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海外挑戦2年目を終えたケルン長澤が今季を総括「50点以下。代表の前にまずはクラブで活躍しないと」

2015.07.15


インタビュー=安田勇斗 写真=山口剛生/Agence SHOT

 2013年12月、大学サッカーから海外挑戦を選んだ長澤和輝はケルンでの2年目を終えた。「(今シーズンは)50点以下」とケガに泣いたシーズンだったが、上昇の兆しも見せている。その長澤が先日、自身のTwitterを通じたファンとのQ&A企画を実施。所属するケルンでも公式日本語版ツイッター(@fckoeln_jp)が始まるなど、海外クラブや選手は昨今、ソーシャルメディアを活用した海外進出にも力を入れている。長澤自身はTwitterをどう活用しているのか、今シーズンの振り返りとともに聞いた。

Twitterからの声援が力になる

――今回、Twitter上で「#ケルン長澤質問」に寄せられる質問に答えていくというファンとのQ&A企画をやってみていかがでしたか?
長澤 動画で回答できる形式でしたので、考えて回答を記入するわけではない分、すぐに答えを発信するという難しさはありました。

――長澤選手は普段からTwitterを活用されていますね。
長澤 はい。普段の生活の中でいろいろなものを見て、何か気になったことがあったら書きこんでいます。

――Twitterは2013年2月に登録されています。最初に始めたのはこの時ですか?
長澤 実はそれより以前からやっていたのですが、2年ぐらい前に新しくしたんです。プロになって、大学時代のままではいけないかなって。以前はふざけすぎてしまっていた部分もあったので(苦笑)。

――最初に始めたのはいつ頃なんですか?
長澤 確か2011年からで、大学2年生の頃ですね。同じ大学の友人がみんなTwitterを始めていたので僕もやろうかなという気持ちで始めました。

――Twitterはどんなところが魅力だと思いますか?
長澤 仲の良い友達が何をしているのかなどがリアルタイムで見られて、そのTwitter上でコミュニケーションを取れるのは楽しいなって思います。それに今ではファンの方ともコミュニケーションできるのがうれしいですね。ドイツに行ってからは日本のファンの方と接する機会はあまりないので。

――タイムラインを見ているとよくいろんな方と会話をされていますが、友人に対してのものが多いんですか?
長澤 いえ、質問してくださったファンの方などにも返信していますよ。

――今回ファンの方とのQ&A企画をされましたが、今後Twitterを活用してどんなことをしてみたいですか?
長澤 ドイツに行って感じたのですが、ケルンのファンの方は本当にたくさんいて、スタジアムに駆けつけてくれたり、街で会うこともあったりしてすごく力になっています。僕は日本人ですが、ファンからの声は手紙やTwitterがメインなので、素直に声援やコメントを送ってもらえるのは本当にうれしいです。なので今後も問いかけてきてもらいたいですし、こちらもそれに応えていきたいですね。

――日本のファンの方を現地で見かける機会はあまりないんですか?
長澤 試合にも来てくれていますし、練習場でもたまに見ますよ。ケルンには大迫(勇也)君もいますし、そっちのファンの方が多いと思いますけど(笑)。

今シーズンの自己評価は50点以下

――その大迫選手とともに戦うケルンでの2シーズンを振り返ってみていかがでしょうか?
長澤 日本とは全く違う世界ですよね。コミュニケーションもそうですし、サッカーの考え方も違う部分があるし、その中でいい経験ができているという思いはあります。ただし、自分の中ではまだまだ満足していません。試合に出場できていない期間がすごく長いですし、試合でももっと自分のパフォーマンスを発揮したいです。

――Twitterの回答で、「100点とは言えない」とおっしゃっていた自己評価ですが、具体的には何点くらいですか?
長澤 今シーズンに関して言えば本当に低いですね。50点もいかないくらいです。

――それはなぜでしょうか?
長澤 左ひざの靭帯断裂で3~4カ月プレーできない期間がありましたし、復帰後もウイルス感染症で離脱したり、出場は10試合だけで、結局シーズンの半分はプレーできていないので。だからチームに貢献できたと感じているのはシーズンを通して最後の数試合だけです。なので、点数で言ったら本当に低いですね。

――大きなケガは初めての経験ではないでしょうか?
長澤 1カ月以上休む経験は人生で初めてでしたね。これまでそういうことがなかった分、ケガをした時は「こんなに簡単にケガをしちゃうんだ」っていう気持ちでした。

――練習試合でケガをしてしまったんですよね。
長澤 そうです。右足の外側にボールを置いてキープしようとしてたら相手が横からプレスに来て相手のひざが自分の左ひざに入ってしまいました。それでスパイクが芝に引っかかってひざの内側がぐいっと曲がってしまったんです。そんなにラフなタックルは今までほとんど受けたことがありませんでしたし、オフシーズン明けの最初のキャンプ時でしたから、正直、「そんなにキツく来るのかよ」って思いましたね(苦笑)。

――いきなり激しく来られてしまったんですね。
長澤 地域リーグで戦っているチームだったんですけど、僕たちはオフ明けでこれからしっかりとコンディションを上げていこうというタイミングでしたから厳しかったですね。

――その瞬間は、自分では「やってしまった」という感覚はあったんですか?
長澤 いや、「思いっきりひざを当てられたな」ってぐらいで正直わからなかったんです。でも立ちあがってプレーしようとしたら、ひざの内側の支えがないような感覚で、「これはちょっとプレーできないな」と。

――先ほど、「こんなに簡単にケガをするのか」とおっしゃいましたが、全治3カ月と言われた時はどんな気持ちでしたか?
長澤 すごくショックでしたね。でもチームメートがみんな声をかけてくれて、ハイタッチとかボディタッチとか、日本とは違った慰め方をしてくれました。仲間の気持ちが伝わってきて、それはある意味でうれしかったですね。

――その苦しい期間は、チームメート以外の支えもあったのでしょうか?
長澤 ありました。周囲に日本人が少ない環境ですけど、ケルンにある日本食レストランのオーナーの方から連絡をいただきました。ご飯は作れないし、片足でしか歩けないという中で、「じゃあ、うちの母親を行かせるよ」って言ってくれて、80歳くらいのおばあさんがうちに来て助けてくれたんです(笑)。もちろん、チーム内でもいろいろと助けてもらいましたけど、そういうプライベートな部分での支えは大きかったですね。

――ケガから復帰後のコンディションはいかがですか?
長澤 今はまだまだだと感じていますね。大学でずっとやってきて、プロになってから最初は出れなかったんですけど、その後10試合くらい連続で出場してからはコンディションがどんどん上がっていきました。試合中も「走れるな」という感覚があったんです。でもケガしてからはその感覚が全然なくなってしまいました。シーズン終盤は試合にも少しずつ出られるようになって、「体はキツいけどこれから上げていけそうだな」ってところで終わってしまいました。(ペーター)シュテーガー監督も、「カズキはまだ全然100パーセントじゃない」って言っていると思いますけど、これからもっと上げていきたいと思います。

日本代表を意識するのは試合で活躍してから

――日本代表は意識していますか?
長澤 もちろん意識したいところですけど、まだチームで試合に出られていない現状があるので、日本代表を語る前に、自分が試合にしっかりと出て、活躍して、そこで初めて意識したいと思っています。

――現在の夢や目標は何でしょうか?
長澤 僕は一歩ずつ進んでいくタイプなんですが、まず目の前にあるコンディションをしっかりと整えるところからやっていき、シーズンが明けてからはチームで確実に試合に出場し、活躍して、定位置をつかみ取りたいです。まずは試合に出ることが必要ですし、そういった目の前にあることからやっていって次につなげたいと思います。

――ちなみに、ドイツ語は上達しましたか?
長澤 まだまだですね。チーム内では英語での会話の方が通じるんですけど、英語も週一で語学学校に通っていて、それに加えて個人レッスンも受けています。元々アメリカに住んでいたので、英語の方が得意なんです。

――ミーティングなど監督の話は大半を理解できるんですか?
長澤 チームメートに教えてもらいながらですけど、だいぶ理解できるようになりましたね。それほど難しいことを言っているわけではないですから。ただ、以前は通訳がいたのですが、これからは通訳なしになるので、もっと語学力を上げないといけないなと思います。

――大迫選手は語学堪能なんですか?
長澤 大迫君はあんまり自分から話すタイプじゃないですから、これからだと思います。僕自身も、ある意味で最初はいじられたりしながら一緒に騒いで仲良くなって、それでチームメートとご飯に行ったりするようになりました。

――チームメートとの関係もそうですし、今はより良い環境でできているようですね。
長澤 ケルンはドイツの中でも大きい方の街なんですけど、ちゃんと自然が保護されている区域があって、そこにスタジアムがあったりして、サッカーをするには最高の環境だと思います。クラブハウスの建物自体は古いですけどピッチが7面もありますし、目の前は湖が広がっていて森に囲まれています。練習後のランニングにも適していますし、静かだし、ドイツの中でもいい環境だと思いますね。街もキレイだし、すごくいい場所ですよ。

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●ケルンの長澤が高校、大学時代を回顧「プロを初めて意識したのは大学2年生の時」

長澤 和輝(ながさわ・かずき)
1991年12月16日生まれ、千葉県出身。
八千代高校時代に全国選手権で大会優秀選手に選ばれるなど育成年代から頭角を現し、専修大学進学後は1年からレギュラーに定着した万能型MF。2013年3月には横浜F・マリノスに特別指定選手として加わり、4月のナビスコカップでJリーグデビューを果たした。13年のユニバーシアード日本代表にも選ばれ、銅メダル獲得に貢献した。同年12月にブンデスリーガ2部のケルンへ加入し、チームの1部昇格に貢献した。Twitterアカウントは@nagasaman1216

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