ブラジル・ワールドカップ後、初めての公式戦となるアジアカップ。オーストラリアで行われる大会はハビエル・アギーレ監督体制になって初めての公式戦となる。しかも日本はディフェンデイング・チャンピオンだ。
だが、日本代表を取り巻く環境は12月に入って急展開。スペイン検察が、アギーレ監督を含む41名と1団体を八百長問題でバレンシア裁判所に告発したからだ。レアル・サラゴサ監督時代の2011年5月21日のリーガ・エスパニョーラ最終節、レバンテ対レアル・サラゴサで、降格危機にあったサラゴサがアウェーで2-1と勝利して残留を決めた。一方のレバンテは、この試合の前節で残留を決めており、この最終戦で八百長があったという告発なのだ。
そこから事態は日本国内で急展開。年末の12月27日にはアギーレ監督の釈明記者会見が開かれる。「12年間スペインにいたが、倫理、プロフェッショナルに反したことはしていない」と、自ら潔白を主張したのだが、弁護士からの指示で詳細には触れずじまい。
記者から「進退問題」に関する質問が飛んだときには、身振り手振りを交えて、「この試合に出ていた選手は今も普通に試合に出ているし、クラブの幹部も審判たちも仕事をしている。チャンピオンズリーグに出ている選手もいる。なぜ私だけが身を引く必要があるのか。推定無罪は法によって保証されている。判決が出るまでは無罪だ。私も仕事を続けたいと思っている」と語気を強めて回答した。

だが、よく考えてみれば報道陣の前で下手に八百長問題に関する発言をすれば、後から問題になる可能性があるので、詳細に触れることが出来ないのは記者会見を開く前からわかることだ。
それよりも私たちが心配することは、アジアカップに向けてこれからチームが一体となって、公式戦に向かう状況に影響が無いかということだ。私は選手への影響が一番心配で、アジアカップに向けての国内合宿する日本代表を撮影に行ってみた。
選手は皆、今回の問題に関しては影響が無いように見えた。実際に問題が出る可能性があるのは、アジアカップが始まって思うような結果が出せない状況を迎えたときだろう。
練習そのものを見る限り、長友佑都がちょっと元気が無いのが気になった。精力的に前後に動くダイナモのような長友ではなかった。体調がベストではないのかもしれない。

年内最後の12月31日の練習では、相手ボールになったときに中盤で4人のブロックを作り、相手のバックラインから中盤の選手にボールが出る際の守り方を練習した。この練習は、相手の4人のバックラインが自由にボールを回していると想定。自分たちは中盤の4人がゾーンで守りながら、相手の中盤の4人にボールが渡らないようにポジション修正する練習だった。
相手のバックラインがボールを横に動かすたびに、自分たちの中盤の4人も相手の中盤の4人の前に位置して、各自の裏にいる相手選手へのパスコースを消すようにポジションを変える。大事なのは相手がボールを動かしたとき、すぐに自分たちもポジションを修正して前へのパスコースを消すこと。横にだけパスを出させること。つまりは、相手のパスコースとなる門を作らない練習だ。

このような守り方は、チャンピオンズリーグのトーナメントステージで私は何回も見た。最初に見た大舞台は2010年のCL準決勝、第2戦のバルセロナ対インテル。退場で一人減ったジョゼ・モウリーニョ率いるインテルは、相手ボールになると9人で5人のバックラインと4人の中盤でブロックを作り、ゾーンで守りながら相手に縦への楔となるパスを入れさせない作戦を取った。
第1戦で3-1とリードしていたので、1点は取られても仕方がないという判断。結果は、0-1で負けたのだが、2試合合計3-2で決勝に進出し、見事優勝を果たした。
ここで大事なのは、中盤の4人の門をパスで通されてバックラインの前で相手選手にわたった場合は、バックラインのDFがマークに行くのだが、今回の練習では中盤とバックラインにテープでラインを引いて、自分たちのテリトリーからは出ない。
実戦では相手の中盤の選手にボールが渡った段階で4人のDF陣がどう対応するかが次のポイントなのだが、今回の練習では中盤の4人がポジション修正しながらどう守るかに集中した。
オーストラリア入りしてから、この練習に磨きをかけて中盤4人とDFラインの4人で連携して守ることを仕上げるのだろう。しかし、これはあくまで相手が遅攻で来た時の対応策。実戦で自分たちの思ったような展開にできるかが一番重要なのだが、それは本大会での楽しみにとっておきたい。
