2014.06.02

【プレイバックW杯】「THE TOP10 PLAYERS」2002年 日韓大会

俺たちが愛したワールドカップ WORLD CUP CHRONICLE1986-2014」ワールドサッカーキング増刊 2014年6月号増刊(5月30日発売)

フランチェスコ・トッティ/イタリア代表


アレッサンドロ・デル・ピエロから譲り受けた10番をつけ、シンプルでありながらも創造性溢れるパスや強烈なシュートでイタリア代表を力強く、そして華麗にけん引した。しかし頂点を目指す彼に突きつけられたのは、不可解な判定の連続と、その極致となるレッドカード。「悲劇のヒーロー」は、イタリアの10番が背負う宿命なのだろうか。

リュシュトゥ・レチベル/トルコ代表

ポニーテールにひげ面、目の下には反射光を緩和するアイブラック。まず目立ったのは独特の風貌だが、トルコ代表の守護神は単なるイロモノではなく、確かな実力を備えていた。鋭い反応は大会を通じて冴えわたり、準決勝ブラジル戦でもロナウドやリヴァウドのシュートを跳ね返し続けた。最後はロナウドの変則キックに沈んだが、3位と躍進したトルコの最大級の功労者であることに疑いはない。

デイヴィッド・ベッカム/イングランド代表

軽率な報復で退場処分を受け、「愚か者」と大批判を浴びてからの4年間は、まさに苦悩の時期だった。大会直前には左足甲を骨折する悲劇に見舞われる中、高気圧酸素治療を経て立ったW杯の舞台で、ベッカムは役者の違いを見せつけた。因縁のアルゼンチン戦でPKの場面が訪れると、GKの足もとに強烈なストレートボールを蹴り込む強心臓ぶりを見せつけてリベンジを果たす。ケガの影響もあって万全のパフォーマンスではなかったかもしれないが、存在感は抜群だった。

ロナウジーニョ/ブラジル代表


大会を制したブラジルの売りは「3R」。ロナウド、リヴァウドに比べるとタレント力で劣っていたものの、ロナウジーニョは極東の地でスターの仲間入りを果たす。特に準々決勝イングランド戦では、大きなシザースを取り入れたドリブルからのスルーパスでリヴァウドの同点弾を演出し、FKの場面では相手GKデイヴィッド・シーマンの癖を突き、35メートル級のループシュートを沈めてファンの度肝を抜いた。その後の退場は余計だったが、大会を彩る名シーンだった。

ジウベルト・シウヴァ/ブラジル代表

前年10月に代表デビューを飾ったものの無名の存在で、大会はテレビ観戦する予定だったという。しかしサプライズでメンバー入りすると、エメルソンの負傷離脱を受けてルイス・フェリーペ・スコラーリ監督からボランチのレギュラーに抜擢される。大会では全試合に先発フル出場して堅守を発揮し、豪華アタッカー陣を支えて優勝に貢献。大会後にはアーセナルに引き抜かれた。絵に描いたようなシンデレラストーリーで、瞬く間にワールドクラスへと成長を遂げた。

エル・ハッジ・ディウフ/セネガル代表


オープニングゲームで王者フランスを破ったセネガルは、その後も快進撃を続けてベスト8進出という快挙を成し遂げた。組織的で縦方向へのスピードも備えた攻撃の中心にいたのは背番号11。ボールを持てば果敢に勝負を仕掛けて敵陣を切り裂き、両足の強烈なシュートでゴールを狙う。自身はノーゴールだったが、インパクトは誰よりも強烈だった。

ロビー・キーン/アイルランド代表


大会期間中、緑色のユニフォーム姿で街を闊歩するアイルランド人をどれだけ目にしただろうか。本国から大挙して押しかけたサポーターを前に、アイルランドは不屈の闘志を発揮しグループステージを突破した。彼はその象徴ともいえる存在で、グループステージのドイツ戦、決勝トーナメント1回戦のスペイン戦では、ともに後半ロスタイムにゴールを決めている。最後まで集中力を切らさずゴールをこじ開ける彼のプレーには、まさにエースの風格が漂っていた。

ミロスラフ・クローゼ/ドイツ代表


大会前は無名の存在だったが、マークを外す鋭い動き出しや驚異的な跳躍力を生かしたヘディングは群を抜いていた。初戦のサウジアラビア戦でヘディングだけでハットトリックを達成し、一躍注目を集めると、その後も着々と得点を重ね、5ゴールでチームの決勝進出に貢献。今大会では準優勝に終わったが、彼はその後もドイツの絶対的エースに君臨し、現在に至っている。

オリヴァー・カーン/ドイツ代表


過去2大会もメンバー入りしているものの、控えGKだったため出場なし。正GKとして、そしてキャプテンとして参戦した同大会で、彼は人生最高とも呼ぶべきパフォーマンスを披露した。高い集中力で相手の動きを見極め、堅実なセーブを見せるだけでなく、絶体絶命の場面では全身を投げ出してシュートに飛び込み、体の一部に当ててボールを弾き返す。堅守のドイツ、不屈のゲルマン魂を象徴する守護神に支えられたチームは、開幕前の低評価を覆して勝ち進み、ファイナルでブラジルと対峙する。ここでもファインセーブを見せていたが、ジウベルト・シウヴァとの接触で右手のじん帯を損傷するアクシデントに見舞われる。ケガを隠してプレーを続けたものの、リヴァウドの強烈なシュートは痛めた右手ではキャッチできず、ロナウドの先制点を許してしまった。日韓大会で彼が犯した、唯一にして最大のミスだった。

ロナウド/ブラジル代表


前回大会では、決勝前夜に突然の体調不良に見舞われ、ファイナルのピッチでは右往左往するだけだった。その後は2度にわたるひざの大ケガで2年近くもプレーできず、W杯開幕の数カ月前にようやく戦線復帰。ひざを壊す前のスピードと迫力はなかったものの、圧倒的なスキルと抜け目ない動きで勝負するフィニッシャーとして活躍した。トルコとの初戦でチーム初ゴールを挙げると、続く中国戦、コスタリカ戦でも連続ゴール。決勝トーナメントに入っても勢いは衰えず、ベルギー戦でチーム2点目、準決勝トルコ戦では相手のタイミングを外すトーキックを決め、チームを3大会連続の決勝へと導く。ドイツとのファイナルマッチでは、セレソンのエースとしてたくましく成長した姿があった。前半から幾度となくゴール前に攻め込み、相手の守護神オリヴァー・カーンを脅かすと、後半にはリヴァウドのシュートのこぼれ球を押し込み先制点を奪う。その13分後には、リヴァウドがスルーしたボールを冷静にトラップし、ゴール右隅に流し込んで追加点。5度目の戴冠は、彼抜きには達成できなかった。