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【独占インタビュー】松木安太郎(サッカー解説者)「一戦一戦を大事に戦っていく姿を見せてほしい」

2015.06.09

 6月16日にロシア・ワールドカップへ向けた戦いが早くも始まる。11日にはアジアのライバルの一つであるイラクとのW杯予選の前哨戦を控える日本代表。両試合はテレビ朝日で生放送される。“負けられない戦い”を前に同局のサッカー解説でお馴染みの松木安太郎さんに、試合の展望やテレビの解説業について聞いた。

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●インタビュー/小松春生、写真/瀬藤尚美

ハリルホジッチ監督は自分をしっかりアピールしている

――2018年のロシア・ワールドカップへ向けた予選がいよいよ始まります。日本代表はアジアカップ敗退後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督体制となりました。現在の日本代表の印象をお聞かせください。

松木安太郎(以下、松木) 今はまだ形がない、生まれたばかりの状態だと思います。もう少し公式戦を戦ってから、どういう選手を起用するのか、どういうシステムでどんな戦い方をするのかを見ていきたいです。新監督に対しては、選手選考を含めて期待していますね。

――チーム作りは、ゼロベースで始まっている印象ですか?

松木 ゼロベースに近い形で、ある程度のベースは頭の中にあるでしょうね。ロシアW杯を見据えた上で、メンバーをどういう形で組んでいくのかが楽しみです。

――ハリルホジッチ監督のここまでの仕事ぶりや印象はどう映りますか?

松木 今、ハリルホジッチ監督が新しいフレーズを掲げていますが、チーム作りは過去の監督とそんなに変わっていないと思います。ハリルホジッチ監督に限らず、過去の監督はみんな新しいチーム作りをやっていたと思うんですよね。それをクローズアップされているかどうかだと思います。取り組みや印象的なフレーズがたくさん表に出てくるということは、『今はチームを作っているんだよ』という雰囲気を周囲にしっかり見せるタイプの監督だと思います。

――アピールのうまさを感じますか?

松木 そうですね。アジアで初めて指揮を執るわけですから、初めての土地での自分をしっかりアピールしているということも含まれているでしょうね。

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W杯予選で楽なゲームは、一つもない

――ロシアW杯アジア2次予選の組み合わせはいかがですか?

松木 予選に入って楽なゲームというのは、一つもありません。とはいえ、どこのチームを見ても、苦しいゲームと言いながらも、負けることのないチームばかりだと思うので、日本のいいところを出して、戦ってほしいなと思います。

――どういったプレーを見たいですか?

松木 アグレッシブなプレーですね。ハリルホジッチ監督が就任してから速攻型の「速く、前へ」というフレーズをたくさん聞いていますから、すぐにそこへ到達するような、速いサッカーを見せてほしいです。あとは、新戦力がどのぐらい出てくるかが、この予選の一つポイントになるのかなと。

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武藤嘉紀は海外移籍でプレータイプも変わる

――4年後を見据えてというお話も出したが、宇佐美貴史、柴崎岳、武藤嘉紀といった20代前半の選手が日本代表の中軸になり始めています。特に、気になる選手はいますか?

松木 武藤選手ですね。マインツへの移籍によって海外へ飛び出すことで、自分のプレーのタイプも変わるでしょう。持っている縦への速さとか、アグレッシブさといった部分で、攻撃面では武藤選手です。柴崎選手はこの前のアジアカップでもいい仕事をしましたし、鹿島でもいい仕事をしていますので期待していますね。

――宇佐美選手も絶好調です。

松木 宇佐美選手はシュートや、ボールの持ち方はなかなかいいですね。ただ試合でどういう使われ方をするのかが気になります。

――どういった起用法を期待されますか?

松木 流動的にやってほしいですね。ハリルホジッチ監督は速い攻撃を仕掛ける際、具体的にポジションはあまり指示しないんじゃないでしょうか。ザッケローニ監督の場合はかなり細かく、アギーレ監督では少し自由になり、ハリルホジッチ監督の場合は、縦に速く。速い攻撃は全員が反応出来なきゃいけないので、誰がどこのポジションでなければいけない、ということはないと思います。だから宇佐美選手は自由に、自分の働けるところでプレーするのがいいかもしれません。ガンバ大阪では、すごくいい形で得点も取っていますから、楽しみですね。

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イラク戦は出場した選手が良いところを出してほしい

――W杯2次予選が始まる直前の11日、イラクとキリンチャレンジカップ2015で対戦します。アジア最終予選でのライバルになるかもしれないチームと対戦することの意義はなんでしょうか?

松木 イラクは最終予選に残っている可能性がある。そう考えると、イラクといいゲームができれば、ある程度シンガポール戦というのも見えてくるでしょう。イラク戦があってシンガポール戦につながっていくと思うので、この2試合はセットで考えていったほうがいいと思います。

――イラク戦では何を求めますか?

松木 まずは勝つことが大前提です。どんな選手が出場しても勝つ。「今まで出番のなかった選手が出たからうまくいかなかった」、というエクスキューズはまったく許されないと思いますので、イラク戦はとにかく出場した選手が良いところを出してほしいです。出場した選手とは、つまり選ばれた選手ですから、選ばれた選手の良さというのをイラク戦で全て出すことが必要になると思います。

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ホームでW杯予選の初戦ができるというのは嬉しい

――ロシアW杯への第一歩となる16日のシンガポール戦は、ホームゲームに変更となりました。

松木 ホームでW杯予選の初戦ができるというのは嬉しいですよね。「勝って当たり前」というチームでも、予選というのは不思議とプレッシャーがかかりますし、何が起きるか分かりません。しかも、今回の日本代表は3月に新しい監督が決まり、公式戦は初めて。そういった意味を踏まえると、若干プレッシャーのかかる初戦であることは間違いない。だから、ハリルホジッチ監督にとって、アウェーでの初戦の方が落ち着いた環境になるので、やり易かったんじゃないかな?

――前述の3選手を含め、2連戦で活躍を期待する選手はいますか?

松木 さっき言った武藤、柴崎、宇佐美もそうですし、Jリーグで好調の選手もいる。ヨーロッパでプレーしている選手たちもそうですね。期待しています。グループとしてどうやってメンバー構成をするのか、イラク、シンガポール戦の楽しみの一つかなと思っています。

――海外組は調子を落とした選手も多いシーズンでした。

松木 そこはハリルホジッチ監督も見ているでしょうから、今までとは違った形、違ったメンバーで戦ってくるのかが期待できますよね。

――そういった意味でも新戦力に期待ですか?

松木 やっぱり調子の悪い選手というか、試合に出られていない選手よりもコンスタントにJリーグで出場している選手の方が、いいプレーを期待できると思うので、その辺の評価も含めて見てみたいと思います。

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シンガポール戦前にはカツを食べますよ!

――話が変わりますが、代表戦の中継で松木さんが心掛けている点はなんでしょうか?

松木 試合は何が起きるかまったく分からないです。イラクとの強化試合は、交代メンバーもいろいろ変えられるので、シンガポール戦の方が、何が起きるか分からない。そういう意味でも選手と一緒で、「何が起きてもいいように準備していこう」と思っています。

――やはり試合前には恒例のカツを食べられますか?

松木 あー、そうですね! まぁトンカツじゃなくてもシンガポールなら勝てそうなので、チキンカツくらいにしますよ(笑)

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一戦一戦を大事に戦っていく姿を我々、サポーターに見せてほしい

――視聴者の方に伝える際に、気を付けていることはありますか?

松木 今回は、新しい選手が起用される可能性があるので、そういった選手の特長や、顔、背番号はぜひとも覚えていただきたいと思います。出場した選手には、名前がたくさん出てくるような活躍をしてもらいたいですね。今までの日本とは違う、新たな日本を印象的なものにできるよう、そういった選手たちの表情を伝えられたらと思います。

――そういったことがきっかけになって、もっとサッカーを好きになってくれる人が増えると嬉しいですね。

松木 そうですね。W杯予選になると、普段サッカーを見ない方にも応援していただける可能性もありますので、特に新しい選手、今までとは違う選手の特長もぜひ、どこかのタイミングでお話しできたらいいかなと思っています。

――ロシアへ向けて“負けられない戦い”が始まります。日本代表へメッセージをお願いします。

松木 ブラジルW杯、アジアカップと、いい形で終えられたとは決して思っていません。初心に帰って、日本の代表チームとしての仕事、一戦一戦を大事に戦っていく姿を我々、サポーターに見せてほしいです。誰がピッチに立ったとしても、自分の良さをチームに出して、是非とも勝利を、と願っています。

【番組情報】
キリンチャレンジカップ2015
日本代表 vs イラク代表
6月11日(木)よる6:50~
テレビ朝日系列で生中継
※一部地域を除く

ロシア・ワールドカップ アジア2次予選
日本代表 vs シンガポール代表
6月16日(火)よる7:00~
テレビ朝日系列で生中継
※一部地域を除く

By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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