ブラジル・ワールドカップのグループリーグ第1節が14日に行われ、日本代表とコートジボワール代表が対戦。都内のパブリックビューイング会場でトークショーを行った、元日本代表DF・田中誠氏にコートジボワール戦の印象や、自身がコーチを務めるサッカースクールについての話を聞いた。

――まず、コートジボワール戦の印象を聞かせてください。
田中誠 敗戦は悔しいですね。今までやっていた日本のスタイルとちょっと違って、向こうに主導権を渡してしまったという印象を受けました。ワールドカップの初戦で、始めの立ち上がりは少し落ち着いて入り、途中から少しずつ主導権を握るような展開になるのかなと思ったのですが、意外と終始行くところ行かないところのメリハリやスピード感がなかったのかなと思います。逆に相手に自由にやらせすぎてしまった分、自分たちが動かされてしまって消耗してやられてしまった。構えすぎちゃったのかなという感じはします。もっと球際を激しくいくのかなと思ったんですが…今までの日本は前線からある程度ボールを追い込んで奪いどころで積極的にボールを奪うというサッカーだったと思うのですが、今日に限ってはそれができなかったし、見えなかったと思います。躍動感とかスピード感がなく、ゴール前の決定機も少なくチャンスを作れていなかった。シュートも少なく、今日の日本代表はいつになくモヤモヤ感が残る試合だったのかなと。敗戦もそうですが、戦い方に関してですね。
――良かった点は?
田中誠 前半ではある程度、最後のゴール前のぎりぎりのところではしっかりマークをして、防ぐことができていました。後半になって相手へのボールの寄せが遅くなってしまってスペースを与えてしまったし、自由を与えてしまったと思います。前半のある程度の制限させた中でのしっかり後ろがカバーするという作業は良かったと思います。
――後半途中から入ったドログバ選手の影響力は?
田中誠 ドログバ選手が入ったことにより、逆にコートジボワールが落ち着き、締まった感じがしました。それまで自由にやっていたが、しっかりと行くところは行く、さばくところはさばく、キープする時はキープする、という判断が良くなって、チームが組織だったように感じました。ドログバの影響力、存在感はやっぱりスタジアムの雰囲気を変えるくらいのものはありましたね。(後半2得点したことで)試合の結果を変えた、というところで彼の投入というのは一番大きかったのかなと思います。
――次戦に向けての課題は?
田中誠 連動する、というところですね。当然やられている時間と自分たちが攻める時間もあるので、チームが今どうしたいのかというのを、ゲーム中のコミュニケーションを通してピッチ内でやっていく必要があるのかなと思います。前半に限っていえば、前では本田選手、後ろでは長谷部選手がリーダーシップをとっていたが、後半は少し守備ラインで統率するような感じがなかったのかなと。そこでお互いのコーチングが必要なのだなと感じました。
――次戦・ギリシャ戦でキモになる選手は?
田中誠 香川選手、岡崎選手の両サイドですかね。ピッチをワイドに使う選手たちの動きの質、量が重要になってきますね。サイドで起点を作って、中央をあけておいてそこに滑り込むという攻撃が必要だと思います。岡崎選手の背後を狙う動きもコートジボワール戦は少なかったような気がします。
――ザッケローニ監督の采配については?
田中誠 結果論になりますが、長谷部選手の交代は早かったのではないかと思います…。長谷部選手のコンディションを考えて、というザッケローニ監督の考えもあったと思いますが、その後のピッチ内での修正が良くなかったと思います。相手にやられ過ぎている状況での交代ならわかるのですが。
――今日は休日でたくさんの子ども達が試合を見ていたと思いますが、今回のワールドカップを通じて、子ども達にどんなことを感じてもらいたいですか?
田中誠 多くの子ども達がサッカー選手になりたい、日本代表になりたいという夢を持っていると思います。日本代表が世界で活躍する姿を見て、それに憧れて夢を持つ、と考えると、日本代表選手の持つ役割というものもすごく大きく感じます。日本代表を真似て、目標を掲げてやっていくということが夢につながると思います。サッカーを見て、自分もこうなりたいという意識を持ち続けて楽しみながらやっていくということが重要ですね。コートジボワール戦はもし勝ってくれていたら「サッカー選手ってすごいな」って思ってもらえたかもしれませんが、サッカーに勝ち負けは当然あることですし、闘う姿は単純にかっこいいですよね。あの舞台に自分も立ちたいと思う子は増えると思います。そうなればサッカーをやっている、教えている僕らとしても嬉しいです。
――コーチをされている「ジュニアサッカースクールSKY」について教えてください
田中誠 基本的にサッカー技術向上は当然なんですが、人間形成の部分、つまりあいさつや行動についても教えていくことに重点を置いています。人間的にも素晴らしい、サッカーも一流というコーチ陣の言葉を子ども達にしっかり伝えていこうと思っています。現在は開校11年目で関東地方に5校あり、元日本代表や元Jリーガーなど所属する17名のコーチは各校にかわるがわる教えに行っています。僕自身は週に3~4回指導に行っています。厳しくする部分もありますが、サッカーは楽しむことが一番なので、やる時はやる、楽しむ時は楽しむ、というメリハリをつけています。カテゴリーはレベル別ではなく、小学校1・2年生、3・4年生、5・6年生の3クラスです。初めてボールを蹴る子も、そこそこ上手い子も一緒にやることで、助け合いや盛り上げなどの心が生まれますね。今度夏合宿もありますが、練習の時だけでなく、一緒に起きて散歩し、食事も一緒にとります。とても大事なことですね。
ー子ども達にメッセージをお願いします
田中誠 ワールドカップで日本代表や世界レベルのサッカーを見て、自分もこうなりたいという意識を持ち続けて、楽しみながら続けていってほしいですね。
1975年8月8日生まれ。静岡県出身。 現役時代はジュビロ磐田、アビスパ福岡でプレー。1対1での強さ、豊富な経験から裏打ちされるカバーリングの巧みさ、正確なフィード、試合をフルに戦えるスタミナ、冷静な判断など、DFに必要な能力をすべて有するスペシャリストとして活躍。J1通算419試合出場で12得点の成績を収め、1998年と2002年のJリーグベストイレブンに選出された。国際Aマッチでは32試合出場という成績を収めた。JFA公認S級ライセンス保有。
パブリックビューイングイベント直後にはTwitter上でファンからの質問に対してライブで回答するという企画が開催され、コートジボワール戦に関する質問などに対して田中氏が回答した。
ジュニアサッカースクールSKY
■主なコーチ陣
名波浩、田中誠、平野孝、小村徳男、清水範久、福西崇史など
■会場
蒲田校、川崎校、多摩センター校、市川校、横浜元町校
◎SKY夏合宿2014
・開催日時
2014年8月5日(火)~7日/2泊3日
・開催地
静岡県藤枝市
・参加対象
小学1~6年生(SKYの生徒以外の方も参加可)
◎スクールの様子などはサッカースクールSKYのHPやブログ、FaceBookでチェック
公式HP:http://www.sky-soccer.net/
ブログ:http://ameblo.jp/sky-soccer
FaceBook:http://www.facebook.com/SKY.soccerschool
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