2012.06.29

金来遠(名古屋U18/2年/MF)「チームバランスを整え、中盤で攻守に貢献するボランチ」

ユース年代を中心に日本中だけでなく、世界へも飛び回っている“ユース教授”が、注目&オススメの選手を紹介します。今回は名古屋U18に所属するMF金来遠選手です。

文・写真=安藤隆人
 
金来遠
(名古屋U18/2年/MF)

 
  北川柊斗と森勇人という全国トップクラスの2トップを中心に、多彩な攻撃が魅力の名古屋U18。この攻撃を支えるのが、2年生ボランチの金だ。フィジカルが強く、キープ力に長けるだけでなく、冷静さを兼ね揃え、両足から正確なキックを放てるプレーが魅力。名古屋U18の高田哲也監督も「前線と最終ラインにタレントがいる分、中盤が重要になってくる。金は冷静にボールをさばけるし、強さもある」と大きな期待を寄せている。
 
 高円宮杯プレミアリーグウェスト。優勝に向けて負けられない第6節のサンフレッチェ広島ユース戦。この試合、広島ユースはすでにトップデビューを飾っているMF野津田岳人が出場。2シャドーの一角として大きな存在感を放つ野津田のマークに彼は苦心した。立ち上がりは野津田の飛び出しに引っ張り出される形でポジショニングが低くなり、ボールを奪ってもうまく攻撃へつなげるパスを供給できない。早い段階で失点すると、さらにチームは苦しい状態に追い込まれた。
 
 しかし、そこからチームは持ち直した。彼は野津田との距離感を工夫し、常に視野に入れながらもポジションを高めに取り直した。攻撃から守備の切り替えを早くし、なるべく中盤を間延びさせないように心掛け、彼の冷静な判断から徐々にチームはリズムを取り戻していく。
 
 前半終了間際には、右サイドMF桜井昴のパスをペナルティーエリア内で受けると、そのままシュート。これは相手DFの身を呈したブロックに阻まれるも、機を見た攻撃参加で攻撃に厚みを加えた。後半もチームバランスを考えながらプレー。拮抗した試合の中心に位置したが、試合終了間際に広島ユースに追加点を奪われ、0-2の敗戦。最後は広島ユースの底力に押し切られた格好となったが、彼の存在感は際立っていた。

「メンタル面でまだまだ弱さがあるけど、ゲームを作れるし、何より彼には伸びしろがある。将来的には森や北川らとともに上の舞台で頑張ってほしい選手」(高田監督)
 
 北川、森という全国屈指の2トップ、そして躍動する青山景昌と桜井の1年生両サイドアタッカーを陰で支える男・金来遠。今年のチームはハーフナー・ニッキ、北川、森だけじゃないと、中盤の底から静かに主張する。常に冷静に流れを読んで中盤をコントロールし、自ら仕掛ける気持ちも忘れない彼は、これから任された仕事のクオリティーを向上させていくはずだ。
 

【プロフィール】
安藤隆人(あんどう・たかひと)
1978年2月9日生まれ。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、サッカージャーナリストに転身。ユース年代の取材のために全国行脚を繰り返し、海外取材も精力的にこなす。今年1月には、これまでの自身の歩みと、取材を通して共に成長してきた本田圭佑、岡崎慎司、香川真司らとの歩みを一冊の本にまとめた『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』を出版。Numberや日経ビジネスアソシエにも寄稿。