2011.11.20

東京にJ1クラブが戻る2012年、『強くなってJ1に』がFC東京の合い言葉だった


サポーターとともに「J1復帰」を祝うFC東京のメンバー [写真]=山口剛生

 11月19日、FC東京が鳥取を5−1で下し、2節を残した状態で1年でのJ1復帰を決めた。そして翌20日、サガン鳥栖がギラヴァンツ北九州に敗れたことで、FC東京のJ2優勝が決定した。

 2節を残した状態での優勝。とはいえ、“余裕の昇格”ではなかった。日本代表クラスを複数抱え、J2では図抜けた選手層を誇るタレント軍団も、とりわけシーズン序盤は苦しんだ。4月に平山相太が、5月には米本拓司が負傷で戦線離脱。11位まで順位を落とす時期もあった。

 その後、選手だけのミーティングが定期的に開催された。「自分たちでサッカーについて真剣に考え、ピッチの中でも話をする機会がすごく増えたのは、J2で得たプラス材料」だと徳永悠平は語る。

 大熊清が言うように「昇格して当たり前」と言われるプレッシャーの中、チームは一丸となってJ1への返り咲きを目指した。

 キャプテン今野泰幸が話すとおり、「ホッとした」という気持ちが偽らざる本音だろう。そして、同じく今野の言葉にあるとおり、FC東京は来季、今年1年チームを支え続けてくれたサポーターに対して「成長した姿」を示さなければならない。

 東京スカイツリーが竣工される2012年、首都・東京にJ1クラブが帰ってくる。J1復帰の喜びと、J1返り咲きへの決意。各々の思いが込められたメンバーの言葉を振り返ってみよう。

大熊清監督
「周りから『昇格して当たり前』と思われ、相手チームがすべて天皇杯のような一戦必勝の意気込みで臨んでくる厳しいリーグ戦でしたが、いろいろな声がある中で目標だったJ1昇格を達成できて良かったです。ホッとしたというのが正直なところです」

「ただ、大切なのは、言葉だけでなく、本当に強くなっているか。J2で学んだことを選手個々がしっかりと手にしてJ1へ向かっていってもらいたい。チーム得点王が10ゴールという結果でJ1に昇格することは珍しいと思うが、全員サッカーでどこからでも点を決めるというチームカラーが出せた結果だとも思う」

「サポーターのみなさんにはアウェーでもホームのような雰囲気を作ってもらえた。ホームでの大声援はもちろん、遠くまで足を運んでもらって、言葉では言い表せないほど感謝しています」

ルーカス
「ホントにうれしい。日本に戻ってきたのは、FC東京をJ1に復帰させるためだったし、自分の中ではすごく大きなプレッシャーがあった。今はJ1昇格を率直に喜びたい。J1昇格を決めたら頭を丸めてヒゲを剃ろうと決めていたので、試合後にロベルト・セザーと飯野通訳に手伝ってもらって坊主頭にしました」

「どうしてそんなことをしたかって? そんなに大きな決意があったわけじゃなくて、伸ばしているとカッコ悪いので、早く昇格を決めて、自分の髪の毛とヒゲも早く奇麗にしたかっただけだよ(笑)」

羽生直剛
「J1昇格を決めるピッチに立っているという“奇跡”が起きましたね。いつも途中交代していたので。(梶山)陽平が足を痛めて交代するときに『ニュウさん、大丈夫?』って聞いてくれたんですけど、点差が開いていたので『大丈夫、大丈夫』って応えたんです。正直、ちょっとキツかったですけど(笑)」

「今日の試合前は、西京極でJ2に降格した試合のことを意識して、みんなにもちょっとだけ声を掛けました。去年は勝てば自力で残留できたのに、プレッシャーに負けて何もできなかった。だから『今日は自分たちの手で勝ち取ろう』と思っていたんです。みんなも思うところがあったのか、緊張していたのか、いつもより静かだったのは確かです」

「でも、試合に入ったらそうでもなかったですね。まずはJ1昇格を果たせてホッとしています。終わってみれば早かったけど、いろいろなことがありました。チームのみんなはとにかく話をするようになったのが大きな変化。試合ごとに何が良くて何が悪かったのかを整理していたし、そこは1年間で成長した部分だと思う。コミュニケーションを取ることで、試合中でもしっかりと修正できるようになったと思います」

「J2での結果や内容を受けて、J1で戦えるチームにするために、どうレベルアップするのかを、しっかりみんなで落ち着いて考えてやっていかなければいけないですね」

梶山陽平
「とりあえずJ1復帰が決まってうれしい気持ちはあるけど、正式にJ2優勝が確定できたときに初めて今年1年の目標が達成できたことになると思う。コンディション面を含めて、まずは残り2試合に向けてしっかり準備して、全力で戦いたい」

「チームとしては引いてくる相手に対しての戦い方が増えたし、J2に降格したことでいろいろなスタイルの相手と対戦できたことはメリットだったと思う。個人的にはしっかり守備で(相手を)潰してから、ボールをつないで前線へ飛び出すなど、自分の良さである運動量をコンスタントに出せるようになったとは思うけど、そこの質をさらに向上させて、もっと自分の平均値を高めていきたい」

「同年代の選手が日本代表や海外で活躍しているので、来シーズンはJ1で結果を出して日本代表に入ることを具体的な目標にしたい。(本田)圭佑や(香川)真司は海外へ移籍したことでうまくなっているけど、自分の中では『コイツより俺のほうができる』って感じている選手も少なくない。どの相手でも100パーセントの力を出して、チームも個人もJ1で結果を出したい」

徳永悠平
「早くJ1でやりたいと思った。正直、苦しかったんで、ホッとしています。やっぱりFC東京はJ1で戦うべきチームだと思う。昨シーズンは残留争いというプレッシャーを感じる中で結果を出すことができなかったから、今年はサッカーを楽しもうと思っていたし、実際に変なプレッシャーを感じることなく、しっかりと楽しんでプレーすることができた」

「チーム全体でもそういった部分で変わろうとしていて、自分たちでサッカーについて真剣に考え、ピッチの中でも話をする機会がすごく増えたのは、J2で得たプラス材料だったんじゃないかと思います。絶対に1年でJ1に戻ると誓っていたので、その使命を果たすことができて安心しています」

今野泰幸
「最低限の目標であるJ1昇格だったので、うれしいというより、正直ホッとしている感じです。去年、チームをJ2に落としてしまい、みなさんに本当に申し訳なく思っていた。今年は良いサッカーを見せて、J1に昇格することを目標にしているし、サポーターもたくさん足を運んでくれて、アウェーでもホームのような雰囲気を作ってくれた」

「FC東京のサポーターは最高です。J2にも良いチームがたくさんあったし、すごく苦しんだ1年でした。最初は結果が出ずに苦しみましたが、みんなで話し合いをして、一致団結できるようになったのが良かったんだと思います」

「『強くなってJ1に戻ろう』ということを合言葉にしていたので、(来季は)変わったところを見せたい。サポーターのみなさんに良いサッカーを見せたいです」

◇大量得点で勝利し、J1昇格が決定
・FC東京、大量5得点で鳥取を下しJ1昇格が決定/J2第36節

◇主力の戦線離脱も
・FC東京の米本がじん帯損傷で全治8カ月…今季絶望に
・J1復帰へ向けFC東京に暗雲…平山が右足骨折で最長半年間の離脱

◇終盤のクライマックス、Jリーグの情報は
・【J1第32節】絞られた優勝争い。浦和と甲府の残留争いの行方は?
・優勝・残留争いが白熱のJリーグ!最新情報をチェックしよう!

【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING(@SoccerKingJP)』の編集長に就任。『SOCCER GAME KING』ではCover&Cover Interviewページを担当。