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バルセロナの強さの秘密を解き明かす超戦術論 第1回「深みを取るポゼッション」

2011.12.09
 ペップ・グアルディオラ率いるバルセロナの戦術については、すでに語り尽くされた感がある。 しかし、本当にそうだろうか? 「ポゼッション重視」、「流動的にポジションを入れ替える」、「ショートパスをつなぐ」、「人もボールも動く」は、ペップ・バルサの戦術を表面上でとらえ 分かりやすく説明するためのキャッチコピーに過ぎない。練習や試合で見られる特徴的な動きから ペップ・バルサの“真の戦術”を読み解くことで、新しいバルサのスタイルが見えてくる。

 
 バルサのボールポゼッションは「ボールを持つ」ためのポゼッション、ポゼッションのためのポゼッションではない。かと言って、直線的にゴールや縦を狙っていくようなポゼッションでもない。ローリズムで遅攻型のポゼッション。 その最大の目的は「深みを取る」ことだ。
 
 日本ではあまり耳にしない言葉であるが、スペインのサッカー現場においては“プロフンディダ”(深み)を取れたかどうかがよく話に出る。日本でよく用いられる表現としては「押し込む」ことであり、ポゼッションが相手を押し込むものとなっている時には、ポゼッションが相手に与える脅威が最大限に出ていることとなる。
 
 バルサのポゼッションは、意図的に狙ったものかどうかは別にして、結果としてこの“深み”を取るものとなっている。だからこそ、ボールロストをしてもすぐに前向きで奪い返すことが?きるのだ。彼らにとってのポゼッションは「高い位置で、前向きにボールを奪い返す」ための方法であり、ある意味、「いいボールの失い方をするための攻撃」とも言える。


 
 バルサのポゼッションにおいては、アタッキ ングサードまでボールを保持しながら確実に前進し、ショートパスを多用しながら選手間の距離を縮めてポジションバランスを保つ。逆に言うと、アタッキングサードに至るまではリスキーなパスは出さない。サイドチェンジ以外にロングボールを使わないのも、ボールロストの確率が高いプレーを嫌うためだ。
 
 ただし、アタッキングサード以降は積極的に相手DFラインの裏、つまりは“深み”を取りにいく。その段階ではリスキーなパスを狙うものの、パスは強く、速く、前向きで、選手間の距離や人数も整っているので、ボールロストしても相手の体の向きや動作ベクトルが後ろ向きになっている。
 
 そのため、相手にボールが渡っても、 主導権(イニシアチブ)はバルサが保持し続けた状態であり、「即座に」、「前向きで」奪い返せる可能性が高い。攻守の切り替えを評価する声も多いが、メカニズムとしてはポゼッションの質の高さが「ボールは渡しても主導権は渡さない」状況を担保しているのだ。
 
 また、育成年代から「パスミスになっても相手がコントロールできないくらい速いパスを出せ」と指導されているバルサの選手のボールフィーリングは、他の追随を許さない。特に、アタ ッキングサード以降に深みを取るために狙っていくチャレンジパスをうまくコントロールする、 あるいは攻撃につなげることのできるチームというのはほとんどない。
 

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