2011.11.20

初優勝に王手をかけた柏を導く、ネルシーニョ監督のチームマネジメント


[写真]=野口岳彦

 J1で首位を走る柏が20日の清水とのアウェー戦に勝利し、ついに初優勝へ王手をかけた。残り2試合で2位名古屋との勝ち点差は3。2試合で勝ち点4を積めば、他チームの結果にかかわらず戴冠となる。

 
 今季J2から昇格したばかりで、優勝はおろか優勝争いの経験すらない若い選手の多いチームだが、プレッシャーのかかる中で堂々としたプレーを続けている。清水戦も前半にセットプレーで失点する嫌な流れとなったものの、ハーフタイムを挟んで完璧に修正し、見事に逆転勝ちを収めた。こうした状況下での逆転勝利に、ベテランの北嶋秀朗も「チームとしての力を感じる」と充実した表情を覗かせる。
  
 この快進撃の要因はどこにあるのか。選手たちの口から出てくるのは、指揮官ネルシーニョへの絶対的な信頼だ。ボランチとしてゲームをコントロールしている栗澤僚一は、ネルシーニョ監督の手腕について次のように語る。
 
「監督は普段のトレーニングから、プレッシャーのかかる試合でも乗り越えられるように意識付けしてくれています。それはJ2の頃からずっとやってきたことです。具体的に言うと、一人ひとりに責任感を与えているのです。ピッチの中での個々の役割をすごくはっきりさせているから、試合に出た選手たちは迷わずにプレーができる。迷わずにプレーをすれば結果が出て、結果が出れば自信につながる。すごくいいサイクルが生まれていると思いますね」
 
 ネルシーニョ監督は清水戦で、前半の修正をすべくハーフタイムに北嶋と栗澤の2人を下げている。チームの精神的支柱でもあるベテランの北嶋を45分であっさりと下げるのは、ともすればドラスティックな采配に映る。しかしそれでチームが崩れることはない。レアンドロ・ドミンゲスの決勝点が決まったとき、控え選手、スタッフがピッチに飛び出して喜びを爆発させた様からは、チームとしての一体感が伝わってくる。
 
 栗澤は続ける。
 
「勝っているチームは11人を固定しがちだけど、ウチのチームにはそれがない。ものすごく平等です。監督だけじゃなくて、スタッフ全員で、普段の練習から選手たちのことをよく見てくれているのを感じます。それが、チーム全体の力になっていると思いますね。こんなに一つになっているチームは、僕自身今まで経験したことがありません。この団結力で、どんな困難にも逆境にも立ち向かえているんだと思います」
 
 五輪代表に招集されている酒井宏樹に代わり、普段のセンターバックではなく右サイドバックで先発した増嶋竜也も、苦笑しながらこう語る。
 
「優勝争いのプレッシャー? ポジション争いが激しすぎて、そんな余裕はないですよ。普段の練習でも出来が悪いとすぐ外されますからね」
 
 ネルシーニョ監督は、「レギュラーは11人ではない。それはウチの選手たちもよくわかっています。今のレイソルの中で、自分がどれだけ戦えるのかというのを証明するために、選手たちは日々の練習から懸命に取り組んでくれている」と言い切る。
 
 選手たちは「王手とかどうとかではなくて、今までと同じように、1試合1試合勝利のためにしっかり準備していくだけです。そうすれば、結果はついてくる」と口をそろえる。勝者のメンタリティを醸成する意識改革と、モチベーションのマネジメント。経験豊富な白髪の指揮官に率いられた柏の選手たちに、初優勝への気負いはない。

【関連記事・リンク】
◇“エース”レアンドロ・ドミンゲスの劇的逆転弾で初優勝に王手
柏がレアンドロ・ドミンゲスの逆転弾で首位キープ/J1第32節

◇J1第32節清水戦後の監督・選手コメント
柏・ネルシーニョ監督「自分たちの仕事をこなせば優勝できる」/J1第32節
逆転弾の柏・レアンドロ・ドミンゲス「この勝ち方は力がある証拠」/J1第32節
柏・北嶋「あと4ポイント取れば優勝。すべては自分たち次第」/J1第32節
柏・工藤「本当に今は負ける気がしない」/J1第32節
柏・増嶋「試合後、酒井から『ナイス』ってメールが来ていた」/J1第32節
柏・澤「後半に自分たちのペースに持ち込むことができている」/J1第32節

◇J1、J2ともにいよいよ佳境! 
【祝J2優勝】優勝決定を受けて、11/20練習後の大熊清監督コメント
優勝・残留争いが白熱のJリーグ!最新情報をチェックしよう!