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ザックジャパンの新戦力に求められる「高さ」

2013.07.13

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文●岡田康宏(サポティスタ) 写真●足立雅史

15日、東アジアカップに挑む男子日本代表のメンバーが発表される。

「コンフェデ杯まではこれまでのグループ、これまで主役を演じてきたメンバーで構成する。コンフェデ杯が終わったら、全員がスタート地点に戻り、そこから競争が始まるということになる」

コンフェデ杯の前、W杯最終予選イラク戦の前日会見でザッケローニ監督自身がこう語ったように、コンフェデ杯後のこの大会は、W杯本大会に向けたチーム作りを始めるその第一歩であるし、レギュラーの大半を占める欧州組の選手たちが招集されないことも含めて、この大会で新戦力の発掘を期待する声は大きい。

12日発売の「サムライサッカーキング」では中でも最も期待の高い3選手、柿谷曜一朗、柴崎岳、豊田陽平をピックアップしてロングインタビューを行なっていたし、その他、佐藤寿人、大久保嘉人、工藤壮人、渡邉千真、大迫勇也、原口元気、川又堅碁、山田大記など得点ランキング上位に名を連ねる前線の選手たちの台頭を期待する声は大きい。DFの中心として田中マルクス闘莉王の復活を望む声もある。

サムライサッカーキング 8月号
https://www.soccer-king.jp/media/ssk

ただし、ただ願望を並べるなら、好きな選手の名前を挙げればいいだけだが、現実的な新戦力というものを考えるならば、やはりザッケローニ監督の戦い方、選手起用の傾向をしっかりと見ていく必要がある。

ザッケローニ監督が就任当初から重視しているポイントは「バランス」だ。彼はチーム全体のバランスを常に考慮にいれながら選手を起用していく傾向がある。たとえば最近、名前のよく挙がる期待の新戦力には前線の選手たちが多いが、ザックは攻撃的な選手交代を行う際も、攻守のバランスを極端に崩すような交代を好まない。このとき、地味に大きなポイントとなるのがセットプレーの際のディフェンスだ。

ザックジャパンの過去のデータを見ると、たとえば本田圭佑が不在の際は勝率や得点力も落ちるが、それ以上に大きな影響を受けるのが守備の面で、特に本田がいるときといないときでは日本代表の失点は3倍以上に増える結果がでている。

朝日新聞による「本田圭佑がいる時といない時の比較」記事がおもしろいと話題(footballnet)
http://footballnet.2chblog.jp/archives/27932314.html

また清水英斗さんが以下のコラムで指摘したことだが、ザックジャパンのセットプレーからの失点を分析すると、セットプレーの跳ね返し要員に本田圭佑、前田遼一の2人が揃っているときは安定しているが、そこが一枚足りなくなると守備の安定感が極端に失われる。

【第15回】なぜ、ザックジャパンはセットプレーに弱いのか? コンフェデ総括・(清水英斗)
https://cakes.mu/posts/2306

だからザッケローニは、例えば前田を下げるときは、長身のハーフナーを入れたり、DFの栗原を入れて長友と本田を一列前に上げたり、または最初から右サイドに内田ではなく酒井宏樹を起用してみたり、セットプレーの際にヘディングで競れる選手の枚数を確保しながら選手を入れ替えることが多い。ボランチで高橋秀人が呼ばれ続けているのも、おそらくは彼の高さを期待してのことだろう。

それを踏まえて、先に挙げた期待の新戦力を見ていくと、アタッカー陣には小柄な選手が多く、180cmを超える選手は豊田陽平、渡邉千真、大迫勇也、川又堅碁くらい。彼らは新戦力候補として間違いなく有利な武器を持っているし、逆に小柄な選手たちが起用されるためには、それ以外のポジションで「高さ」のある選手の台頭がセットとして求められるだろう。

今後、ザックジャパンの新戦力を見ていく際には、一つこの「高さ」という基準にも注目して見てもらいたい。

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