2014.04.01

【緊急鼎談】日本代表ラストピースは誰だ? 国内組最終合宿メンバー23名を選んでみた


左から川端暁彦氏、玉乃淳氏、土屋雅史氏

4月7日より3日間にわたり、ブラジルW杯に向けた日本代表の国内合宿が行われる。W杯に臨むメンバー発表前、最後の合宿となる。これまで呼ばれなかった新戦力が呼ばれるサプライズは起きるのか? はたまた今までどおりのメンバーとなるのか。アルベルト・ザッケローニ監督の今回の合宿の狙いを探り、どんなメンバーが呼ばれるかを3人の識者に思う存分語ってもらった。

●鼎談参加メンバー●
土屋雅史(J SPORTS Jリーグ中継プロデューサー)/@m_tsuchiya18
「J SPORTS」のJリーグ中継プロデューサーで一時期は録画も含めて過去3シーズンJリーグ全試合を観ているという強烈なサッカーマニア。「ツチペディア」の異名を持つ。

川端暁彦(サッカージャーナリスト)/@gorou_chang
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。近著に『Jの新人』(東邦出版)がある。

玉乃淳(サッカー解説者)/@JUNTAMANO1
サッカー解説者。現役時代は東京ヴェルディ、徳島ヴォルティス、ザスパ草津でプレー。2009年に現役を引退し、現在はJ SPORTSでJリーグの解説を務めている。

――4月7日より3日間サッカー日本代表の国内最終合宿が行われます。アルベルト・ザッケローニ監督の合宿の狙いはどういうところになるのでしょうか?

川端 まずそもそものところで、ザックジャパンの強化プランは、これまでの日本代表と決定的に違っています。W杯イヤーをどう過ごすのかというところで、今まで日本はこの時期に国内組だけでAマッチをこなして強化していたんですね。それは2010年の岡田さんの時も変わらなくて、この時期は年初に親善試合をこなした上で東アジアカップに出たり、4月にはセルビアの国内組にボコボコにされたりといったことをやってきた。ところが今回は、インターナショナルAマッチデー以外に試合を組んでいないんですよ。そもそも、ザックは国内組のみのAマッチを基本的にやっていない。そしてそれはW杯イヤーでもぶれなかった。これについて、狙いは色々あると思います。国内組のみでやった時のデメリットとして、レギュラーのほとんどが抜けてしまうので、チーム作りとしてあまり意味がない、ということがまず挙げられます。ジーコジャパンの時は典型でしたが、国内組で活躍した選手が、海外組を呼んだベストメンバーの試合になると、皆ベンチになってしまう。これはむしろガス抜き効果の逆効果が生まれてしまっていた。だからザックは、ちゃんと海外組を呼べる時にしか試合をしないぞと。

――なるほど。

川端 それはある意味すごく“代表チームらしい”強化です。岡田さんの時もその前も、あるいはもっと前のトルシエの時もそうでしたけど、W杯イヤーにはおしなべて長期合宿を組んでいました。1月とか2月とかに、トータルで1ヶ月近く合宿を組むのが当たり前でしたが、それもやらない。じゃあその中で唯一例外とする今回のショートキャンプは何でしょうか、というところだと思います。

――土屋さんはどう思われますか?

土屋 川端さんがおっしゃったように、以前のように年始にキャンプを組まないのは、すでにメンバーがほぼ決まっているからなんじゃないかなと。これ以上チェックする部分もほとんどないということですね。今回の代表は、今までと比べても、協会とも、Jリーグとも円滑に物事が進んでいるチームだと思います。あえてシーズンが始まる前にキャンプに呼んで、選手のコンディションを見るまでもないと。今回の合宿も、おそらく呼ぶメンバーは、今まで呼んだことがあるメンバーになると思います。それ以外で入ってくる選手はほとんどいないのではないでしょうか。ザックは単純に、最後にもう1回「自分のサッカーはこういうものだ」というところを見せて、その中でピックアップする、それだけの合宿という感じがします。目新しいこともないし、やらないのではないかと。この合宿の意図が発表されているわけではないので、なんとも言えないところではありますが。

玉乃 多分、もうザックの頭の中で21人ぐらいは固まっていると思うんですよ。じゃあ、あとの2人を選ぶ合宿かというと、そういうわけでもない。最後の調子を見て決めよう、ぐらいには思っていると思うのですが、そこはこの合宿で選ぶという感じではない。そう考えていくと、ザックはバックアップメンバーを考えているのかなと。内田(篤人)、長谷部(誠)だけでなく、例えば長友(佑都)もけがをしました、本田(圭佑)も香川(真司)がけがをしてしまった、という日本代表が野戦病院になってしまうような事態に備えておくと。ザックというのは、代表監督として非常に慎重派で、リスクをマネジメントするというか、万が一に備える人だと思うんですね。ですから今回の合宿は、その万が一に備えるための合宿なのだと思います。

――4年間同じやり方だったという話がありましたが、この時期は協会の収入面を考えても国内で試合をやりたいというのはあると思います。ザックだけがこの時期に試合をやらないほうがいいと考えていたのでしょうか?

川端 そこは正直わかりません。ただ協会と揉めている印象もないので、ザックの意向ではなくて、もしかしたら原(博実)さんの意向なのかもしれません。

土屋 僕はそこが結構重要だと思っています。原さんが協会に入ったことで一番大きいのが、協会とJリーグのパイプができたというところですね。そこの関係がすごく円滑になったと思うんですよ。Jリーグの人ともいい関係を築いている原さんが、協会の専務理事になり、Jリーグからも歓迎されているみたいなんです。風通しが良くなると。原さんと、その下にいる霜田(正浩)さんですね。霜田さんはザックを原さんと一緒に連れてきた人と言われていて、先日U-21の監督まで務めた人でもあるのですが、とにかくその2人はザックと上手くタッグも組めるし、Jリーグとも協会とも話ができる。まさにキーマンですよね。


川端 その上で今回の合宿のメンバーを予想するとなると、国内組の当確選手たちを呼ぶかどうかというところだと思います。例えば山口蛍や柿谷曜一朗、遠藤保仁を呼ぶのか、呼ばないのか。原さんはその辺の言葉を濁していたので、ちょっとそこがわからないですよね。

土屋 紅白戦ができるぐらいの人数は呼ぶというのは、原さんが明言していました。そうなると、大体22から24人ぐらいですよね。東アジアカップは23人のメンバーを呼んでいますよね。僕はほぼそのメンバーになるのではないかと思っています。人数的にもちょうど合う。大迫勇也が海外に移籍して、1つ枠が空くので、そこに誰が入ってくるのかなと。

川端 (山口)蛍とかも呼びますかね。

土屋 呼ぶんじゃないでしょうか。

川端 僕は当確組を呼ばないと思います。遠藤、山口、柿谷、今野泰幸、その辺はないかなと。逆に原さんが入れておきたい若い選手を入れてくるんじゃないかと思っています。

土屋 リオ五輪のためということですか?

川端 そうですね。先日のU-21の合宿もザックが見に来ていたようですし。今回のW杯でもサポートメンバーを連れて行くと思うので、多分そこで手倉森誠さんが「この選手どうですか、あの選手どうですか」みたいな話もしているはず。前回のサポートメンバーから酒井高徳や香川真司がA代表に入っているので、同じことをやろうとしているかもしれないな、と。ザックのサッカーを何も分からずに、サポートメンバーとして合流されても迷惑だから、この合宿で1回やらせておこうというのはあるんじゃないかなと。あの時は香川、酒井、山村和也、永井謙佑を呼んでいたので、大学生もあるかもしれません。

玉乃 僕は新戦力を呼ぶと思いますね。呼んで、試したけど、最後に外す(笑)。そういう伏線を張るための合宿なんじゃないかと。

川端 それはありえますよね。例えば川又堅碁を合宿には呼んで、最終的には入れない、と。でもそれは同時に、「大迫や豊田がけがをした時には呼ぶよ」ということと1セットですよね。だから、外す前提で選ぶわけじゃないけど、今のところ選ぶつもりはなくて、万が一の時に備えたい、というのはあると思います。

土屋 ポジションで変わってきますよね。今から後ろの選手を呼んで、ザックのやることを浸透させて、本番に間に合うのかというと多分難しい。そうなると呼ばれるのは前のほうの選手だと思うんですよね。ただ、今報道で招集が騒がれている塩谷司は、今シーズンもすごくパフォーマンスが良いですよね。彼が呼ばれるのか呼ばれないのかで、今回の合宿の意味合いみたいなものがわかるような気もします。塩谷が呼ばれた場合は、選考合宿みたいな意味合いもちょっとあるのかなと。

玉乃 森重(真人)は呼ばれそうですけどね、当確とはいえ。

川端 まだ先発に定着しているわけではないので、教えておきたいというのはあるかもしれないですね。

玉乃 僕は当確組も呼ぶと思います。今回の合宿が3日間なので、3日間なら招集してもクラブから文句を言われないでしょうし。

川端 毎年1ヶ月やっていたのが、今回は3日間だからといったらクラブは文句言わないですね。これは5日でも文句は出なかったと思う。あえて、3日でいいという判断ですよね。

土屋 時期が時期だと思うんですよ。これが1月だったら話が違うんですが、この時期で新しい選手を多く呼ぶ必要があるのかなと。W杯まで4、5ヶ月あったら、その合宿で「おっ!」て思った選手を、その4、5ヶ月で、11人の中に入れるような教え方とか指導とかもできると思うんですけど、もうそれはできない。と考えると当確組も含めた現状の呼びたい23人を優先して呼ぶのかなと。

川端 国内組ザ・ベスト23みたいな。まあ、そうかな。そうですね、そうなりますね。だからそうじゃないと、W杯という意味では、あまり意味がない。確かにそうですね。

玉乃 ということは、今回の合宿で呼ばれなかった人は、W杯本番では呼ばれないということですよね。

川端 予備登録30人なので、ここに呼ばれなかった人はまず入らないでしょう。

玉乃 じゃあびっくりサプライズはないってことですかね。ここで呼ばれなくても、いきなり闘莉王とか。

川端 こっそり予備登録に入れておくことはできますけどね。そもそも予備登録は5月の中旬だけど、予備登録期限の前に23人発表するんじゃないかって言われていますからね。


――今シーズン調子のいい南野拓実選手について玉乃さんはどう思われますか?

玉乃 呼ばれるんじゃないでしょうか。この合宿も本番のW杯も。理由は、外国人監督は、必ず一人はタレント性のある若い選手をW杯に連れて行くからです。過去のいろんな国を振り返ってもそうです。例えば(元東京V監督の)アルディレスは当時15歳の森本貴幸を使いましたよね。日本人監督だとまずそんなことはしない。ザックはバランスの取れた人とはいえ、一人は若い選手を入れていくと思います。南野は今年の活躍見る限り、普通に選ばれてもおかしくないぐらいの活躍ですからね。

—―南野がザックジャパンに入るとしたら、どのように起用されるかイメージはありますか?

玉乃 香川のポジションですね。もしかしたら香川がこのまま調子悪い可能性もあります。そうなると香川に代わるベテランの選手は入れにくくて、若いからOKというのはあります。監督だったらそう思うんじゃないでしょうか。「好きにやってこい」というカードになります。

川端 左サイドは齋藤学か南野かっていう争いですね。原口元気もいます。

玉乃 齋藤学もいいですね。

川端 齊藤は乾貴士の立場を奪い取ったような状況ですよね。左サイドのドリブラーで、途中出場で流れを変える役割。

玉乃 乾は今のままじゃ呼ばれないですかね?

土屋 所属チームでも厳しい立場ですよね。2列目は競争が激しいですよね。東アジアカップは、本番まで1年切った時期でしたが、2列目だけでなく、全体的に新しいメンバーを呼びました。僕は正直あそこでそんなにメンバーは入れ替わらないと思っていたんですよ。でもあそこから柿谷が入ってきた。

川端 大迫、森重、蛍、工藤らが入りましたね。

土屋 工藤は右サイドですが、当落線上だと思います。現状は岡崎のバックアップ。そこを清武と争っている。工藤の場合ちょっとかわいそうなのは、右サイドが本職のポジションではないこと。柏でも右サイドで使われていることがありますが、一番前のポジションをやってこそ、本来の能力を発揮できる選手。現状の捉え方はタイプ的に岡崎のスペアで、そこに更に岡崎と工藤とも違うタイプの清武がいると。

川端 もし、岡崎がけがしたらどうするんだっていうのは、今のザックジャパンを見てると恐怖感ありますよね。

土屋 そうですね。守備もできて一番点を取っている。一番欠かせない選手ですよね。

玉乃 そういう意味で、工藤は岡崎のスペアとして取っておきたいっていうのは監督として当然だと思いますね。普通に考えると、岡崎のバックアップは清武でいいかと。ただ、もう一つあるのが、実は本田のサブがいないんですよね。そこをどうするのか。香川が中に入るのを本田のいない場合のオプションと考えると、サイドミッドフィルダーの枠が1個増えます。だから工藤と、清武と岡崎の3人が選ばれるという可能性も僕はあると思うんです。

――この段階で2列目に新戦力が呼ばれる可能性はありますか?

土屋 今シーズンを見ていて、ムラはありますが、おもしろいなと思ったのは鹿島の遠藤康なんですよ。左利きで、ゴールへの意識がだいぶ高くなっている。体幹も強い。仙台カップ(かつて仙台市で行われていたU-18・19年代の国際ユース大会)ぐらいでしか国際試合で見たことはないのですが、外国人相手でも当たり負けしないんじゃないかなと思います。いろんな意味で使い勝手が良いので、呼ばれてほしいなと思う選手ですね。


――先ほどの話にもありましたが、塩谷選手は呼ばれると思いますか?

川端 僕は呼ばれるとは思っていません。呼ばれるとしたら、それこそ土屋さんが言っていたように、以前呼ばれていた水本裕貴のほうに可能性がある。ディフェンスなので、今さら新しい選手を呼ぶというのは、ザックさんみたいな慎重なタイプはやらないかなと。

土屋 水本は東アジアカップには選ばれていなくて、あの時は千葉和彦が選ばれています。でも、それまでずっと選ばれていた水本のほうが、東アジアカップに呼ばれた千葉よりは可能性が高いと思います。

川端 塩谷のパフォーマンス自体は去年がスペシャルだったと思うので、呼ぶならむしろ去年だった。去年呼ばなかったので、今さらないかなと。塩谷の力というか、能力的には、次のW杯が狙える選手ではあると思うのですが、今年のW杯となると、難しいかなと。

玉乃 国際経験が少ないですもんね。

川端 そう、そこは致命的で、ザックがどこまで気にするかはわからないですが、多分原さんは気にすると思います。塩谷は年代別代表も含めて、国際経験がない選手。W杯2ヶ月前のタイミングで、初招集というのはとてつもないギャンブル。そのギャンブルをザックはしないだろうと思います。逆に原さんがその次のW杯を考えた選考を今回の合宿に求めて、あえて若い選手をいっぱい選びます、ということになった時は、塩谷も入ってくると思います。ただW杯の舞台に行く選手としてザックが選択するかというと、しないかなと。

玉乃 確かに選びにくいですよね。ザックは攻撃的なセンターバックを今求めていないですからね。失点を恐れているザックが、いきなり攻撃的なセンターバックを呼ぶとは思えない。

土屋 対人の能力だけで考えても現状今の代表のセンターバックと比べて遜色ない。今シーズンはリーグ戦でもACLでも得点を取っていて、得点力だけがフィーチャーされていますが、彼の持ち味はそこだけじゃない。対人がとにかく強い。そこは多分森重、今野、吉田(麻也)とも同じぐらいのレベルでやれる。ただ、僕はさっき言ったように、この時期に後ろの選手は新たに呼ぶ可能性はないと思う。個人的にはかなり好きな選手なんですけど。

川端 僕もすごく評価しているんですけど、では塩谷がコートジボワール人相手にどうかというのは予想がつかないし、本人もわからないと思う。もしかしたら、はまるかもしれない。でも、はまらないかもしれない。それは博打じゃないですか。オフェンスの選手だったらそれでもありですけど。ディフェンスの選手で、国際経験がない選手をここで呼ぶというのはないかな。

玉乃 呼ばれるとしたら、東ヨーロッパ遠征で惨敗した2試合の後でしたよね。

土屋 けがをした場合のことも、ザックはシミュレーションしていると思います。2006年のドイツW杯の時は、直前までハワイにいた茂庭照幸が、突然の追加招集という形で試合に出てるじゃないですか。茂庭が呼ばれた是非は置いておいて、茂庭が出る可能性もあったということ。バックアップの、更にバックアップぐらいに考えていた選手も出る可能性があるということです。ザックは当然そこまでシミュレーションをしているでしょう。川端さんがおっしゃったみたいに、ザックは最終ラインで博打する監督ではない。特にセンターバックは、確実に自分の手元に置いて、ある程度自分のやり方も把握している選手を重用しますよね。少なくとも10人ぐらいは今まで招集した選手がいるわけだから、その中から選ぶでしょう。

川端 そうなった場合、鈴木大輔を選ぶと思います。

玉乃 バックアップは重要性が高いですね。偶然かもしれないけど、これまでバックアップメンバーが出場する機会は多かった。東アジアカップの時はバックアップメンバーだった徳永悠平が出場した。2006年は、サプライズ招集の巻誠一郎も出場機会があった。今回もバックアップに入った選手は出番があると思います。だから、バックアップメンバーに選ばれた選手には頑張って欲しいです。


――川又堅碁選手はどうでしょうか?

土屋 去年あれだけJリーグで結果を出しているわけじゃないですか。ザックは新潟の試合も川又を見ようと足を運んでいます。今までの監督史上、4年間で一番Jリーグを観に行っている監督であるザックが、23点取った選手を呼ばないということは、今シーズンがどうであれ、そもそもザックが呼ぶようなタイプの選手ではないのではと思います。理由はわからないですけど、ザックの考えているFW像とは多分一致してないんだと思います。それは大久保嘉人も、佐藤寿人もそうで、恐らくゴール数だけじゃないところで判断しているんですね。

川端 国内組の1トップは豊田、柿谷で以上、みたいな感じですかね。

――あえて新戦力を選ぶとしたら?

土屋 ベテランとか若手とか関係なく、僕が実は一番代表で見たい選手は広島の石原直樹なんですよ。能力的には代表に呼ばれてもおかしくない選手ですよね。

川端 実際、アジアカップの予備登録メンバーに入っていましたよね。

土屋 1トップもできて、トップ下もできて、サイドハーフもできる。身長の割には空中戦にも強くて、シュートセンスもあるし、守備もできます。呼ばれる可能性は低いと思うのですが、どうしても石原の名前は出しておきたかったですね。

――他にはそういう選手いらっしゃいますか?

土屋 けがの状態で恐らく間に合わないと思うのですが、代表のジョーカーになりうる存在として宇佐美貴史にはずっと期待していたんですよ。去年の後半戦の実力からみて、今年の前半戦の12節ぐらいまでで大活躍して、多分最終的にW杯のメンバーに入ってくれると思っていたんです。もし、けががなかったら、ザックはどう思っていたのかな。去年の彼のJ2での活躍は、外国人の助っ人ストライカーみたいでしたよね。J2だからってことを超えるぐらい、力を発揮していましたよ。あとは、大前元紀もいますし、小林悠も良いですよね。

川端 小林悠は岡崎枠の選手ですよ。もともとザックの大枠に入っていた選手ですよね。

土屋 李忠成はどうなんですかね? しばらく呼ばれていましたよね。アジアカップ優勝に貢献した選手ですからね。

川端 日本に戻ってきて、今は浦和でレギュラーじゃないですからね、さすがに呼ばないでしょう。

土屋 今回の合宿では前田遼一は呼ばれないんでしょうか。それ自体、どうなのかなと。ザックジャパンで最も貢献してきたFWですからね。柿谷と豊田がいるとちょっと呼ばれにくいのはわかるのですが。

川端 もし今回の合宿で26,7人選ばれるならば、万が一の枠で、前の選手は佐藤寿人も呼ばれる可能性もあるかもしれないですよね。W杯は気負ってけがする選手も増えるので、緊急事態に備えるというのは考えられますよ

川端 今回の合宿で呼ばれるサイドバックは左右それぞれ2枚ずつの4枚でしょう。1枚は駒野が呼ばれると思いますが、残りの3枚はどうなるかというところでしょう。
 
土屋 多分、槙野智章と森脇良太は呼ばれるでしょう。槙野はサイドバックとして考えられていて、無観客の試合も、ザックが見にきていました。そういうことを考えるとこの2人は多分呼ばれると思います。

川端 東アジアカップは、槙野、森脇、徳永が呼ばれていたので、一番オーソドックスな選択ですね。最近、森脇のパフォーマンスは決して高くはないですが。ザックは左利きの左サイドバックを探すのを諦めたように感じます。太田宏介と橋本和が引っかかっていたのですが。本当は左利きの左サイドバックが欲しかったけど、どこかで諦めをつけたんだろうなと。今でもザックはどこかで左利きのサイドバック欲しかったなと思ってはいるでしょうね。

土屋 左利きじゃないですが、僕は安田理大を推したいですね。今シーズン鳥栖ですごくパフォーマンスが良いんですよ。今年はもう3アシストしていて、チームも調子が悪くない。彼自身のパフォーマンスも悪くない。安田はフィテッセ時代にもザックジャパンに呼ばれているんですよね。だから駒野友一との選択になると思いますが、安田は右利きなので、最悪右のサイドバックもできますしね。

川端 Jリーグで活躍している小林祐三はどうですか?

土屋 小林祐三はJリーグのパフォーマンスだけみたら絶対入ってもおかしくないですよね。

川端 でも招集まではちょっと厳しそうですね。

――ボランチはどうでしょうか?

土屋 個人的に何で呼ばれないのだろうなと思っているのが阿部勇樹です。2011年、12年は呼ばれていて、レスターに移籍した時も呼ばれていたんですよ。浦和に戻ってきてからあまり呼ばれなくなった。彼はセンターバックもできるし、ボランチもできるし、サイドバックもできる。前回のW杯も経験している。マイナス要因がほぼないんですよ。だけど、2012年以降かな? 一回も招集ないですよね。

川端 何かあったのかな合宿で?

土屋 そんな気もするんですけど。阿部はレギュラー候補でもおかしくないのに、不思議だなと思って。前回W杯杯は直前で布陣の変更があって、アンカーで全試合に出て、彼がMVPだっていう人も多くいたぐらいの活躍も見せている。海外経験も申し分ない。何かあったのかなと思っちゃいますよね。

玉乃 でも何かを起こすような選手じゃないですよね。

――佐藤寿人、大久保、闘莉王はファンからもメディアからも待望論が出ています。彼らが入らない理由は?

土屋 大久保に関しては、2012年のアイスランドの国際親善試合の時に呼んでいます。ある程度キャンプの時間もあった試合で、スタメンで出たので、当時は高い評価があったんですよ。でもその後一回も呼ばれていない。去年リーグ戦であれだけ活躍する前の招集だったけど、恐らくその時のタイミングである程度ジャッジしたんでしょうね。それは、どれだけゴールを取っているかではなくて、このチームに合うか合わないかみたいなこと。2012年のアイスランド戦は、2013年の東アジアカップの前に国内組をかなり集めた試合だった。そこから生き残っている選手はほとんどいません。近藤直也、増田誓志、田中順也、石川直宏らですね。逆に言うと、そこで一回呼ばれているので、もう一回呼ばれるかもしれないですよね。

川端 ベテラン招集ということなら、中村憲剛。本田のサブがいない状況なので、トップ下のスペアが憲剛になる可能性はある。この合宿では呼ばなくても本番にしれっと呼ぶ、みたいなこともあるかもしれません。本番だけ呼んでも、やれそうな選手ですしね。輪に溶け込むという意味でも問題ないでしょうから。そういう意味で言うと、闘莉王、大久保は、いわゆるベンチのベテラン枠として適切な人材ではないかもしれない。彼らが悪いとかではなくて、我が強い選手たちなので、キャラクターとして、“ベンチ・ベテラン枠”としては不適当な選手たちだなと。彼らの能力は間違いないですよ。でもキャラクター的にあんまり向いてないと思います。一方、憲剛は向いているように思いますね。


――だいぶ長くなりましたが、この合宿の狙いを踏まえて実際合宿にはどんなメンバーが選ばれるのか。それぞれのポジションに二人ずつ選んで22人、プラス控えGKの23人を選んでいきたいと思います。まずはGKから選んでいきましょう。

土屋 個人的に東口が好きなので、東口を選んでほしい。

川端 実力だけではないと思うんですよこの枠は。ワールドカップの3人は川島、西川、権田が当確で、今回合宿に呼ばれるのは、実質“第4GK”となる枠ですよね。今の3人に何かあった時に、第3GKとしてメンバーに入るという位置づけ。

玉乃 となるとGKコーチが決めるんじゃないですか。

川端 そういった意味でも“ベテランベンチ枠”意味で、林卓人なのかなと。

土屋 過去で言うと98年の小島伸幸、2010年の川口能活枠ですよね。

川端 逆に「西川や権田を追い落としてやるぜ!」という極端な意気込みで来られても監督は困ると思います。

――となると西川、権田、林の3人で決まりですかね。サイドバックはどうなるでしょうか?

川端 右サイドバックは駒野が決まり。

土屋 次点で徳永か森脇か。

川端 ここのサブ組、所謂国内組のサブ組は若手を呼ぶ可能性もあるんじゃないかと思います。それは原さんの意向を踏まえる部分と、サポートメンバーの選考ということがあるかなと思っています。その意味でGKは林にしましたけど、GKも実はリオ五輪世代の超若手を選ぶ可能性もありうると。

土屋 左のサイドバックは安田が来たら面白いですけどね。絶対活躍してくれそうな気がしますけどね。

川端 安田あるんじゃないですか。槙野が当確で、その次に安田と太田が競り合っている状況ですが、ここは安田にしましょうか。


――ではセンターバック4枚。森重、今野、伊野波が当確ですよね。あと1枚は?

川端 鈴木大輔か栗原勇蔵か。

玉乃 栗原は今可能性低そうですよね。

土屋 鈴木なら次も見据えられますよね。恐らく次の4年後は主力になるような選手。レイソルでも、序盤は右サイドバックで出てましたけど、かなり安定感ありましたよ。

――となると最後の1枚は鈴木として、ではボランチは?

川端 中盤はだいたい決まっていますよね。山口、青山、遠藤、高橋秀人。これでもう4人。終了ですね。

土屋 ここは本当に余地がないですね。

川端 扇原も今試合に出てないし、可能性は低いでしょう。

――次は2列目の両サイドですね。

川端 工藤、斎藤は当確でしょ。原口もよばれそうですね。

土屋 ザックも先日浦和戦に足を運んでいましたから。あとは南野で決まりじゃないですか。

――トップ下はどうしましょう?

土屋 高萩はコンディションが、全然トップまで来てないですよね。

川端 でも6月に向けて選ぶという意味では、今コンディションが悪い選手でも呼んでおくというのは、なくもないですよ。現時点での調子の良し悪しにはそこまで大きな意味はありませんから。だから高萩はあるかもしれない。

玉乃 いや、ないんじゃないかなぁ。ザックは見極めましたよね。どちらかというと憲剛かな。

――高萩はどんなところがザックのお眼鏡にかなわなかったのでしょうか?

玉乃 理由は分からないです。東アジアのときも、決して悪くなかったですけどね。

川端 悪くはなかったけど、特段に良くもなかったですよ。

玉乃 ザックは高萩に対して相当なフラストレーションを溜めていましたよね。トップ下に対してザックは要求が高いと思います。どちらかというと、柿谷を下げて、前に豊田のほうがありそうな気がしますよね。枠をもう一個前に作るという意味で。

――となるとトップ下を決める前に、2トップは柿谷と豊田で決まりですね。他にトップ下の候補になる選手はいないでしょうか?

川端 やっぱり中村憲剛はあるかもですね。柏木は最近呼ばれていないし、なさそうです。

土屋 今までで呼ばれたことがある選手で考えると、藤本淳吾は今良いと思うんですけどね。でも、もう構想外な気もします。それこそアジアカップの優勝メンバーですからね。初期の頃の主力だったから。

川端 あとは磐田の山田大記。

土屋 主力中の主力ですけど、去年は、今野と遠藤をJ2から呼んでいたり、今回も駒野を呼んでいたりしていますから。多分J1、J2にこだわっているわけではないですよね。

玉乃 僕はトップ下は呼ばない気がします。本田がダメなら香川、ダメだったら柿谷って考えている。このチームにおいてトップ下は相当大事な役割だから、他をいじると思うんですよ。

川端 あとは大迫トップ下も考えていると思う。東アジアカップで実際やっていたし。

玉乃 だからそこに高萩と山田の可能性は低いと思います。あえてサイドの選手とかトップの選手とか、どちらかをもう一枚増やす。岡崎もワントップできるし、そうなったらサイドハーフを一枚増やせる。サイドで運動量がある選手は人数的に厚みを持っておきたいと。

川端 柏木、高萩もそうですが、やっぱりトップ下にザックは凄くこだわっているというか、厳しいですよね。要求水準が高い。本田しかザックを満足させていない。

土屋 憲剛で厳しかったら他の選手は厳しいですよね。

川端 本田のサブはずっと憲剛できていたんだけど、それがここにきてしばらく外れてしまった。今はサブがいない状態になっていますからね。

玉乃 ワントップにサプライズ枠で川又か大久保が来るんじゃないですか?

土屋 大久保は本田の次にザックが求めるトップ下の適正がありそうですけどね。守備も頑張れるし、ボールも持てる。

――4年前の時も大久保は、ワールドカップ直前まで全くレギュラーではなかったけど、最後に一気に入っていきました。試合に出ても、ピッチ上で全然フィジカル負けしないし走り負けしない。アテネオリンピックの時もそう思ったんですが、ああいう世界のトップの舞台で自分の力を120%発揮できる選手なのかなと。

川端 ただ、先発してこその選手だと思う。

――岡田監督が選んだ理由も「野性味が一番あるから」と話していました。でも世界で戦えるってそういうことですよね。

川端 大久保は、けが人が出て、先発で使う可能性が生まれたら入るかなと。「ベンチに90分置く場合もあるよ」という状況だと、あんまりおすすめできない選手だと思うんですよね。

土屋 大久保は意外と代表の試合で点を取っていないですよね。54試合に出て、5得点です。

川端 めちゃくちゃ気負ってしまう選手ですよね。代表戦ではそれが出てしまっている。

土屋 ザックがどこで点を取ろうとしているかというのもあると思います。ワントップで取ろうとしているのか、2列目で取ろうとしているのか。ワントップには個性ある選手を求めてない感じもするので。大久保がトップ下だったら確かに面白い気はしますけど。現状はなかなか難しいですよね。

川端 A代表全体を考えると今、トップ下のサブが空席なのは間違いない。今回、国内組の合宿で試す可能性は十分ある。もの凄く意外な選択があるかもしれない。もしかしたら、トップ下で南野が入ってくるかもしれない。南野は本来トップ下の選手ですからね。

――最後に今回の合宿には若手からは誰が入るでしょうか?

川端 直近で行われたU-21の合宿から何人か入るでしょう。新聞でも報道があったように、岩波拓也は可能性ありますよね。現在3人の当確センターバックである今野、森重、伊野波で、あと一人どうしようということで、そこに若手を入れる可能性はあるかなと。

玉乃 リオ五輪の枠からGK4人目ってことなら、清水の櫛引はあると思いますね。今回の合宿では当然手倉森誠さんの推薦枠があるはずですからね。

識者による国内最終合宿メンバー予想23人

GK
林卓人(広島)/西川周作(浦和)/権田修一(FC東京)

DF
駒野友一(磐田)/徳永悠平(FC東京)/今野泰幸(G大阪)/鈴木大輔(柏)/伊野波雅彦(磐田)/森重真人(FC東京)/槙野智章(浦和)/安田理大(鳥栖)

MF
遠藤保仁(G大阪)/高橋秀人(FC東京)/山口蛍(C大阪)/青山敏弘(広島)/工藤壮人(柏)/齋藤学(横浜FM)/原口元気(浦和)/南野拓実(C大阪)/中村憲剛(川崎)

FW
柿谷曜一朗(C大阪)/豊田陽平(鳥栖)/大久保嘉人(川崎)