2014.07.29

EXILE CUP 2014関東大会で圧倒的な強さを見せた江南南サッカー少年団が全国大会への切符を獲得

 7月27日、真夏の日差しが照り付ける中、群馬県伊勢崎市のあずまサッカースタジアムで小学校4年生から6年生によるフットサル大会「EXILE CUP 2014」の関東大会が開催された。九州大会に続いて2会場目の関東大会は、各地から過去最多となる52チームが集結し、総勢463名の小学生たちが、わずか1チームの“関東代表”の座をめぐって熱い戦いを繰り広げた。

 開会式には五十嵐清隆伊勢崎市町も駆け付け、「スポーツは元気な体、どんなことにも負けない強い心、掛け替えのない友達をたくさん作ってくれます。今日は元気いっぱいにプレーしてもらい、試合後はお互いに相手の健闘を称え、友情を深めてください」とエールを送った。また、劇団EXILEのメンバーである、青柳翔、八木将康、小野塚勇人、町田啓太も子どもたちの激励に訪れ、EXILEのUSAが考案したウォーミングアップ「EXダンス体操」を選手たちと一緒に実践し、大会の盛り上げに一役買っていた。

 そして、いよいよ始まった予選リーグ。4チームずつAからMまでの13グループに分かれての総当たり戦は、攻守の切り替えの速いチームやテクニックに優れるチーム、体の強さを生かして相手を圧倒するチームなど、各々の持ち味を存分に発揮する見応えのある試合が続き、序盤からヒートアップしていた。しかし予選が終盤に差し掛かった頃、関東地方を襲った突然の暴風と雷雨により、快晴から一転、中断を余儀なくされてしまう。運営スタッフの迅速な誘導に従って選手や保護者、観客は全員無事に避難し、天候を見守った。すると気が付けば晴れ間が戻り、約50分に渡って止まっていた試合は再開され、ピッチでは子どもたちが元気にプレーを続けた。

 再び始まった予選リーグは前後半8分ハーフから5分ハーフのレギュレーションに変更され、中断による影響も懸念されたが、問題なく進行した。小休止を得たことでリフレッシュした選手たちは、それまで以上にピッチを躍動。そして、各グループ1位通過を目指して、最後までし烈な争いを見せていた。

 そして各グループ1位と、グループ2位のうち上位3チームの計16チームによる決勝トーナメントは、さらに激しさを増していく。ベンチやピッチで飛び交う選手同士の声、スタンドからの歓声も熱を帯び、ゴールの歓喜や勝利後の笑顔、敗戦に涙する選手など、今大会ならではの様々な選手の姿が会場を彩っていた。

 そんな中、決勝戦に駒を進めたのは、「EXILE CUP 2013」関東大会で3位に入った江南南サッカー少年団と初参戦の古千谷Football Club。両チームは予選リーグでも同グループで、そこでは4-0で江南南に軍配が上がっていた。グループ2位の中で上位3チームに入って決勝トーナメント進出を決めた古千谷は、準々決勝で強豪malva ibaraki fc U-12を破るなど、勢いそのままに勝ち上がり、リベンジのチャンスをつかんだ。

 ともにフィジカルに優れる両者の試合は、意外な展開となった。開始早々にゴール前でチャンスを作った江南南が先制に成功すると、さらに直接FKからの豪快なゴールも生まれ、序盤から江南南が主導権を握っていく。対する古千谷もカウンターから得点を狙っていくが、決定機でシュートがポストに嫌われるなど、追撃弾を奪えないまま試合は後半へと突入した。そして後半は江南南のゴールラッシュとなった。高い位置でのプレスからのショートカウンターがハマり、少ない手数で次々と得点を重ねていく。試合は2分を残して8-0と、大勢は決していた。しかし諦めない古千谷も、右サイドからの豪快なシュートをネットに突き刺し、最後に意地を見せたところで試合終了の笛が鳴り響いた。敗れた古千谷の指揮官が「最後は体力不足だった」と語ったが、7試合を戦ってきた選手たちの疲労は色濃く、最後に勝敗を分けたのは、技術よりも体力や気力だったのかもしれない。

 予選から圧倒的な強さを見せてきた江南南。体の強さも際立つが、何よりも止める蹴るという選手個々の基礎技術の高さ、日頃のトレーニングで培ったそれらの技術を確実に出し切る精神的な強さ、素早い攻守の切り替えが徹底されていたことが大きかった。「EXILE CUP 2012」の全国大会の覇者、コスモサッカークラブ川越との準々決勝では2-2と引き分け、PK戦の末に辛くも勝利をもぎ取ったが、試合内容で圧倒していたのは江南南だった。松本ヨウ佑(※ヨウは巾ヘンに昜)監督は試合後、「コスモサッカークラブ川越さんとはPK戦になりましたし、決勝も先にうちが点を取ったのでああいう展開になりましたが、逆だったらどうなっていたかは分かりません」と謙遜しながらも、「普段は8人制など、もう少し広いコートでやっているので、今日は瞬時の判断や、ボールを奪われた後の守備などの攻守の切り替えを意識させました。そういうところは、子どもたちなりにがんばってくれました」と選手を労った。

 中でも大会でMVP級の活躍を見せたのが、10番を背負った津久井匠海君(6年生)だった。左右遜色なく蹴ることができる足元のボールコントロールとドリブル突破、強烈かつ正確なシュートを武器に、決勝でもハットトリックとチームをけん引した。「昨年は優勝できなかったので、今年は優勝できてうれしい」と素直な喜びを口にした津久井君自身は、「スピードには自信があるので、スピードに乗ったドリブルで相手を翻ろうしてシュートを打つことを心掛けています。決定力にも自信を持っています」と胸を張る。普段はFWながら、この日は後方のポジションでプレーしていたことで、チームを落ち着かせる役割も担っていた。今大会でキャプテンを務めた大塚慧君(6年生)も、「決める時に決めてくれるし、すごく心強い存在です」とチームメートからの信頼も厚い。大会を通じてこれまで以上に自信を深めた津久井君は、「江南南の先輩である原口元気選手(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)のようなドリブルができる選手になりたいです」とさらに上を目指していく。

 強豪ひしめく関東大会でベスト4まで勝ち上がり、3位を争ったJMフットサルクラブとFantasista栃木の戦いも好ゲームだった。特に、普段はそれぞれのチームで活動するスクール生同士が集まって出場したFantasistaは、わずか5人で7試合を戦い抜いた。つまり全員が全試合フル出場だったのだ。山崎亜輝緒監督も、「(3位という結果は)予想外。勝利はたまたま」と驚いたほどの結果。ただ、これは決して偶然ではない。「(勝つための戦術や理論ではなく)選手個人の考えや持っている技術でどこまでできるかをテーマにして戦い、子どもたちはそれを意識してがんばってくれた」(山崎監督)と、実力を存分に発揮してつかんだ成果だった。そしてこの、「持っている技術でどこまでできるか」ということは、大会を通じて感じられたキーワードでもあった。

 優勝した江南南もしかり、決勝トーナメントや予選リーグで涙を飲んだ多くのチームもしかり、選手は個々に高い技術を持っていた。ただ、チーム戦術や、「EXILE CUP」という大舞台での緊張、暑さ、コンディションなどにより、その技術を出し切れたかどうかが、試合を左右する大きなポイントになった。江南南の松本監督が「小学生のうちはドリブルをして取られたら取り返すといった具合に、繰り返しチャレンジできる世代なので、まずは技術を出すことが一番」と語っていたが、普段のトレーニングで培ってきた技術を、敵味方との関係性やその時々の局面、試合展開を踏まえて発揮し、失敗を恐れずに繰り返しチャレンジできるかどうかが重要かもしれない。各試合で勝利を収めたチームは、そうした点で優れていると感じられた大会だった。

 また、今大会のエリアパートナーの一つであり、群馬県に拠点を置くJリーグクラブ、ザスパ草津の関係者も来場。都丸晃代表取締役社長は、「6年後には東京でオリンピックがあり、出場できる年齢になってくると思いますので、EXILEのように誇りを持って、サッカーに、勉強に、遊びに打ち込んで、大きく成長してもらえたらと思います。EXILE CUPは今年からJリーグのチームもサポートすることになりました。プロのチームでも皆さんと一体です。一緒に日本のサッカーを盛り上げていきましょう」と子どもたちにメッセージを送った。そして決勝戦を観戦した乾大知選手、久富良輔選手、秋葉忠宏監督は表彰式のプレゼンターを務め、上位入賞を果たした選手たちへ副賞を授与した。

 果たして、全国大会の出場権を獲得した江南南は関東代表として全国の猛者を相手にどんな試合を披露するのか。一つ言えるのは、今大会で見せた強いメンタリティーを感じさせるプレーができれば、全国の舞台でも彼らが誇るアグレッシブな戦いが猛威を振るうだろうということだ。

文=本田好伸 写真=瀬藤尚美