
昨季3冠のバイエルン・ミュンヘンが優勝候補筆頭、ドルトムントも史上最大規模の補強で王座奪回狙う
いよいよ2013-14シーズンの開幕を迎えるドイツ・ブンデスリーガ。開幕を前に、FOXスポーツではドイツサッカー協会(DFB)の公認S級ライセンスを所持し、今シーズンもFOX SPORTSでブンデスリーガの解説を務める鈴木良平氏にシーズンの展望を語ってもらった。
――今季もバイエルン・ミュンヘンが優勝候補の筆頭であることは間違いない。昨シーズン3冠を達成し、そのメンバーが全員残っている。さらに、世界最高の監督と言われているペップ・グアルディオラ監督を招聘した。ゲッツェだけではなく、監督が一番に希望していたチアゴ・アルカンタラというバルセロナの選手も獲った。これが何を意味するかというと、GK以外では誰がケガをしても、同じレベルのバックアッパーが揃ったということだ。長いシーズンを戦う上で、それはすごく重要なこと。そのなかでペップが何をやるかということが一番注目されている。
ハインケスが作り上げたチームの完成度は高いが、ここまでのプレシーズンを見ている限り、ペップはバイエルンの今までのやり方を崩して、バルセロナでやってきたようなゼロトップを試す可能性もある。ダブルボランチではなくワンボランチにして、システム的には4-1-4-1を取り入れたいようだ。
このように、ペップがバルサ流のやり方を取り入れているのは間違いないと思うが、メッシのポジション(センターフォワード)に誰を使うのかというのが、決めかねている部分だと思う。負傷離脱中のゲッツェがこのポジションのナンバー1候補ではないかという見方もできるし、それはリベリーなのかもしれないし、はたまだロッベンなのかもしれない。この辺りは適正をみて決めるはずだ。
一方、そのバイエルンの対抗馬と目されるドルトムントの補強も、非常に上手くいっている。ゲッツェの抜けた穴にムヒタリアンを補強。さらにレヴァンドフスキが抜けるかもしれないという想定の下、オーバメヤンを獲得した。2人とも非常にレベルが高く、間違いなくフィットするだろう。センターバックの控えのサンターナがいなくなった穴も、ソクラテスで埋めた。
さらに、下から上がってきた若い選手も成長している。そういったことを考えるとレベルダウンはまずないし、逆にレベルアップしているとも言える。スーパーカップを見ればわかるように、ドルトムントはバイエルンを4対2で粉砕した。もちろん、ホームゲームだったということも考慮しないといけないが、力があるというのは間違いない。
ただ、問題なのは、ドルトムントがブンデスリーガを2連覇した時は、ヨーロッパの舞台ではほとんど活躍していなかったということ。逆に昨シーズンはその反省を踏まえて、チャンピオンズリーグ(以下CL)にかなり力を入れて決勝まで進出した。ところが今度はブンデスリーガの方で取りこぼしが増えた。
これはなぜかというと、バイエルンと比べて選手層に大きな隔たりがあるからだ。トップの11人だけを比べたら間違いなくバイエルンにも勝てる力を持っている。ただ、1シーズンを考えた時に、ブンデスリーガとCLの両方で力を発揮するためには、もうちょっと選手層を厚くしなければいけない。
その辺がドルトムントの課題で、今のところそこまでは手をつけられていない。ベスト11に対し、FW、MF、DFどこかの1人が欠けた場合は何とかカバーができる。ただ、11人全員をカバーすることはまだできていないし、そこがドルトムントの悩みといえる。打倒バイエルンの最有力候補であることは間違いないが、年間を通して考えると、バイエルンがやはり有利だ。
バイエルンとドルトムント以外でも、今シーズン面白そうなチームがいくつかある。なかでも大化けするかもしれないのがシュトゥットガルト。さらにメンヒェングラートバッハにも注目だ。
シュトゥットガルトは岡崎が抜けたが、その穴も十分に埋まり、バイエルンやドルトムントとは比較にならないにせよ、各ポジションに2人の選手が揃っている。また、FWでは昨季はイビシェヴィッチ1人に頼っていたが、今年はハノーファーから加入したアブデラウエをはじめ、センターフォワードに同じレベルの選手が3人ほど揃っている。そういう意味でシュトゥットガルトは面白い存在のではないか。
メンヒェングラートバッハは、どちらかと言えば非常に若いチーム。ホッフェンハイムはもっと若いし、こちらも大化けする可能性を秘めているが、メンヒェングラードバッハにはなんといっても実績がある。一昨シーズンは4位。昨シーズンはヨーロッパのカップ戦の出場権は取れなかったものの8位に入った。常に一桁の順位を確保している実力のあるクラブだ。
今シーズンは、補強が必要なポジションに、ある程度の補強ができた。それと、このチームには非常に若くていいタレントが多い。このタレントがそろそろブンデスリーガの水に慣れて、いいプレーができるようになっていくのではないかと、個人的には思っている。
語り手:鈴木良平