り方を少し勉強してきたりします。撮り方が悪いと言われたら、どういう風に撮ればいいかを考えればいい。1、2時間調べたら、ある程度のことはできるはずですし、それができるかできないかって大きいと思います。

――講義を通しての目標や来てくれる方へのメッセージはありますか?

浜田満 本気でやればサッカー業界に入ることはできます。本当にそう思います。ただ、「私はこの仕事しかやらない」とか、「こうじゃないと嫌だ」という人だと難しいかなと。結局、「好きこそものの上手なれ」で、できるようになるんですよ。「できない」から、「できる」ようになるための素養が必要なだけ。そのためにも、柔らかい頭を持っていることが重要になってくると思います。

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