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2014.12.17

【ファインダーを覗いて…ピッチサイドからの考察】ガンバ大阪、三冠達成!

 これまでは、お正月に行われてきた天皇杯決勝。各国リーグは、クリスマスから正月にかけてウインターブレイクに入る。だが、私が主戦場としているイングランドのプレミアリーグは、クリスマスこそ休むが、その前後には試合がびっしり詰まっており、お正月にも試合はある。そのため、日本の天皇杯決勝は長らく取材していなかった。

 だが今季は、決勝が12月13日に行われる変則日程となり、ヤマザキナビスコカップ、J1と二冠を決めたガンバ大阪が、残る天皇杯に優勝すれば、J2から昇格した初年度に三冠を取る史上初のクラブとなる状況に、私はロンドン行きを延期して日本に残った。

 久しぶりの天皇杯決勝に自ら興奮し、朝9時半に日産スタジアムに到着したが、いつも日本代表戦でフォトグラファーの場所取りに熱心な他のフォトグラファーの姿が見えない。「待つ場所を間違えたかな?」一旦、駐車場に戻って、再びメディア受付の場所に行って見ると、初の決勝進出となったモンテディオ山形の地元メディアがグループで到着。私は、一番乗りのはずが8番目になってしまった。

 試合は、山形が開始から積極的にプレスをかけて、G大阪のパスワークを封じる作戦。「こんなペースで走っていたら、後半バテるのでは?」と私が心配してしまうほどのハイペースだったが、G大阪はGK東口順昭からのロングフィードをパトリックがヘディングで落とし、宇佐美貴史がシュート。一度は山形のGK山岸範宏が弾き返したが、こぼれ玉を宇佐美が押し込み、G大阪が先制した。

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先制点をサイドキックで決める宇佐美 [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 2点目はパトリック。後半に山形が1点を返して、接戦になるかと思われたが、終わってみれば、3-1とG大阪の完勝だった。

 試合の写真を選びながら、G大阪の強さは何だろうと考えてみる。総合力でG大阪が山形を上回っていたのは明らかだ。しかし、2点目のパトリックのゴールは、山形のDFがしっかりマークしていながら、単純な反転についていけずシュートを打たれている。

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相手マークを反転で外し、シュートを打つ瞬間を作ったパトリック [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 山形にしてみれば、中盤の遠藤保仁と今野泰幸に2人がかりでプレッシャーをかけてボールを奪いたかっただろう。しかし、実際には、複数の選手に囲まれたときこそ、遠藤や今野の個の能力が光った。遠藤はパスを出すと見せては、相手を動かし、空いたスペースにボールを運んで、置き去りにする。

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相手に囲まれたときこそ、遠藤の能力が冴えた [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 まず、ファインダーを覗いていて感じるのは、G大阪の守備に穴が無いこと。そして交代選手も含めて、数人が代わってもチームの総合力が落ちない。また、勝負どころで遠藤を中心にして皆で共有している感覚が伝わってくる。

 リーグ優勝を決めた最終節の徳島ヴォルティスとの試合では、後半の最後にパワープレーで「パトリックの頭を狙ってロングボールを入れろ」と遠藤が指示を出して前線に上がっていた。ところがある時間を過ぎると、遠藤はいつの間にか自陣深くにポジションを変えて、ボール回しを始める。つまり、少し前までは勝ちに行く試合運びを、今度はボール回しで時間稼ぎに作戦が変わった。

 遠藤がパスの出し方で、試合中の作戦変更を皆に伝えているようだ。

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ピッチ上では監督代わりの遠藤。天皇杯を掲げる [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 最後に褒めるべき人は、やはり長谷川健太監督だろう。ベンチではポーカーフェイスだが、浦和レッズとの頂上決戦では交代で使った3人の選手が、アシストとゴールを決めた。来季のACLでどこまで暴れるかが楽しみだ。

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フォトグラファーの注文にも笑顔で答える長谷川監督 [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography
山田一仁(やまだ・かずひと)。1957年、岐阜県生まれ。大学卒業後、1981年から(株)文藝春秋写真部にスタッフカメラマンとして在籍。1989年にイギリスへと渡り、1990年からフリーカメラマンとして活動を始める。2007年に(有)Kaz Photographyを設立。日本人フリーランスカメラマンとして、プレミアリーグの撮影ライセンスを所持し、現在は年間の半分近くをロンドンを拠点として、主にプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外で活躍する日本人選手を中心に取材している。

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