2017.02.08

【サッカーに生きる人たち】子供たちに寄り添い、ともに歩んでゆく|永井俊太(柏レイソルU-18監督)

編集者、サッカーライター、スポーツカメラマンを目指す人のためのアカデミー

 明神智和、近藤直也、大谷秀和、酒井宏樹、工藤壮人、指宿洋史、茨田陽生、中村航輔。これらの選手たちはすべて、柏レイソルのアカデミーが輩出した人材である。柏のトップチームで主力として活躍した選手たちはもちろん、日本代表や海外のクラブで存在感を示した出身者も少なからず存在し、Jリーグでも指折りの育成機関となっている。

 下部組織に優秀な人材がそろっているのは、選手だけに限った話ではない。柏レイソルU-18の監督を務めた清川浩行(ロアッソ熊本)、吉田達磨(ヴァンフォーレ甲府)、下平隆宏(柏レイソル)といった面々が各クラブに認められてトップチームでの指揮を任されるなど、優秀な指導者たちの存在もまた、アカデミーの隆盛に一役買っている。

 そんな柏レイソルアカデミーにおいて現在、最年長カテゴリーであるU-18の監督を務めているのが、現役時代に柏でも活躍した永井俊太さんだ。

27歳の若さでスパイクを脱ぐ決断を下す

 永井さんの父親である永井良和氏は、古河電工と日本代表でFWとして活躍し、現役引退後はジェフユナイテッド市原(当時)、アルビレックス新潟、横浜FCといった複数のクラブで監督を務めた経歴の持ち主だ。しかし、永井さんが良和氏から指導を受けたり、アドバイスをもらったりすることはほとんどなかったという。練習量の多さで知られる高校サッカーの名門・市立船橋高校に入学したこともあり、父と顔を合わせる機会自体がなかなか存在せず、家での話題もサッカーに関するものは少なかったそうだ。

「今思うと、親として言いたいこともたくさんあったと思いますね。それがなかったということは、本当に陰ながら支えてもらい、応援してもらっていたのかな、と思います」

 市立船橋時代には1999年度の第78回全国高等学校サッカー選手権大会での優勝も経験し、柏レイソルへ入団した2001年にはU-20ワールドカップの日本代表メンバーにも選出された永井さんだが、プロ入りしてからは自身が思い描いていたようなキャリアを送れたとは言いがたかった。柏で満足のいく出場機会を確保することができず、水戸ホーリーホックや愛媛FCへの期限付き移籍も経験する。そして、愛媛へのレンタル移籍を終え、柏との契約も満了した2010年2月、永井さんは27歳の若さで現役を退くことを決めた。

「自分が思っているようなプレーが全然できなくて……。自分で何かをしなければいけない立場になった時に、何もできなくて。レイソルだと周りにうまい選手、すごい選手がいて、彼らに助けてもらいながら何とかうまくプレーできていた部分があったんですけど、他のクラブに行ってプレーしてみたところ、やっぱり難しいなと思って。ちょうど結婚して子供ができて、という時期でもあったので、それだったらもう次の道に進もうかなと」

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「選手としてだけでなく、人間的に優れた選手を育てたい」

 引退してしばらくは柏の強化部でスタッフとして従事し、選手やアドバイザリーの契約に携わった。

「選手とは逆の立場から『ああ、こんな感じなんだな』と、いろいろ学ばせてもらいました。知らなかったことばかりでしたね」

 そんな裏方の仕事を経験した後、柏レイソルスクール、U-12、U-15、U-18と様々なカテゴリーでコーチを歴任し、2016年3月からU-18の監督を務めている。現在の柏のアカデミーについて、永井さんはこう語っている。

「小学4年生からユースやトップまで、目指すものやプレーモデルが一貫している。そうやって築き上げられてきたものがあるのは、すごくいいなと思っています」

 そして、その流れに乗せてトップチームで活躍できる人材を一人でも多く輩出していくことが、現在の永井さんの目標だ。

「そのために、もっともっと選手と向き合わなければいけないと思いますし、コミュニケーションも不可欠だと思います。指導者としての知識や言葉も、さらに広げないといけないですね」

 しかし、永井さんがアカデミーにおいて育成しようと心がけているのは、技術やフィジカルといった選手としての要素だけではない。

「子供たちを柏レイソルの軸として戦っていくような選手に育てたいと思っているんですけど、それだけじゃなくて、人間的に優れた選手を育てたいなっていう思いもあります」

 そのために年代や選手によってアプローチを変え、ピッチ内外での問題点を解決していくために一人ひとりと課題を共有し、彼らとともに歩んでいくことを心がけているという。

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選手一人ひとりと向き合い、寄り添っていく

 選手にとっての課題の一つに、なかなか試合に出場できない、というケースが挙げられる。現役時代の永井さんが思うように出場機会を得られなかった時期にサポートしてくれたのは、当時の柏に在籍していた指導者たちだったという。

「自分が出られていない時に気にしてくれたり、言葉をかけてくれたりした思い出はあります。例えば池谷(友良:当時のトップチームコーチ)さんは、『池谷塾』みたいな感じでメンバー外トレーニングをずっとやってくれたんです。厳しかったですけど、どうして試合に出られていないのかにはすごく納得できた。そうやって、納得した中でプレーしていた記憶はありますね」

 その頃とは逆の立場となった今、永井さんが試合に出られない選手に対するケアを行う際には、一人ひとりにしっかりと向き合い、彼らに寄り添うことを心がけているという。

「コーチにサポートやケアをしてもらったり、自主練習に付き合ったり、一緒にプレーしたり……。そういった部分で、自分が言ったりコーチが言ったり、コミュニケーションを取りながらやっています。『じゃあ今日は俺が言うわ』とか『ちょっと絡んでおいてね』とか、そういうバランスを考えながら。うまくいったり、いかなかったりですけどね(笑)。僕らも勉強中です」

これまでも、これからも勉強中

 最後に、永井さんの今後の目標や夢について質問したところ、こんな答えが返ってきた。

「今まで小学生、中学生、高校生を指導させてもらえたのもありますし、やっぱりトップチームの指導も、機会があればやってみたいですね。まあ、みんなそう思っているでしょうけど。いろいろな経験をしてみたいと思っています。そのためには準備もしていかないといけませんし、まだそこまで大きなことは言えないですけどね。今は勉強中です。これからですね、本当に」

 若くして指導者の道へと進み、少年たちとともにキャリアを積んできた青年監督は、選手たちのみならず自らもより成長していくために、試行錯誤を続けながら日々、研鑽を続けている。

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インタビュー・文=望月遼太(サッカーキング・アカデミー/現フロムワン・スポーツ・アカデミー

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