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ブラジルW杯ぶらぶら日記 第2回「日本の選手、知ってる?」

2014.06.10

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スタジアム周辺のインフラはまだまだ……

文・写真●竹田聡一郎

 開幕まであとわずかだ。
 6月に入り、セレソンはパナマ相手にネイマールの直接FKを含む4発快勝を果たし、追加チケットを求めチケットセンターは大混雑でほぼ完売となり、ブラジル国内はようやくW杯モードに入ったかな、といった感じである。

 ただ、デモやストの計画は全国でまだくすぶっている。新聞にはボロボロのESCOLA(学校)の後ろにピカピカの巨大新スタジアムが座る風刺画が、毎日のように載っている。多くのスタジアムで周辺インフラは完成してないのも事実だ。

 僕はいま、ナタールにいる。スタジアム自体は問題なさそうだけど、周辺道路が未完成で、鋭意工事中、と書きたいんだけど、作業員はけっこう日陰でサボっていて、カメラを向けるとポーズまでくれる。仕事しろ。

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大混雑のチケットセンター

 それでも人々の話題や感心は少しずつサッカーに向いてきて、テレビは「1982年のセレソンと2010年のスペイン、どっちが強いか」なんていうセレソン特番を延々と流しているほか、アルゼンチン(vs.トリニダード・トバゴ)やウルグアイ(vs.北アイルランド)らご近所さんのテストマッチも何度も放送している。
 
 大きな交差点に停まった車には国旗や応援グッズを売る人が群がり、いくつかのスーパーのディスプレイは黄色と緑で統一されている。伊PANINI社が販売している今大会公式カード(6枚セットで9レアルとけっこう高い)は売れているようで、僕も買ったら、ペア・メルテザッカーやカリム・ベンゼマと共に川島永嗣が出た。ちなみに川島の戦闘力は188らしく、サイヤ人が最初に来た時のヤムチャより高い。メルテザッカーは228、ベンゼマは237とクリリンより強いことが判明した。本田や香川の数値はいくつか気になるので出たらツイッターかなんかに書きます。
 
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川島はヤムチャより強かった!

 また、個人的にデモやストに並んで気になることは、まあ、当然なのかもしれないけど、日本に対する報道がまったくというくらいされていないことである。

 鮮やかな逆転勝利を果たしたコスタリカ戦翌日、GAZETA誌、FOLHA誌、NOVO誌をさらってみたが、まったくもって「Japao」の文字は見当たらなかった。ちなみにGAZETA誌にはデカデカとパナマ戦の採点が載っていて、ネイマールが最高の9点でハルクことフッキが8点だった。これはW杯でもやる予定だというので現地の楽しみのひとつである。

 実際にレシフェやナタールのホテルで、レストランで、バスで、ビーチで、「日本の選手、知ってる?」と聞いてみる。が、個人名を挙げることのできる人はほとんどいない。

「いいチームだと聞いている」
「きっとうまくいくよ」
「日本人、たくさん来るの?」

 なんて伝聞や希望的観測や商売っ気を出してくる。やっぱり我々はアルゼンチンやウルグアイとは見なされ方の違う国なんだな、と実感する。5大会連続で“出場”はしているけれど、例えば2002年のセネガルのように、強国を沈めてトーナメントの風向きを変えるような“参加”はまだできてないのかもしれない。

 今回こそ、世界を脅かすことはできるだろうか。我らがザックジャパンもブラジル入りする。ちょっとくらい報道されるだろうか。また追ってご報告します。

著者/竹田聡一郎(たけだ そういちろう)
1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、スルガ銀行のサッカーweb「I Dream」で連載中のコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。
twitter:@takedasoichiro

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