2011.11.07

「2年目のモウリーニョ」の真骨頂、レアルはバルサを打ち破ることができるか


文/翻訳協力=ルイス・シエラ/オフィス・アドオン、協力=EIS

「キャリアの中で、就任2年目は常に最高の結果を残してきた」

 そう豪語するジョゼ・モウリーニョは、レアル・マドリードで2年目の今シーズン、その言葉どおり昨シーズン以上に完成度の高いサッカーを披露している。前線から最終ラインまでの守備意識が高まったことで、全体的がよりコンパクトになり、ボール奪取からカウンターに移るプレーの精度も向上。カカとゴンサロ・イグアインがトップフォームを取り戻したことも、好調の大きな要因と言えるだろう。

 ここまでのレアル・マドリードの戦いを通じて明らかになっているのは、宿敵バルセロナを倒すために、モウリーニョがバルサとは異なるスタイルを極めようとしていることだ。レアル・マドリードの基本的な戦術は、相手が引いていようがいまいが、「ボールを持ったら一気にゴール前まで攻め上がる」というもの。そして恐らく、この戦い方はおおむね間違っていない。現在のレアル・マドリードは、前線の個人技に大きく依存していた昨シーズンとは違い、相手の攻撃を早い時点で阻むための連動性と守備意識を有している。相手からいったんボールを奪えば、守備網が崩れたところを突いて電光石火のカウンターを仕掛け、スピーディーに得点を奪うという確固たるスタイルが確立されつつある。

 とはいえ、課題もある。それは自分たちの守備の連動性を上回るカウンター戦術を持つ相手と対戦した時だ。自陣深くまでボールを運ばれ、そこで何とかボールを奪って攻撃を組み立て直すことを強いられると、レアル・マドリードのリズムは途端に停滞してしまう。この課題をクリアすることが、自らを“スペシャル・ワン”と称するモウリーニョにとって最大のテーマと言えるかもしれない。

 だが、現在までのところ、モウリーニョが打つ解決策は、選手の組み合わせを入れ換える程度だ。確かに、例えばカカとメスト・エジルの併用は、両選手がそれぞれカウンター攻撃の際に力を発揮できる上、ピッチで2人そろった時にはパスワークの意識が増し、中盤での組み立ての精度が高まるし、右利きのカカ、左利きのエジルという組み合わせも、エジル、アンヘル・ディ・マリアとレフティー2人を並べた時に比べて攻撃の幅を広げることにつながっているが、基本的に速攻が主戦法であることは変わらない。

 一方で、2人の共存に伴う新布陣が基軸となりつつあることによって、限られたポジションを競うワールドクラスの選手にはさらなる奮起材料が与えられた。例えば、カカに先発の座を奪われた感が強いディ・マリアにしても、出場機会を与えられれば好パフォーマンスを披露し、アシストでもしっかりと結果を残している。

 相手が前掛かりになり、敵陣内にスペースが広がった際にはディ・マリアが投入され、持ち前のドリブル突破から高精度のクロスや最終ラインの裏を突くキラーパスを放ち、相手の息の根を止める役割を期待されている。また、開幕から重用されたカリム・ベンゼマが負傷によって戦列を離れたわずかな間に、レギュラーを奪われたかに見えたイグアインが驚異的なゴールラッシュを見せ、再びポジションを奪い返した。これに伴い、ベンゼマの再奮起が促されることは明らかで、世界有数のストライカー同士によるハイレベルな競争が相乗効果をもたらし、選手層はさらに厚みを増すことだろう。また、負傷で離脱していたヌリ・シャヒンが新天地でのデビューを果たし、今後は中盤に新たなオプションがもたらされるはずだ。

 競争によってチームを活性化させ、全体の戦力アップを図る。それはモウリーニョが十八番とするやり方だ。加えて、今のレアル・マドリードには、モウリーニョが得意とするショートカウンターに適したワールドクラスの選手がそろっている。

 だが、モウリーニョが“2年目の成功”を収める上で大きな障害があることも忘れてはならない。自身3度目のチャンピオンズリーグ制覇(2004年にポルト、2010年にインテルを率いて優勝)を果たすためにも、自身初のリーガ・エスパニョーラ優勝を成し遂げるためにも、モウリーニョは最強王者の呼び声高いバルサを打破しなければならない。

「我々は試合を重ねるごとにプレーの質を上げてきている。関心があるのは勝つことと、できるだけ良いプレーをすることだ」

 オサスナ戦でリーガ7連勝を飾ったレアル・マドリードの指揮官は力強くそう宣言した。時折、口にする「このチームを完成させるには3年が必要」というフレーズは彼一流のエクスキューズかもしれない。

「勝利へのプレッシャーは常に付きまとう。昨シーズンはコパ・デル・レイで優勝を達成したが、今シーズンはより多くのタイトルを目標としている。リーガとチャンピオンズリーグの優勝、それが最優先だ。マドリーの名誉のためにはこの2つのトロフィーは不可欠とさえ言える。優勝すると断言することはできないが、このクラブに成功をもたらすという使命を全うするために、私は全力を尽くしているんだ」

 第11節終えて、バルサに勝ち点3差を付けてリーガの首位に立つレアル・マドリード。2年目のモウリーニョが、その真価を発揮しようとしている。

◇C・ロナウドがゴールラッシュ
・C・ロナウドが今季4度目のハットトリック…レアルは7発大勝で首位キープ
・モウリーニョが欧州得点王のC・ロナウドを激励「次はバロンドール受賞を」

◇インテルでは就任2年目に3冠を取り退団
・偉業達成のモウリーニョがインテル退団を明言

◇チャンピオンズリーグは決勝トーナメント進出が決定
・敵地でのリヨン戦初勝利もモウリーニョ監督「普通のこと」

【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING(@SoccerKingJP)』の編集長に就任。『SOCCER GAME KING』ではCover&Cover Interviewページを担当。