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【インタビュー】安田理大「いろいろな人から愛されるサッカー選手になれたらいいな」

2012.03.13

オランダのフィテッセに所属する安田理大が、幼少時代の忘れられない思い出や、異国の地で身を持って感じたことを明かす、サッカーファン必見のスペシャルインタビュー。
安田

写真=千葉 格

オランダでは“助っ人”として見られる
自分が引っ張っていかないといけない

――海外でプレーするようになってから、自分の成長を感じるのはどういう部分ですか?

「僕は24歳になって、フィテッセの中では上から数えたほうが早い年齢なんですね。ガンバ大阪の時にAFCチャンピオンズリーグにも出たので、通算150試合以上は出ているんです。だから経験のある選手、助っ人っていう感じで見られるので、それなりのプレーをしないといけない。ガンバの時は周りにすごい選手がいて、あわせてもらっている感じやったけど、今は自分が引っ張っていかないといけないですし、人間的にも成長したんかなって思います。プレー面でも、周りを見ながらプレーできるようになったかなと感じます」

――海外に出たいという強い動機は以前からあったんですか?

「小学校4年生ぐらいの時から、海外に行きたいという気持ちがすごく強かったし、ずっと各年代の代表チームに入っていたのも大きいですね。海外のチームと試合をする機会も多かったし、そうした経験を積む中で海外に挑戦したいっていう気持ちが高まっていったのは確かですね。ワールドカップとかで各国の代表チームを見ても欧州でプレーしている選手は多いし、サッカーは欧州を中心に回っているから、おれもヨーロッパに行かなあかんなって思ってましたね」

――欧州サッカーは昔からよく見ていたんですか?

「見ているのはバルサ、レアル、アーセナルとか有名なチームばっかりですけど、他の選手よりかは見ているかなと思います」

――ガンバ大阪から移籍する時は、熱烈なオファーがあったという感じではなかったですよね。

「日本代表に入っていなかったので、フィテッセからも『めっちゃ欲しい』という感じではなかったですね。でもチャンスがあれば行きたいと思っていたし、チームに所属して、いいプレーをすれば加入までの経緯は関係ないと思っていました。自分の中では、オファーに関しては気にしてなかったです」

遊びのゲームでも本気になるメンタリティ
それが試合でゴール前の局面とかで出る

――スタメン争い、サッカースタイルなどが日本とは違う中で、どんな気持ちで日々チャレンジしているんですか?

「ガンバにいる時から、実際に自分はそんなにうまくなかったし、毎日の練習でもミスしてばっかりだった。ボール回しをしていても、すぐにボールを取られちゃって(オニ役で)中に入ることが多かったし。でも、ガンバのときから練習は常に全力でやってました。こっちの選手は自分にすごく自信を持ってる。誰から何を言われても気にしない。どっしりとして肝っ玉がすわっているんですよね」

――プレーとメンタルの両方でいろいろなことを吸収しているんですね。

「日本にいる時と全然違うんですよね。例えばミニゲームの激しさや、遊びのゲームでも本気になるところとかは、日本にはないものです。そういうメンタリティは、こっちに来て学ぶことが多い。ウォーミングアップからポゼッションの練習とかになった時の気持ちの温度の切り替えが違う。そういう部分が、試合でボールを取りに行く時とか、ゴール前での局面に出るのかなって思いますね」

安田
理想の選手像について安田は「いろいろな人から愛される、下手やけど応援される選手、そういう感じになりたい」と語った

――海外から見て、日本サッカーの特徴は?

「特にガンバにいたからかもしれないけど、サッカーがきれいですよね。みんながしっかりポジショニングをして、しっかりとチームのために動くっていうのは特徴やと思うし、それができるのが日本人の良さだと思う。逆に、オランダは一人ひとりのプレーが多いから、それは違うと思います。どっちがいいかは分からないけれど、どっちもいい面があると思う。チームのために動けたり、監督の言うことをきちんと守ってプレーをするっていうのは日本人のいいところ。あとは日本人は器用だなって思います。僕も日本にいる時は、両足で蹴れることが特にすごいことだとは思っていなかった。みんなできることだし。でも、オランダでは僕は『どっちが利き足か分からない』って言われるほどなんです。実際にポジションも左右のDFをしたり、ボランチで出ることもあるし、左ウイングもやったし。練習で右ウイングでもプレーすると、みんなに『お前はすごいな』とか『スーパーマン』って言われるんですよ(笑)。そこで器用貧乏にならないようにやっていきたいですね」

――では、安田選手にとって理想の選手像とは?

「難しいけど、おれは、いい人間がいいサッカーをすると思ってる。いろいろな人から愛されるサッカー選手になれたらいいなって思いますね。なんか応援したくなるっていうのかな。下手やけど応援したくなる選手っているじゃないですか。そういう感じになりたいですね。阪神タイガースでいえば、昔の亀山(努)みたいな感じです(笑)。究極はゴンさん(中山雅史)です。ああいう選手は好きですね」

安田理大(やすだ・みちひろ)    1987年12月20日生まれ。大阪府出身。ガンバ大阪のジュニア、ジュニアユース、ユースを経て、2006年からトップチームでプレー。2007年にはナビスコカップ初優勝に貢献し、ニューヒーロー賞とMVPに輝いた。日本代表でも2008年2月の東アジア選手権、北朝鮮戦で初出場を果たす。2011年は1月にオランダのフィテッセに完全移籍し、その活躍により日本代表にも再び招集された。ドリブルを得意とし、アグレッシブなプレーが持ち味で、左右両方のサイドバックをはじめ、ボランチやサイドのMFでもプレーする。

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