INCHEON, SOUTH KOREA - SEPTEMBER 25: Japan coach Makoto Teguramori looks on during the Football Mens Round of 16 match between Palestine and Japan during day five of the 2014 Asian Games at Hwaseong Sports Complex Main Stadium on September 25, 2014 in Incheon, South Korea. (Photo by Stanley Chou/Getty Images)

確かな手ごたえをつかんだ勝利である。
2月14日に行われたU-23シンガポール代表とのテストマッチで、U-22日本代表が8-1の大勝を収めた。
格下との顔合わせだったのは間違いない。だが、対戦相手はトルコへの遠征を含めて、1カ月にわたって活動をしてきた。対する日本は、昨年12月以来の集合だ。国内組で編成された今回のメンバーは、来月開幕のJリーグに向けた調整段階にある。「コンディションは70パーセントくらいの状態」と、手倉森誠監督も話していた。チームとしての準備期間や個々の仕上がりぐあいでは、シンガポールが上回っていただろう。
人工芝のピッチも、極端なマイナス材料ではないがプラスにもならない。日本の勝利を後押しする材料は、決して多くなかったのである。
評価されるべきはふたつある。ひとつ目はチームのベースアップだ。
昨年12月のバングラデシュ戦以来となるゲームにもかかわらず、序盤から攻勢を仕掛けることができた。「立ち上がりを大事にしていて、そこで1点取れて、さらに追加点を取れたのは良かった」とゲームキャプテンの遠藤航が話したように、20分過ぎで2点のリードを奪う展開が余裕をもたらしたところはあった。「2-0となったあとのシンガポールに落胆が見えた。ボールを奪いにくる姿勢がなかなか見られなくなった」という手倉森監督の分析も、試合の流れを映し出す。
そのうえで、指揮官は続ける。
「攻撃のバリエーションとコンビネーションの高まりを感じた。誰と誰が組んでも、同じ絵を描けるようになってきた」
手倉森監督の言葉は、後半の戦いぶりが裏付ける。GKを含めて6人の選手を入れ替えても、5点を記録した前半に劣らない決定機を作り出した。しかも、鈴木武蔵の1トップに近い前半の4-4-2から、後半はFW2人が横並びの4-4-2、さらには4-3-3へと布陣を変えている。「Jリーグがまだ準備期間ということを踏まえても、頭のなかが整理されている」という手倉森監督の評価は、素直にうなずけるものである。
ふたつ目は攻撃の柔軟性だ。
シンガポール入りしたチームは、相手の守備ブロックの間でボールを引き出すトレーニングを重ねてきた。しかし、10分の先制点はロングボールをきっかけとしたものだった。右サイドバックの松原健の縦パスから、DFラインの背後へ抜け出した中島翔哉が蹴り込んだのである。「今日はやけに蹴っているなと感じましたけど」と手倉森監督は苦笑いしたが、コンビネーションに拘泥しないゴールへのアプローチは、指揮官が求めてきた「コントロール力」であり「柔軟性」である。
この試合のスタメンについて聞かれた手倉森監督は、「Jリーグの開幕へ向かっている選手のなかで、ベストの11人」と説明した。3月下旬の五輪予選は国際Aマッチデーに行なわれるため、海外組の久保裕也と南野拓実も招集できる。彼らが加われば前線の組み合わせが変わってくるが、右から松原、岩波拓也、植田直道、亀川諒史の4バックと、大島僚太、遠藤航のダブルボランチはほぼ決まりと考えていいだろう。
マレーシアで開催される五輪予選では、暑さと連戦と向き合う。昨年末のタイ・バングラデシュ遠征から4-4-2を導入したのは、前線のターゲットを増やすことで消耗を抑えつつ、ボールを長く保持するためである。4-4-2を基本に4-3-3をオプションとして、予選に臨むことになるだろう。
2月14日のゲームは、勝ってしかるべきものだった。だからといって、成果がなかったわけではない。約1カ月後の本番へ結びつく、大切なプロセスとなったのである。