2016.02.08

大国クラブも“本気度”を増してきた! UEFAヨーロッパリーグってどんな大会?

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

[写真]=ムツ カワモリ

 冬の移籍市場もクローズし、2015-16シーズンの欧州における覇権争いは2月16日、17日にチャンピオンズリーグ、18日にヨーロッパリーグの決勝ラウンドが幕開け、いよいよ本格化する。

 豪華絢爛で華やかなチャンピオンズリーグの影に隠れがちなヨーロッパリーグは、欧州における「B級の大会」と見られがちだ。しかし、そのイメージにとらわれて実は“食わず嫌い”のサッカーファンもいるのでは? UEFAカップ時代からの歴史を改めてひも解き、その存在意義や昨今の大会を巡る状況を知ることで、もしかしたら「欧州第2の大会」が持つちょっとマニアックな魅力が見えてくるかもしれない。

■UEFAカップの歴史

 各国リーグの王者が集まって大陸の頂点を決める「欧州チャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)」が1955年に創設された5年後、各国カップ戦王者が集う「UEFAカップウィナーズカップ」が誕生した。そして1971年、FIFA(国際サッカー連盟)が欧州で開催していたインターシティーズ・フェアーズカップという親善大会をUEFA(欧州サッカー連盟)が引き取る形で創設されたのが、ヨーロッパリーグの前身となる「UEFAカップ」だった。

 当時の位置づけは、各国リーグで優勝こそ逃したが、限りなくトップに近い位置にいたクラブが競う舞台。そのため、創設当初からタイトルホルダーにはトッテナム、リヴァプール、フェイエノールトやユヴェントスなど名だたる名門が並び、80年代にはレアル・マドリードも連覇を果たしている。

 1990年代に入ると、「7強体制」で隆盛を極めたセリエAのクラブが大会を席巻。スクデットを逃したというだけで素晴らしい戦力を持ったイタリア勢が毎年のように主役となり、ユヴェントス、インテル、パルマがタイトルを獲得した。

 その後、カップウィナーズカップの廃止により1999年からは各国カップ戦王者もこちらに参加するようになり、さらにはCLグループステージを3位で敗退したチームの“敗者復活”システムも導入され、大会の規模はさらに大きくなっていった。

■大会レベルが低下、だがトップへの登竜門に

 しかし、この頃にはCLがそれ以上に拡大していた。90年代半ばからリーグ王者だけでなく2位、3位‥‥と出場枠がどんどん広がったため、どうしてもUEFAカップに出場するクラブの“格”が下がっていったのだ。これにより、大会レベルの低下を懸念する声は絶えなくなった。だが、この頃からUEFAカップの存在意義は大きく変わっていくことになる。それは、「新たな才能が輝く場」という価値が加わったことだ。

 その最たる例がジョゼ・モウリーニョだろう。ポルトの監督として、彼は2002-03シーズンにUEFAカップを制して大陸中に名を知られる存在になった。その翌年にCLを制し、チェルシーに移ったことはご存知の通りである。

 選手にも「EL発、CL行き」は多い。翌03-04に準優勝したマルセイユでゴールを量産したディディエ・ドログバは、ここでのプレーがチェルシーに認められた。後にアーセナルへ移籍するアンドレイ・アルシャヴィンも、名を上げたのは07-08に優勝したゼニトでのこと。彼らは国内では知る人ぞ知る存在だったかもしれないが、欧州全土で有名になったのは欧州の舞台があったからだし、UEFAカップで国外のチーム相手にも活躍できることを示したからこそ、ビッグクラブのお眼鏡にかなったのだ。また、そのゼニトを筆頭に、いまやCLの常連となったCSKAモスクワやシャフタールといった東欧勢のように、クラブレベルでこの大会を足がかりにしたケースもある。

■ヨーロッパリーグへの改称と状況の変化

 大会名が「UEFAヨーロッパリーグ」に改称されたのは2009年のことだった。フォーマットの見直しによりテレビ放映権やスポンサーが一元管理され、公式試合球や新ロゴも導入され、CLの成功をプラットフォームにした大会の“ブランド化”が進められたのだ。

 このリスタート後も、初代王者アトレティコ・マドリードからはセルヒオ・アグエロやダビド・デ・ヘアが、続く10-11王者ポルトからはラダメル・ファルカオやハメス・ロドリゲス、フッキが台頭。“ビッグクラブの見本市”としての機能は続いている。

 一方で、古くはイタリア勢、最近ではイングランド勢のように大会の価値を軽視して主力を温存するクラブがいたことで盛り上がりを邪魔してきたが、近年ではそれも変わってきている。

 その理由は大きく2つ。まずは、2014-15からEL王者に翌年のCL出場権が与えられたことだ。前回王者セビージャはこの恩恵を受けて今季CLに出場した。この特権は、プレミアリーグで4位以内が厳しくなったビッグクラブにとっても大きな“ニンジン”となる。

 また、イタリア&イングランド勢を駆り立てるもうひとつの要因が「UEFAカントリーランキング」の存在だ。各国のCL&EL出場枠はこれに基づいて決まるが、両国はスペイン、ドイツに次ぐ3位・4位の座を争っている真っ最中。CL出場権は3位なら「4枠」、4位なら「3枠」になるため、実はこの違いは非常に大きい。「4枠」を巡る争いに勝つためには、CLはもちろんELでもできる限り勝ち進んでポイントを稼がなければいけない。そのため、両国の出場チームは決してELを軽視できない状況になっているのだ。

 いち早くその状況に気付いたイタリア勢は昨季、フィオレンティーナとナポリが4強に進み、ベスト16にはインテル、ローマ、トリノと5チームを送り込むなど“本気度”を増している。リヴァプール、トッテナム、そしてCLから回ってきたマンチェスター・Uがベスト32に残っている今季のイングランド勢も、これに続かんと上位を狙うはずだ。

 EL創設後の6大会でのべ8チームを4強に送りこんで勢いを示しているのはスペイン勢だが、野心あふれる小国のクラブが“アピール”に励み、さらにイタリアやイングランドといった大国のクラブも本気で勝利を目指してくるなら、“競争力”という意味ではCL以上の盛り上がりを見せるかもしれない。

文=Footmedia