ユルゲン・クロップ監督突然の辞任という激震から4ヵ月、日本代表MF香川真司が所属するドルトムントはトーマス・トゥヘル新監督の下、ついに新たなスタートを切る。
しかし、カルト的な人気を誇ったクロップですら就任1年目は6位、2年目に5位、3年目でようやくリーグ制覇に到達した。そのため、それを間近で見ていたハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOも、今シーズンいきなり優勝を手にしたいなどとは思っておらず、実際今オフに同CEOは「優勝は90%以上の確率でバイエルン。現時点で彼らを追うことができるのは、資金力に恵まれたヴォルフスブルクだけだ」という旨の発言をしている。数年後の戴冠に向けた土台作りとして、この1年を活用したい考えを持っているのだろう。
とは言え、常に結果を求められるのがプロの世界であり、上層部から時間を与えられているからといってそれに甘んじてはいけないことなど、トゥヘルも十分理解している。そこで同監督は、一昨年あたり前から前任者クロップがDF先発メンバーを時折入れ替えていた一方、このプレシーズン中における最終ラインの陣容をほぼ固定。中央のポジションにはドイツ代表DFマッツ・フンメルスとギリシャ代表DFソクラティス・パパスタソプーロスのコンビを用い、そして負傷やコンディション不良のため昨季出番が減少傾向にあったポーランド代表DFルーカス・ピシュチェクやドイツ代表DFマルセル・シュメンツァーなど、2010-12年の2連覇を知る経験豊かな選手をサイドに配置し続け、まずはディフェンスの安定という“保険”をかけている。よって、フライブルクからの新加入GKロマン・ビュルキの融合という点だけで、今夏における守備の変化はほぼ終わったと見ていい。