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【インタビュー】セバスティアン・ジョヴィンコ「パルマで手に入れた幸福」

2012.01.07

ワールドサッカーキング 2012.01.19(No.204)掲載]
ユヴェントス時代のセバスティアン・ジョビンコは、将来を嘱望されながらも常時出場することを許されなかった。そして2010年、パルマへのローン移籍を経て、彼は別人のように活躍を始める。何がこの英才を覚醒させたのか。物静かな青年が自身の劇的な変化について口を開いた。
ジョヴィンコ

インタビュー・文=アダルベルト・シェンマ 協力=アルベルト・ルゴロット 翻訳・構成=高山 港

 パルマに来て1年数カ月で、彼の身長は2センチ伸びた。それでも現在の身長は164センチ。セバスティアン・ジョヴィンコは、昨シーズンまでセリエAで最も背の低い選手と呼ばれていた。だが「セリエA最小の選手」という肩書きを、ジョヴィンコ自身は何とも思っていなかったはずだ。身長の低さをハンディキャップとは捉えず、ドリブルの際にはむしろ長所であるとさえ、彼は考えているかもしれない。見る者にそう感じさせるほど、ジョヴィンコの動きは俊敏で、躍動感に満ち溢れている。

 今シーズン、彼はパルマの中心的存在になっただけでなく、チェーザレ・プランデッリ監督率いるイタリア代表でも確かな存在感を示した。今のジョヴィンコは、保有権をユヴェントスと分け合うパルマで、そして、ユーロを半年後に控えるイタリア代表で、確固たる足跡を残そうとしている。

 アグレッシブなピッチ上での振る舞いとは打って変わって、私服に着替えた彼は一見、地味で物静かな青年だ。日頃から饒舌というには程遠く、インタビューを受けるのは苦手だと公言する。今回の取材も、当初は本人から断りの連絡があったものの、フランコ・コロンバ監督の協力によって実現したものだ。世界の注目を集める自身のプレーについて、この控え目な青年がどのように語るのか、注目してみよう。

僕は今のセカンドアタッカーという役割をとても気に入っている。

君がパルマにやって来た時、周囲は懐疑的な視線を向けていた。ユヴェントスがパルマに共同保有権を渡したことに、君自身もショックを受けていたように見えた。でも今の君はあの時とは全くの別人だ。どうしてポジティブな気持ちを持てるようになったのかな?

ジョヴィンコ 誰だって良い仕事をするにはモチベーションが必要なんだ。それはファンやチームメート、あるいは街への愛着かもしれない。僕の場合、周囲の信頼が気持ちを切り替えるきっかけになったと思っている。確かに君の言う通り、パルマに来た時、周囲の目は冷たかったよ。だから、必ず見返してやるんだって強く思った。その気持ちがあったからこそ僕は良いパフォーマンスを見せることができた。そして徐々にチームやファンが信頼してくれるようになった。こういう好循環が生まれて、何の問題もなく快適にプレーできるようになったんだ。

コロンバ
昨シーズン終盤にパルマに就任したコロンバ監督は、的確な采配でチームをセリエA残留に導いた

コロンバ監督は、君を中盤のトップ下からセカンドアタッカーにコンバートしたよね。これは君のプレーにどんな影響を及ぼした?

ジョヴィンコ コンバートは成功だったと思うよ。今の仕事はラストパスを送ることだけじゃない。FWとしてゴールを決めることが僕の重要な仕事になった。自由に動くことを認められているから、好きな時に相手ゴールに近づくことができる。当然、ゴールチャンスが増えて、理想的なプレーができるようになるんだ。僕は今のセカンドアタッカーという役割をとても気に入っている。今後もずっとこのポジションでやっていきたいね。

君はパルマにおいて正真正銘の“10番”になった。過去、パルマで10番を背負った選手と言えばまず、ジャンフランコ・ゾラが思い浮かぶ。ゾラの身長は168センチだ。君自身、ゾラのプレースタイルを意識することはある?

ジョヴィンコ 僕はそんなに図々しくないよ(笑)。ゾラは数多くのトロフィーを手にして歴史を作ったカンピオーネ(偉大な選手)だ。一方の僕はまだ何も手にしていない。イタリア代表でも主役を務めていたゾラと違って、僕は代表に招集されたばかり。ゾラとの比較にはまだ無理がある。もちろん、僕だってゾラのように歴史に名を刻みたいと思っているし、それが可能だと信じているんだけどね。

<続きはワールドサッカーキング 2012.01.19(No.204)でお楽しみください>

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